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ゴールデンウィークの予定

 四月も終わりが近くなり、休み時間の教室ではゴールデンウィークの話題でもちきりだった。


「さあ、私たちもゴールデンウィークの予定を立てようじゃないか!」


 恒例となりつつある渚主催の予定決めが始まった。


「楽しみではあるけどさ、先週に親睦会で集まったばっかりだぞ?そうぽんぽんと遊ぶ計画立てても大丈夫か?」


 牧谷くんの言うとおり俺も連週で遊んでも大丈夫なのかと思うな。それに月初めに叶と遊びにも出かけたし。だから今年のゴールデンウィークは一人ごろごろするつもりだったのだ。


「牧谷くん、私は奏ちゃんの家で『是非遊ばせていただきたく思います』……素早い手のひら返しだね」


 本当に早かった。そんなに俺の家で…いえ、で……


「ちょっと待って!?僕の家?僕の家であそぶの?!!」

「そうだね。ちなみに凛さん…奏ちゃんのお母さんにはすでに許可は取ってあるよ」

「?!?!!!?」


 え?いったいいつの間に?どうやって?


「不思議だという顔してるね。親睦会の時に凛さんが一度来ただろう?その時にアドレスを交換してたんだ」


 なんて用意周到さ。まさかその時からこのこと考えてたのか?怖い、怖いよ…


「それともこんな事したいって意見はあるかな?」

「私は賛成ね。奏ちゃんの部屋とかどうなってるか見てみたいし」

「俺も俺も!」

「俺はよく行ってるからどっちでもいいぞ」


 叶以外の皆は俺の家に来ることに乗り気らしい。これは決まりかな……部屋とか片付けなきゃなあ。


「おい、羽柴。その発言は自慢か?自慢なのか?なあ?」

「そんわけないだろ……」

「でも羽柴君と奏ちゃんは本当に仲良いよね」


 それは当然だよね。それこそ小さい時からの付き合いだ。不仲って方が難しいじゃないかと思う。

 …牧谷くんは叶に突っかかり過ぎだと思う。


「とりあえずは奏ちゃんの家でってことになるけどいいかい?」

「母さんは許可出してるし、皆来てみたいんだよね?拒否権はあってないようなものでしょ」


 ここまで外堀を埋められたら頷かないわけにもいかないし。


「そうかもしれないね。けど私たちが来て困るようなものがあるのかい?」

「な、ないけど…」

「けど?」

「叶はともかく、ほかの皆に部屋見られるのが恥ずかしいなぁって……」


 言葉が尻すぼみになってしまった。

 普段は気にしてなくても友達に見られると思うとね……


 突然牧谷くんが床に倒れる。あまりに急だったので焦りに焦る。


「ど、どうしたの!?もしかして持病があるの!??」


 そんな話は一度も聞いたことは無かったが聞かずにはいられなかった。


「……………が………いんだ……」


 なんて言ってる?聞こえない。


奏ちゃん(天使)が…原因だ……」

「え?」


 これ(牧谷くん)は何を言っているのか。頭を打ってとうとう壊れてしまったんだろうか。


 少し冷静になり他に誰も騒いでないことに気づく。

 叶は天井を仰ぎ、渚は片手で顔を覆い、紗耶香は腕を枕にして机にうつ伏せになっている。しかも三人ともこころなしか耳が赤い。


 ……何この状況?


「か、奏ちゃん、それは反則ぅ…」

「その恥ずかしがり方は可愛すぎると思うんだよ……」

「お、俺は…俺は……」


 もうわけがわからないよ……


 結局この時間の話し合いはこれ以上進むことはなかった。



 ちなみにこの出来事が後の“奏ちゃん悩殺ファイルその一”になったとかならなかったとか。




 ♢♢♢




 放課後にはゴールデンウィークの予定は俺の家で遊ぶことが決まった。

 まあ、あの感じなら妥当だよな。


 皆が家に来るのゴールデンウィーク最終日の前日で課題も当日までに終わらせて一日中遊びまくる算段だ。


「ただいま」


 玄関の扉を開けて俺の帰宅を知らせる。


「おかえりなさい」

「お姉ちゃんおかえり〜」


 母さんと静流から返事がきた。


 俺はすぐに自分の部屋で荷物を下ろして着替えずに台所へ向かう。壁にかけてあるエプロンを手に取り制服の上から着てすでに日常の一部となった母さんの料理の手伝いを始める。


「何すればいい?」

「刺身にするからチルドに入っている鮭と鯛の身を切り分けてもらおうかしら」

「わかった」


 言われたとおりチルドから鮭と鯛を取り出し一口サイズに身を切っていく。一ヶ月経つので包丁の使いも少しは慣れてきた。


「母さん、ゴールデンウィークの最終日の前日にこの家で遊ぶことになったから」

「わかったわ」


 遊ぶこと自体は知っているかもしれないが日付は知らないはずなので伝えておく。


「それにしても渚とアドレス交換してたんだね。知らなかったよ」

「言ってないもの。渚ちゃんはしっかりしてていい子ね」

「いい友達だよ。最初から仲良くてくれてたんだ」


 本当にいい友達だと思う。身体測定の時に絡んできてくれたおかげで俺は楽しい今日が迎えれているんだとも思っている。

 本人には面と向かって言えないけど。


「そう、大事にしなさいね」


 優しい声音でそう語りかける。


「もちろん」


 この後は特に何を話すでもなく今夜の料理を作っていた。




 ♢♢♢




 ご飯を食べ、静流に話しかける。


「静流、ちょっと相談したいことがあるんだけど大丈夫?」

「お姉ちゃんの頼みなら何時でも何処でも何でもおまかせあれ!で、相談したいことって?」


 静流のテンションについていけない……


「え、えっとね。ちょっと部屋の模様替えしようかなって思ってるんだけど。ゴールデンウィークに友達が来るから」

「なるほどなるほど。どんなのがいいの?」

「模様替えとは言ったけどそんなに変えるつもりもなくて……もうちょっと女の子っぽい部屋になるようになんか飾ったりしたいなと」


 は、恥ずかしい。この話するのめちゃくちゃ恥ずかしい。


「ワンポイント的なのが欲しいってことでいいかな。そうだなぁ……あ!叶さんに取ってもらったぬいぐるみって飾ってる?」

「いや、片付けてあると思う」


 あの日以来クローゼットの奥にしまってあるはずだ。


「じゃあ、それ飾ろうよ。あれ可愛いしあるだけで華やかになると思うよ。それに叶さんからの贈り物を飾っておくってポイント高くない?」


 贈り物って感じでもなかったしポイントが高いってのもよく分からないけどいい案だなとは思う。


「そうしようかな?相談乗ってくれてありがとね」

「お姉ちゃんのためならお易い御用だよ。まだ何か付け足したいと思ったら何時でも聞いてね」

「うん。ありがと」


 頼りになる妹でよかった。たまに…いや、しょっちゅう変になるけど。


 ゴールデンウィークを楽しみにしながらクローゼットからぬいぐるみを取り出しに俺の部屋へと向かった。



何とか更新できた。日曜日の更新目指します。

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