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どれだけ経ったのかわからないけど、大分日が暮れてきたみたい。所々で見える影がやけに長細い。空はまだ赤らんでないけど、それも時間の問題かな。
夜になる前に、せめて開けた所を見つけなきゃ。
自慢の視力2.0の目は汗と乾燥で霞んでるけど、必死に凝らして木々の隙間を見る。
ずっとずっとずっと、木がたくさんある。
その、先に。
「……っ!」
見えた物に、一気に体に力が戻る。
見えた。ほんのちょっとだけど、確かに見えた!木のない場所!!
出口だ。やっと出口だ!
助かる、出れる。そう思ったら泣けてきて、水分もったいないって思ったけど、それでもいいやって思えた。
だって、助かるんだよ、私!
木の棒を放り捨てて、縺れる足を叱咤して、上げて、蹴って、走って。
近づいてくる、遠のいていく、たくさんの木。
それを全部追い抜かして、手を伸ばして。
「………ぇ」
浮遊感。
下から吹き上げてくる風と、上にずれていく見飽きた木。その根元は地面ギリギリどころか、地面を突き抜けた所にもあって。その下は壁面で。
あそこから、落ちたんだ。
あんなに頑張ったのに、こんなのってないよ。
私は目の前が真っ暗になった。




