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ふわふわと体が揺れる。柔らかい。温かい。
優しく頭を撫でられて、なんか幸せ。
「……、…………」
あ、誰かがなんか喋ってる。お母さんかな?それともお父さん?
どっちでもいっか、ごめんね。私まだ眠いんだ。もう少しだけ寝かせてよ。ね?
「………、…」
あ、またなにか言ってる。やだよ、私まだ寝たい。
でも、あれ?そもそも私、いつ寝ちゃったんだろ?寝た覚えなんかないのに。
まぁいっか。もしかしたら、これも夢かもしれないし。
これも?これもって、他に何かあったっけ?なんだろ、何かあった気がするけど………駄目だ、眠くて頭が回んないよ。
「………………………」
あ、今のはわかった。仕方ないなぁって溜息吐いたでしょ。そうだよ、仕方ないんだよ。だって眠いんだもん。睡眠欲は人間の中で特に強い欲望の一つなんだよ。本能なんだよ。だから仕方ないの。
だから、だから、………
「もう少しだけ、おやすみ」
最後にはっきりと聞こえた声は、私の知らない誰かの声で。