クリスマスとかいう日②
まさかの一年以上不投稿。
リハビリ、リハビリ……
雲一つない空の青が眩しい昼下がり、渚の提案によって一足先に女子三人で僕の家に集まることとなった。
「集まったね。急な提案なんだけれど、今日のパーティーは私達三人でこの衣装を着きて参加してみないかい?」
机に並べられた紅白色の衣装が三着。上には同色の帽子とモコモコの塊が添えられている。これはもしかしなくてもアレなのでは…?
「これって……」
「そう、サンタ服。私達は可愛いサンタさんになるなんてのはどうだい?」
やっぱりそうだよね。クリスマスと言えば、な感じはする。
まさか自分が着る機会が訪れるなんて露ほどにも思ってなかったけど。
「楽しそうっ!特別な感じがしていいわね!」
沙耶香は非常に乗り気で既に衣装を手に取っている。これはすぐさま着替えるかな。
「そうだろう?せっかくのクリスマスパーティだから普段しないことをしたいと思ってね。奏ちゃんは嫌かい?強制はしないよ」
二人とも着るのなら着たいけど、お子様体型な俺は二人みたいに似合う気がしない。こういうのってグラマラスなお姉さんが着ている印象が大きいし。
どうしよう。
「二人は似合うと思うけど、こんな体型じゃ似合わないじゃないかなって…」
「それは無いよ」
「私も同意ね、絶対可愛いわよ」
何故か断言されてしまった。そう言われると嬉しいけど、やっぱり自信がない。
「よし、一度着てみようか。悩んでても仕方ないからね」
「で、でも……」
「はいはい、反論は後で聞くからね〜」
後ずさるうちに、いつの間にか部屋の角にまで追いやられていた。
既に逃げ場はない。
「強制じゃないって言ったのにぃぃぃぃいいいい」
♢♢♢
「う、うぅぅぅ………」
一切の抵抗を許されず、されるがままに着替えさせられてしまった。軽いメイク付き。しかし、よくよく考えるといつもの事だ。
……あれ?目から汗が。
「いや〜、これはいい仕事をしたんじゃないかい?」
「会心の出来ね!」
こちらとは対照的に満面の笑みを浮かべる二人。勝てる気がしない。
「見込んでた以上の可愛さだよ、奏ちゃん」
「これなら羽柴くんも間違いなく可愛いって言ってくれるわ」
「ほ、本当?」
叶に可愛いって言ってもらえるならこの格好でも……
「って、叶がどう思うかなんて関係ないからね!?」
「「はいはい」」
軽く流されてしまった。いつも言ってるのにわかってもらえないのはどうしてなんだろう。
「とまあ、試着はさせたけどそのまま参加するかは奏ちゃんに任せるよ」
「嫌々じゃパーティーも楽しめないもの」
なんだかんだ選択の余地があるあたり二人とも優しい。この着替えに選択の余地はなかったけど。
「せ、せっかくだからこのまま参加しようかな…」
「その心は?」
「え、えっと、せっかく渚がサンタ服を用意してくれたのにそれを着ないのは勿体ないかなと思ったのと、二人ともサンタ服着るのに僕だけ着ないのは変かなって……」
「というのは建前で、やっぱり羽柴君に褒めてもらいたいのよね~?」
「ち、違う!違うからっ!!!叶に褒められたいなんて思ってないから!!!わかってよ!!?」
遺憾である、誠に遺憾である!楽しくパーティーしたいからなのに叶褒められたいがために、ために…
「でも、やっぱり、ちょっとは褒めてほしいなあ」
ぽつりと本音が一言漏れる。
「「かっっっわいい!!!」」
突然、二人が抱きついてくる。もみくちゃにされて少し苦しい。
「ふ、二人とも離れて!苦しいから!」
言葉届かず、二人から解放されたのはそれから少し後だった。
「いや、ごめんね。あまりに可愛かったから…つい、ね?」
「可愛すぎる奏ちゃんが悪いわね」
「理不尽だ!?」
結局このあとも、パーティ開始時間の手前になるまで二人にからかわれながら過ごすことになったのだった。
とほほ……
―――ちなみに、からかわれるのが割と楽しかったのは内緒の話だ。バレたらまたやられちゃうからね?
次話上がるのいつになるんですかね???




