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久しぶりの

書けない、書かないを永遠と繰り返しはや1ヶ月以上。ちょっと前までの妄想力はどこへ行ったのか。

 結論から言えば『叶は俺の部屋に泊まる』ということになった。母さんが言うには


「前々からそうだったでしょ?それにせっかく泊まるなら一緒の方が楽しいじゃない」


 と満面の笑みで言ってきた。あまりにもいい笑顔すぎて何か邪悪な思惑があるのではと勘ぐってしまう。だた、言っていることは事実なのできっと考えすぎなんだと思う。久しぶりに叶が泊まるので楽しんでねという母さんの心遣いなんだろう。そうだと思いたい。


「お姉ちゃん、お風呂空いたよ〜」

「うん、わかったよ」


 静流はそう言って傍まで寄ってくる。選手交代の時間のようだ。

 隣でゲームに夢中になっている叶に話しかける。


「聞こえてたと思うけどお風呂空いたってさ。先に入るでしょ?」

「ん?ああ、そう……だ……………いや、先に入ってくれ」


 前までは素直に入ってたのに。珍しい。今やってるゲームがよっぽど楽しいのだろう。


「そう?じゃあ先に入るね。はい、静流。交代」

「任せてよね!」


 静流のやる気の満ちた返事を聞き、コントローラーを託してお風呂に向かった。




 ♢♢♢




 一通り体を洗い終えて湯船に足を入れる。ちゃぽんっと柔らかな水の跳ねた音が静かに広がり微かに鼓膜を震わせた。


「はあ〜」


 お湯に全身が包み込まれる、その気持ちよさに身体中を支配され思わず声をもらしてしまった。

 半身浴は健康にいいって聞いたりもするけどこの気持ちよさを捨ててまで健康にいいとは思えないし、ましてやそこまで健康のために凝るつもりもないけど。


「久しぶりに叶が泊まるのかあ……」


 久しぶり、とは言っても前回のお泊まりからせいぜい半年程しか経ってないのにそれよりもずっと長くしてなかったような気がする。もちろん気のせいなんだけど。


「どうしよう、今夜が楽しみすぎてドキドキするよ…」


 母さんに言われてからずっとしてるかもしれない。自分でも思っていた以上にまた叶とこうして遊びたかったんだなと思う。今夜は何しよう。


 やっぱり暗がりでゲームをするのはどうだろう。ひっそりとするゲームはまた一味違った面白さがある。

 普通に喋るのもいいかも。こういう時は普段話さない内容で喋ることができそうだし。

 もしくは秘蔵のアレの読むとか?いや、前とラインナップは変わってないからなしかな?


 それからしばらく夜に何しようかと考えてた。やりたいことが沢山ありそうなのに意外と思い浮かばないものだ。お湯の温かさに当てられぼーっとしてきた頭がふと一つの提案をしてきた。



 ………あっそうだ、何もせずにただ叶と一緒に―――



「お姉ちゃん起きてる?大丈夫?結構時間経つけど」


 静流から呼びかけられて意識がハッキリしてくる。風呂場の時計を見ると入ってから一時間は軽く過ぎていた。


「え、あ、あれ?もう…こんな時間?……今上がる」

「はーい」


 静流が脱衣所から出ていった後、湯船から立ち上がり浴室を出た。少し寒いから湯冷めする前に着替えないと。素早く下着に寝間着を着る。


 そういえば、さっきまで何を考えてたんだけ……?


 冷たい空気に晒されクリアになった頭で考えてもあの瞬間に何を考えていたかがぼやけて思い出せない。とんでもないことを考えていたような気がするのにどうしても思い出せない。


 それでもこの火照った体と速く脈打つ心臓はその答えを知ってるようにも思えた。




 ♢♢♢




「叶、遅くなってごめんね。もう入って…いい………何があったの?」


 戸を開けて目に入ったのは部屋の隅っこで体を丸めて負のオーラを放っていてる奇妙な生物。まあ、叶なんだけど。


「えっとーそのー、なんと言いますかね?私がからかい過ぎたと言いますかーー………はい、そういうことです」

「うん、何一つ要領の得ない説明をありがとう」


 何してるんだか。からかい過ぎた静流も良くはないけど、叶も静流のからかい程度に負けてしまうのはどうしたものか。

 余程クリティカルな内容だったとか?だとしたらそれはちょっと気になる。


「叶〜?大丈夫〜?」


 声をかけながら叶の方に近づいていくが、反応が芳しくない。それになんか近づくほど空気が重くなってる気がする…負のオーラ撒きすぎじゃない?


「おーい。か・な・た?」

「…………あ、かな…っ!…でっ!?」


 顔を覗き込むと驚かれ、後ずさろうとして壁に頭をぶつけてうずくまってる。完全に部屋の隅にいたことを忘れてたやつだよね。本当に何してるんだか。


「はあ…大丈夫?頭」


 これはもちろん、物理的な頭とその中身の両方の心配をしている。


「そんなに強く打ちつけてないから大丈夫だな」


 まあ、片方の意味しか通じなかったみたいだけど。


「心配してくれるのは嬉しいんだが……」


 ん?なんだろう?


「ちょっと離れてくれ……近い」

「え?」


 意識してみるとそこには視界いっぱいに少し赤くなった叶の顔が広がっていて―――


「うわわわぁぁあああ」


 思わず後ずさる。とても怪奇な動きをしてしまった。

 心臓は既にバクバクで顔からは火が出そうだ。


「…………お姉ちゃんたち何してるの?」


 静流は呆れたと視線を寄越してきた。しかも、はあ〜とため息をつき、大袈裟に首を振る。失礼この上ない。

 と言うか、これは静流の蒔いた種だからね?わかってるのかな?そしてそのままキッと静流を睨みつける。


 結局、ささやかな批判の眼差しと心の声は静流に伝わることはなかった。







はいそこの君、時間かけたクセに短いとか言わない。(もっと文章と内容が欲しいとは自分でも思ってる)

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