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REMAKE~わたしはマンガの神様~  作者: 八城正幸
第14章
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ロック冒険記 その6

 気を取り直して、治美は東京の出版社に持ち込む原稿の話を続けた。


「それぞれの作品の冒頭部分をざっと説明しときますね。みんな自分で描きたい作品を言ってね。


「『ジャングル大帝』はジャングルの王様、白い獅子パンジャを殺そうとハンターのハムエッグが色々罠をしかけるの。捕まった王妃のエライザを助けようとしてパンジャは殺されるの。エライザが船で運ばれている時に王子のレオが生まれるの。レオはジャングルに戻るために船を脱走するの。船は嵐にあってエライザは死ぬの。



「『リボンの騎士』は天使のチンクがイタズラでこれから生まれる女の子サファイアに、男の心を飲ませてしまうの。チンクは神様に怒られて男の心を取り戻して来いと人間界に落とされるの。そしたらサファイアは国の法律で男性にしか王位継承権がないため、王子として育てられていたの。



「『ぼくのそんごくう』は石から生まれた猿が猿仲間に石猿って馬鹿にされていたの。けれど滝の下に落とした柿の実を拾って猿の王様になるの。まあはっきり言って『西遊記』を漫画化した作品ね。



「『ロック冒険記』は地球に急接近して地球の第二の衛星になったディモン星に、ロックが探検隊を組織してロケットで探検に向かうの。そこはルボルームという粘土人とエプームという鳥人が住んでいたの。鳥人は粘土人を奴隷として使っていたけど、人間は鳥人を支配しようとするの。



「『新世界ルルー』は科学研究所の所長が公爵の罠にはまり、タイムカプセルの中に閉じ込められて生き埋めにされるの。だけど異次元の新世界ルルー人に助けられるの。20年後、所長は復讐のために人間世界に戻ってくるの。



「『サボテン君』はミルクを飲むと強くなるカウボーイの少年なの。サボテン君はミルクを飲んでいるのでみんなにバカにされていたの。だけどミルクを飲んで強くなって大暴れするの。そしてサボテン君はお父さんの酒場で酒を売るのをやめさせてミルクホールにするの。



「『冒険狂時代』は江戸幕府の使者の嵐タコの助が日米通商の密書をもってワシントンへ向かうけど、乗っていた船が海賊に襲われて難破するの。漂流中にタコの助はナポレオンの宝の地図の半分を手に入れるの。そして宝の地図を巡ってタコの助は世界中を冒険するの。



「『ピピちゃん』は人魚のピピちゃんが海底でみんなにいじめられていたけど、カメのがぼにいちゃんに助けられてかめの家族として暮らすの。実はピピちゃんは人間を人魚に改造する研究をしていた博士の息子だったの。



「『鉄腕アトム』は地球人によく似た宇宙人の大移民団が巨大な宇宙船で暮らしているところから始まるの。宇宙船団は地球に着陸して、最初のうちは宇宙人と地球人は仲良く暮らすんだけど、やがて食糧難になって争いが始まるの。主人公はケンイチで、アトムは脇役なの。」



「ふうー!疲れたわ!」


 治美は大袈裟に汗を拭うふりをした。


「さあ、みんな、早い者勝ちよ!どれを描きたい?」


 安永が勢いよく手を上げた。


「手塚先生は以前僕に一緒に『ジャングル大帝』を描こうっとおっしゃってくれましたよね」


「あ!ごめーん!『ジャングル大帝』はもう二話まで玲奈ちゃんと一緒に描いちゃった。他の作品にしてくれない?」


「だったらSFがいいです!『新世界ルルー』をやらせて下さい」


「おっ!目の付け所がいいわね、安村氏!『新世界ルルー』の主人公は、時間を止めることができるようになるの。その能力の評判が良かったので、後に『ふしぎな少年』って時間を止める超能力少年の漫画も描くつもりだからね。きっと『ふしぎな少年』は太田博之主演のNHKドラマにもなるわ。なんと生放送なのに時間を止める場面が出てくるのよ。役者さん大変だったでしょうね」


 治美がまた調子に乗ってペラペラと未来の出来事を喋り出した。


 しかし、安村たちはいつもの手塚先生の妄想だと思って黙って聞いていた。


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