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すべての元凶はあなた  作者: カーネーション


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第44話『地道な作業』

 ローラントの指導の下、単語を覚えることからはじめた。ひとつひとつ目に入るものを指差しては、これがどんな単語であるか、いちいちたずねていく。答えを聞くときは、耳たぶに触れて聖霊くんの力を消す。ローラントが単語を口に出す。


 すると、合っているんだか合っていないんだか、難しいイントネーションの単語が直に耳に入ってくる。それを真似して口に出してみる。違えば、もう一度、ローラントが単語を繰り返してくれる。ちゃんとできるまで終わらない。


 本当に地道な作業だった。何で思いつきで行動したのだろう。一時は後悔もした。やめようかとも思ったけれど、ミアさんも教えてくれるようになって、やめるにやめられなくなった。やるしかない。選択肢が1つしかなかった。


 今日もミアさんがやってきて、1日がはじまる。


「おはようございます」


「オハヨウゴザイマス」


 わたしも言葉で返す。だけど、聖霊くんを通すと、カタコトになって聞こえてしまう。はじめて3日くらいなら、まあまあ上達している方だと思うけれど。


 神殿での生活では、言葉をたずねる他は特にやることはない。ミアさんの手伝いをしようと動いても、逆に邪魔をしてしまうと気づいてからは、やめておこうと諦めた。


 神殿の外は庭もなく、閑散としていたから、何か作物でも育てようかと思いついた。でも、どうやって土を耕したらいいのか、わからない。ろくにかまどに火もつけられないほど、つくづく自分は何もできない人間だった。


 ミアさんはせっせとお昼の用意をする。わたしがお昼を頼んだからだ。ジェスチャーとお昼という単語だけで、どうにか頼めた。


 今日はサンドイッチ。こちらの世界にもパンを挟む文化があって驚きだ。食パンはなく、丸いパンをスライスして、厚めのベーコンと水気を切った野菜を挟むらしい。


 お昼はローラントと外でランチする予定で、帰ってきたらお茶をする。ウィルの部屋に乗りこんで、勝手にお茶会を開くのもいいかもしれない。


 ミアさんがサンドイッチを作り上げる中、わたしは邪魔にならないように調理場のすみに座っていた。木箱に腰をかける救い主って端から見たらどうなんだろう。ウィルは嫌がりそうだけれど、信者さんの目がない今、わたしが救い主として過ごす必要はない。単なる異世界人の絵茉として、過ごしてもいいはずだ。


「救い主様、できましたよ」


「アリガト、ミアさん」


 サンドイッチ入りのバスケットを持って、ローラントとランチする。足取りが軽くなった気がした。

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