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異世界で恋に落ちました  作者: 藤野
第五話
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6

 そんな風に、いつも通りローザさんと談笑していたらドアがノックされた。どうぞー、と声をかけて応えると、現れるのは予想に違わずのルーグさん。


 あの日から、ルーグさんは毎日休憩と称して私たちのお茶会に混ざりに来る。

 最初は突然やって来られて、ローザさんとのお楽しみタイムがばれてルーグさんは顔を顰めた。確かに、ぱっと見サボりにしか見えないもんね。だからちゃんと、私が一人では寂しいからってお願いしてると伝えた。ルーグさんは渋々ではあったけど納得してくれた。それからだ。二人よりも三人の方が、と言い出してルーグさんが参加するようになったのは。


 「さつき様、ご機嫌はいかがですか?」


 にこにこと笑顔のルーグさんはそのまま真っ直ぐ歩いてきて、当たり前のように私の隣に腰掛ける。ちなみにローザさんはテーブルを挟んで向かいの席。丸いテーブルではないから二対一になって、ローザさんが居辛くないか心配だ。

 こっそり窺ってみる。……心配は杞憂だったみたい。ローザさんは平然と淹れたばかりのアメジストティーを(すす)っていた。

 アメジストティーっていうのは、その名前の通りアメジストのお茶。どうやってるのかはわからないけど、宝石から旨味だとかの成分を抽出して取り出したエキスを改めて、今度は水溶性の結晶にして、茶葉と一緒に蒸らしているらしい。すると、どういった科学変化を起こしているのかお茶本来の色が消えて、宝石の色だけが出るらしく、今飲んでるアメジストティーも綺麗に澄んだ紫色だ。味は、私はそこまで味覚が鋭いわけではないから違いとかまでわからないけれど、普通のお茶よりまろやかな気がする。渋みとか雑味もない。 つまり、美味しい。

 美味しい物大好きな私はお茶とお菓子だけでも十分幸せなんだけど、そこに美人さんがプラス、しかも両手に花状態ということで極楽気分。目の保養、目の保養。

 ……………なんだけど。


 「さつき様、私も追加でお菓子を持って参りました!ぜひご賞味ください!」

 「さつき様、お茶のおかわりお注ぎ致しますね」


 ………なんででしょうか。その美人さんたちが、私をダシにして競い合っています。しかも、これもいつも通りだったりして。

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