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異世界で恋に落ちました  作者: 藤野
第一話
3/134

3

 服は木に引っ掛けたり転んだりしたせいでもうボロボロだった。気に入ってたヤツだったのに、もう着れないな。

 体も、あちこち切り傷や(あざ)ができてて痛い。まだ血が滲んでるのもあるから、消毒は無理でもせめて洗うくらいはしたい。()んじゃったらもっと辛い。


 それでもせめてここを抜けるまではって頑張って歩いてきたけど、普段運動なんてしないから足が重いなんて通り越して胃が重い。長時間歩くと胃にくるって本当だったんだな、知りたくなかったよ。

 喉も渇いた。木の実で水分補給するにも限度がある。果木の多いここはサバイバルもしやすいけど、でも水が無いからやっぱり厳しい。食料だけじゃだめなんだよ。


 もうやだ。疲れた。歩きたくない。


 泣き言なんていくらでも出てくるけど、状況が変わらない。諦めて立ち止まっても誰も助けてなんてくれない。だってそもそも、人がいないんだから。

 落ちてた太い枝を杖に見立てて、もう上がらなくなった足を引きずる。加工されてないそれを身体の支えにしてるから手のひらには細い繊維がたくさん刺さってるし、そもそも転んだりした拍子に手を付いたからもともと傷だらけ。皮めくれてるだろうな。今見たらすごいグロテスクな事になってることは分かり切ってるから怖くて見れてない。


 森を出て、誰か人を見つけて。そしたら手だけは絶対手当お願いしよう。足とか自分でできる範囲はやるけど、手はできそうにない。(とげ)抜きとか特に。ピンセット握れない。


 だから、もう少し。あと少し。頑張れ、私。


 ガツンと杖で地面を抉って、自分を奮い立たせた。手のひらが余計に痛かった。


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