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異世界で恋に落ちました  作者: 藤野
第五話
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 そんなこんなで、所変わって、って言うのかわからないけど、私は現在恐らく中庭だろうと思われる場所にいます。なぜ「恐らく」とか「だろう」とかが付くのかと言えば、……広すぎて自信が持てないから。

 右を見れば木、左を見ても木。ついでに前も後ろも木、木、木。見事に木しか見えません。あれ、なんかこんな光景見覚えあるような……?

 まあ、現状を一言でまとめると……


 「…………………遭難なう」


 これに尽きます、はい。

 もうなんなのかな?なんなのかな!?私遭難しすぎじゃない?こっちに来てからもう二回目だよ?

 私、方向音痴じゃないはずなんだけど……正直本当に本当なのか不安になってきた今日この頃です。


 とりあえず、そのままボーッと突っ立っていても何にも変わらないからひたすら歩く。剪定(せんてい)って言うんだっけ、木にはちゃんと手入れがされてるみたいで、聖域の時みたいにあちこち引っ掛けたり怪我したりはしないで済むことにホッとした。

 だって、私の今着ている服、実は私のじゃなくてルーグさんが手配してくれた服なんだよね。あ、実はも何もないか、身一つでこっちに来たんだから。

 まあそういうことで、つまり私の今着てる服は私の服じゃないから汚したくないし、破るなんて以ての外。それにこの服可愛いんだよ。


 私が今着てるのは、ミニスカート丈のワンピースーーというか、エプロンドレスだ。型はしっかりしてて、白と水色のコントラストが可愛い。袖は半袖で、でもそれだとまだ肌寒いから二の腕も少し隠れるくらい長い手袋で調節してて、スカート部分は中からドロワーズで膨らましてる。

 簡単に言うと、アリスとかが着てる服のミニバージョンだ。ちなみにスカートで隠れない所は白黒太めストライプのニーハイで隠してます。生足晒せるほど綺麗な足じゃないんで。だから絶対領域なんてものもできてたりする。


 あ、今よくそんな格好でバタバタ走れたなって思ったでしょ。

 いやいや、これが案外走りやすくってね。膨らましがパニエじゃないから捲れ上がってもスカートの中身は見えたりしないし、そもそもミニ丈だからあんまり足にまとわりつかない。

 なにより、靴がヒールのあるやつじゃなくてぺったんこだから、走ってもバランス崩すなんてことはないんだよね。ストラップのおかげで靴が脱げる心配もないから、走りやすい走りやすい。


 おっと、話が逸れた。服が自分のじゃないしすごく可愛いってのも確かに破いたりしたくない理由ではあるんだけど、一番の理由は別にあったりする。

 というのもこの服、めちゃくちゃ高そうなんだよね。生地がさ、凄く肌触りいいの。柔らかくて、軽くて、サラサラ。ストレッチ素材ってわけじゃないけど締め付けてこないし、かといってすぐに伸びるわけでもない布素材だ。エプロン部分に使われてる布も手袋もニーハイも、全部そう。縫い方も綺麗だし始末がいい。

 靴も、柔らかい素材だけど型がしっかりしてて、いいやつっぽい。結構走ったつもりなんだけど、靴擦れしてる感じもしないから、もしかしたら何かの革を使ってるのかも。

 とまぁ、こんないい格好をしてるから、破いたりなんてしたくないんだよ。弁償とかできないし。

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