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練習

月曜日になってしまってすみません。そのくせ少し短めです。

 テーブルに並べられた飲み物とお菓子。傍に控えるのは背筋が伸び立ち姿の美しいメイド。ここが俺の家であるにも関わらずそれなりに優雅な気分には浸れ…る…………も、もうだめっ!


「あはははははははは」


 何とか笑うのを抑えていたけどついに限界を迎えた。


「お、お嬢様はしたないですよ」


 メイドが注意してくるが笑いの根源であるメイドに言われてもという感じがある。


「はははは……はあ…はあ………ご、ごめん」

「分かってくださればいいんですよ」

「前に見てから思ってたけどあまりにも可愛くなった姿が面白くて……くふっ」

「か、奏ぇ……言いたいことばかり言いやがってこのやろう……」

「ストップストップ!二人ともストップぅ〜!」


 静流が言い争いを止めるべく俺とメイドの間に割って入ってくる。


「お姉ちゃん笑いすぎ!流石に叶さんに失礼だよ!」


 そう、俺の笑いを誘ってきたメイドというのは他ならぬメイド姿の叶だ。今日は渚たち(いつものメンバー)でメイドカフェに向けた練習をしようということで集まっている。


「メイド服が似合ってないのは百も承知だから笑いたくなるのはわかるけどな?せめてもう少し抑えてくれ…」

「うん、ごめんね…」

「分かってくれて嬉しいです、お嬢様(※裏声)」

「んぐっ!?……コホッ、コホッ」

「おっと、何故か裏声になってしまった」


 叶め……狙って言ったよね?平静を装ってるけど笑いたいのは分かってるんだからね?抑えれてるつもりかもしれないけど口角がピクピク動いて丸わかりだからね?おかげでむせたよ!


「奏ちゃんは笑いすぎだと思ったけど羽柴くんも大概だったわね…」

「どっちもどっちってところだね」

「仲良いよな」

「叶さん……」


 と、まあこんな感じで俺たちのメイド練習は始まった。






 ♢♢♢







 各自で好きなメイドのタイプで接客してもいいというスタイルで俺らのメイドカフェは営業するらしい。前に一度集まったときにはキャピキャピしたぶりっこ系のメイドと真面目な清楚系のメイドで二分した。細かく分ければその限りじゃないけどおおよそこんな感じ。

 前者は男子に多くて、後者は女子に多い傾向にある。男子はほとんどネタ枠としてぶりっこ系に走っているのかな?


 俺達の内訳だと牧谷君はぶりっこ系、俺と沙耶香と叶が清楚系、渚はその他枠で練習している。



 牧谷君はネタ枠として全力で取り組んでいてさっきの叶よろしく裏声で接客を行うみたい。しかもテンションが高いからなんとも言えない雰囲気を醸し出している。ちょっと気持ち悪い感じがするけどそれがちょっと癖になりそう。

 叶と牧谷君がそれぞれメイド姿で絡んでたところを見て何かに目覚めそうになったのは気のせいだと思う。



 渚は……うん、なんて言うかそのままって感じ。メイドなのに凄くかっこいい。執事の間違いでは?と思ってしまう。



 沙耶香はすごくメイドっぽくて目指すならこんな感じのメイドだなあって思う。前もって練習していたような動作だった。こっちはこっちでかなり本気で取り組んでるっぽい。メイドに憧れとかあったのかな?



 そして練習は俺の番。特に調べたりはしてないから参考はさっきの沙耶香かな?というわけで一人一人順番に接客だ。







 ♢♢♢






 ちょっとずつ変なところを直しながら練習は進んだ。そして最後の相手は叶。とりあえず今日の練習の最後なのでここはビシッと決めたい。ふと叶に目を向けるとどこか嬉しそうな雰囲気だ。


「どうしてそんな嬉しそうな顔してるの?」

「か、顔に出てたか?」

「思いっきり」

「そうか……」


 何か思い出してついにやけてしまったのかな?まあそれは置いといて……よしっ!


「お帰りなさいませ!御主…じ……ん……………さま」

「おい、どうした?」

「ご、ごめん。お帰りなさいませ、御主人様(ごひゅじんひゃま)

「……………大丈夫か?」


 噛んでしまった……上手く言葉を話せない。なんとももどかしい感覚が邪魔をする。「ご主人様」って言うことにそこまで抵抗はなかったし、なんなら牧谷君相手には普通に言えてた。


「さっきまで言えてたのになんで噛んじゃったんだろ」

「ん?顔赤いんじゃないのか?」

「え?」


 叶が俺の額に手を伸ばし当ててくる。手から伝わってくる体温がなんというか……すごくくすぐったい。


「うーん?顔は赤い気がするけど熱っぽい感じはないな」

「か、かな……御主人様その………恥ずかしい、です……………」

「え?……あ、おう。す、すまん」


 メイドと御主人様は互いに目をそらす。すごく恥ずかしい。

 あ、もしかしてあのなんとも言えない感じは恥ずかしかったから?今まで感じてた恥ずかしさとはなんか違う感じだったけど。

 仮にそうだとしたらなんで叶を御主人様呼びするのが恥ずかしいと思ったんだろう。牧谷君にはなんとも思わなかったし。


「なあ、俺らこんな茶番見てなきゃいけないのか?」

「牧谷君、黙って見てなさいよ」

「そうだよ。ここは静かに見守る場面だね」

「よし……そのままで………」


 外野の声が耳に突き刺すように入ってくる。




 ……………穴があったら入りたい。




 最後の最後でグダグダして練習は終わった。




最近の更新が遅れ気味で非常に申し訳ないです。

モチベはそれなりにあるものの、なかなか形に出来ず……自分の語彙や文章力が恨めしいです。

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