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辺境魔法学校 作者:金暮 銀
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第七章 重要な扉が開かれ、翻弄される者(三)

 翌日、神宮寺は日直を解雇されたので、一時間早く登校する必要がなかった。神宮寺は、嘉納と月形さんと一緒に、初めてウルリミン寮を出た。三人での登校は、初めてだ。

 できることなら、小清水さんや、蒼井さんとも一緒だったら、との感傷が浮かんだ。
 嘉納が寂しげな顔で口を開いた。
「遂に三人になってしもうたな。前はもっと、登校する人間がおったのに」

 神宮寺は日直で、いつも登校時間が一時間早かったので、小清水さんと一緒に登校した経験しかなかった。
 二十人もの生徒が今いる道を通っていた光景を、神宮寺は知らなかった。

 月形さんが、嘉納の感傷なんて知ったことかと、冷たく発言した。
「校舎に行くまでに桜の木が一本あって咲いていたのを、知っていた? 人間も桜の花も変わりはしないわ。満開のときは目に映るけど、いつの間にか散って少なくなったと思ったら、もうなくなっている。私たちも、もうじき卒業よ」

 嘉納が月形さんの感想を聞き、神宮寺に話を振ってきた。
「卒業か。自衛隊には、魔道師しか入られへん部隊があるんや。流派は問われないから、ダレイネザル系でも問題なく入れるらしい。魔道師いう特殊技能があれば、採用試験は面接だけで、即採用になるみたいやからな。簡単や。どうや、神宮寺も来んか」

 神宮寺は笑って、もう何度ぐらい吐いたわからない嘘を吐いた。
「いいよ。遠慮しておくよ。俺、性格的に団体行動に向いてないし。それに俺、まだ十七だよ。自衛隊って、十八歳以上じゃなきゃ入れないだろう」

 嘉納は少し驚いたような顔で感想を漏らした。
「そうか、神宮寺は、まだ十七か。てっきり忘れておった。じゃあ、十八になったら考えてくれや。でも、神宮寺、十七には見えへんな。こうして改めて見ると、剣豪のような佇まいがあるというか、ちょっと普通の人間とは違うて見えるな」

 嘉納は魔道師になって、勘が鋭くなったのかもしれない。
 それとも神宮寺自身が知らないうちに、強い魔力を外にこぼしているのかもしれない。早目に実力を隠す魔法を覚えなければいけないと感じた。

 神宮寺は笑顔を心掛けながら、嘘を吐き続けた。
「おだてたって、何も出ないよ。嘉納だって、ダレイネザルの謁見が終ったら、凛々しくなったよ。俺、卒業後は剣持先生に頼んで、研究助手として学校に雇ってもらえないか、聞いてもらおうと思っている。月形さんは、どうするの」

 話の対象を神宮寺から逸らすために、月形さんに話を振った。
「私は札幌に出て、呪い屋をやるわ。魔道師なら、人を殺しても、普通の法では裁かれない。それに、世に恨みの尽きることなしって、言われるくらいだから、きっと、そこそこ繁盛して、やっていけるわよ」

 嘉納がすぐに突っ込みを入れた。
「卒業してすぐに、呪い屋なんてやっていると、他の呪い屋と遣り合わんきゃいけのうなって、痛い目ぇ見るで。痛い目ぇ見てからじゃ、遅いんちゃうか。生活いうんなら、俺と一緒に自衛隊に来いへんか、月形は十八やろ?」

 嘉納が月形さんをスカウトするなんて、ちょっと意外だった。

 月形さんが冷静に切り返した。
「遠慮しておくわ。私はこう見えても、トラブルを持ち込むほうなのよ。札幌なら、ダレイネザル専用の同業組合もある。同じ組合員同士がトラブルになったら仲裁もあるし、京都系や四国の呪い屋が相手なら、手も借りられる。私は一人でやっていけるわ」
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