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異世界で恋に落ちました  作者: 藤野
第一話
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 どれだけ経ったのかわからないけど、大分日が暮れてきたみたい。所々で見える影がやけに長細い。空はまだ赤らんでないけど、それも時間の問題かな。

 夜になる前に、せめて開けた所を見つけなきゃ。


 自慢の視力2.0の目は汗と乾燥で(かす)んでるけど、必死に凝らして木々の隙間を見る。

ずっとずっとずっと、木がたくさんある。


 その、先に。



 「……っ!」


 見えた物に、一気に体に力が戻る。


 見えた。ほんのちょっとだけど、確かに見えた!木のない場所!!

 出口だ。やっと出口だ!


 助かる、出れる。そう思ったら泣けてきて、水分もったいないって思ったけど、それでもいいやって思えた。


 だって、助かるんだよ、私!


 木の棒を放り捨てて、(もつ)れる足を叱咤(しった)して、上げて、蹴って、走って。

 近づいてくる、遠のいていく、たくさんの木。

 それを全部追い抜かして、手を伸ばして。



 「………ぇ」



 浮遊感。

 下から吹き上げてくる風と、上にずれていく見飽きた木。その根元は地面ギリギリどころか、地面を突き抜けた所にもあって。その下は壁面で。


 あそこから、落ちたんだ。

 あんなに頑張ったのに、こんなのってないよ。


 私は目の前が真っ暗になった。

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