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孤児院の英雄  作者: 夜猫
6/34

男性

「だからお前と稽古なんてさせたくなかったんだー!!」


ノワールはテレーゼに向かって叫んでいた。


「え?あれだけで気絶する方が悪くない??」


テレーゼはポカーンとして反論する。

そもそもテレーゼが弓を使った時点でロクな事にならないのは目に見えていたが…


「だってスキルは使ってないでしょ?私、悪くなくない?」

「確かにスキルは使ってないけどな…」


俺は呆れて目を伏せる。


「確かになぁ、アレはやりすぎだ。」


ザールも俺に同意のようだ。


「えぇー、ただ単に弓を少し工夫して射っただけなのに…」


テレーゼは落ち込んでしまっていた。


「まぁ、いい。ロレスの為にもなっただろうからな。」

「それならよかった。じゃあ今日は帰るわ。」

「じゃあねー…」


ザールとテレーゼが帰っていく。

少し経つとロレスが目を覚ました。


「いっ…私は負けましたか……」


目を覚ますなり悔やんでいた。


「ま、アイツらはしょうがない。」

「あの人達は院長先生の友人ですよね?」

「あぁ、そうだな。」


納得したように頷くと立ち上がる。


「じゃあ夕食を作っておきますね。」

「おう。悪いな。」


俺はそう言って星を眺めていた。



「いやー、あのロレスちゃんがあんなに強くなるとはな。」

「それは激しく同意するわ。」


ザールとテレーゼは借りている宿屋に向かって歩いていた。

元々孤児院の周りは暗い場所が多い。

夜になると余計に暗くなり、人も寄り付かない。


「で?アンタはいつまで着いてくるんだ?」


ザールは振り返ると1点に視線を注ぐ。

そこには何も無いように見えるがザールが話しかけた途端空間が歪み、黒いマントを着た男性が出てきた。


「あれ?俺のスキルがバレるとは…」


はてな?と首を傾げる男性。


「強盗なら容赦しないぞ?」


ザールとテレーゼが睨みをきかせると男性はとんでもない!と言うふうに首を振る。


「いやいや、俺の興味があるのは他でね…」


男性はニッコリと笑うと2人に提案してくる。


「私が興味があるのは孤児院の院長何だが…協力してくれないかな?」

「孤児院なんて何処にでもあるだろ。どの院長かによってはタダじゃ置かないぞ?」


男性の顔は見えないがどうやら少し怖気付いた様子だ。


「いや、俺が提案する事は貴方達にとっても利益がある事だと思うんだが…」

「……一応聞いておこうか。」


男性はまたニッコリと笑った様に感じた。


「いや、ノワールさんを不幸にさせたく無いでしょう?」

「……何が言いたい……?」

「いや、端的に言えば、『ノワールさんの行動』を邪魔しないで欲しいだけだ。」


テレーゼが少し笑う。


「そんな提案は許可出来ないわ。もしノワールの身が危ないと思ったら手を貸すしね。」

「そうか。なら、この提案は聞かなかったことにしてくれると有難い。」


黒いマントの男は笑うように言う。


「じゃあ、また会えるかもしれない何時かその時まで…」


それだけ言い残すと男性は闇に消えていった。


「『ノワールの邪魔』…ね。」


ザールとテレーゼは少し訝しげな表情で宿に戻った。

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