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異世界で恋に落ちました  作者: 藤野
第八話
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2

 「ねえ、どう思う?」


 なんて、鳥に聞いたところで答えが返ってくるはずもない。いや、この何でもありな世界ならありえなくもないけれど、こんな可愛い仔たちから渋いおっさんボイスが出てきたらと考えるだけで恐ろしいから返ってきて欲しいとも思わない。お願いだから君たちはぴちゅぴちゅ可愛らしい声で(さえず)っていてください。


 ちょっとだけ手を動かして鳥さんを撫でる。ふかふかの羽毛が柔かく掌を刺激して気持ちいい。すりっ、と鳥が(くちばし)を寄せてきて、指先で(くすぐ)るようにしてあげると気持ちがいいのかうとうととし始めた。

 可愛らしい鳥たちに癒されながらも、やっぱりモヤモヤが消えることはない。初めて見たからっていう戸惑いも、少なからずあるんだろう。でも、それにしても違和感が大きすぎる。


 なんでシエラはあんな顔をしたの?触らせてもらえなかったから?でも、それなら普通は落ち込んだ顔だけで十分じゃない?


 わからないことが多すぎて、出てくる溜息が止められない。時間が無いからかな、気が急くっていうか疑心暗鬼になりすぎてる気がする。シエラは味方だって、最初に会ったときも私がここから逃げる手助けをしてくれるって言ってくれた人なのに。


 ごろりと寝返りを打ってみる、鳥たちがお腹から落ちて恨みがましい目を向けられてしまった。ごめんごめん、と二つの頭を撫でてやれば、すぐに機嫌を直してそのまま丸まった。


 コンコン、とノック音が響く。グランはノックなんてしないからきっとシエラだ。どうぞー、といつものように気軽に応えればやっぱりシエラで、でもその後ろには一人男の人を連れていた。

 確か彼は………………


 「リーダさん?」

 「リーガです、さつき様」


 あー、また間違えた。ごめんね、リーガさん。音が似てるからいっつも間違えちゃうんだよねぇ。え?似てない?いやいや、似てるって。一回口に出して言ってみなよ、わかるから。


 リーガさんはお風呂の時私を姫抱きして運んでくれる人。イケメンマッチョ三人衆、略してイケマッチョ衆のお一人さんね。リーガさんは一回目のお風呂のときに私を運んでくれた人でもある。あとの二人はファメルさんとガイスさんって言うんだって。

 イケマッチョ衆は目的ごとに役割分担して私の移動のお手伝いをしてくれる。イケメンに甲斐甲斐しく尽くされるとか私何様?って感じだよね。自分で言うのもなんだけどさ。

 羞恥心?ああ、そんなものはとっくの昔に捨てちゃったよ。人間は学習する生き物なのだよ、って誰かも言ってたよね。


 なんて言ってるうちに、リーガさんが私を抱き上げて、窓辺に近いソファーまで運んでくれた。室内にパン屑ばら撒くのはさすがに問題だから、お茶をする時はいつもここに運んでもらって、ここからベランダに撒くの。っていっても撒くのはシエラとかなんだけど。他力本願バンザーイ………………はぁ……。

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