表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で恋に落ちました  作者: 藤野
第三話
25/134

5

 ローザさんは、真面目だけど手の抜き方を知ってる人だ。要領がいい。それは私もすぐに気づけたし、そうだからこそ提案が通ったわけなんだけど。

 あの時の私は、提案を提案としてではなくお願いとして口に出したから、誰かに見咎(みとが)められたとしてもローザさんが責められる事はない。だって、“私が”お願いしたんだもん。……って、この言い方なんか嫌だな。どっかのワガママ女王様みたい。

 とはいえ、贔屓(ひいき)だサボりだとローザさんが裏でこそこそ言われるのは嫌だから、やっぱりこれは二人だけの秘密。


 「旦那様に知られたら……恐ろしいですわね」

 「えー?ルーグさん優しいし、大丈夫ですよー」


 心配しすぎですって!と気楽に笑い飛ばす私に、ローザさんはどうしてか苦く笑った。



 「ローザさん、ローザさん。またお話聞かせてください!」


 ローザさんとのんびりしてる時、私はいつもローザさんに話をせがむ。それはローザさんが遭遇した面白い事だったり、ヴァルガン領についてだったり、それを飛び越えてお隣の領や国や他国の事だったりと内容はバリエーション豊かだ。

 ローザさんは情報通のようでたくさんの事を知ってるし、話もまとまってるから聞きやすい。聞いてるだけで私まで楽しくなる。ローザさんの話術、すごいなぁ。


 「そうですね……では、聖パトリシア様の大恋愛の逸話などいかがです?」

 「大恋愛!?えっ、パトリシア、恋したの!?」

 「ええ、それはもう熱烈な恋だったと言い伝えられております。書物にもなっておりますのよ」


 今でも重版のかかる超ロングセラーですと付け加えられて、そんなに人気なんだと余計に興味が煽られた。


 だって、すごく意外かも。あんな高飛車な人が恋なんて!みたいな。

 恋人さん苦労したんじゃないかなぁ、あんなプライドの塊みたいな人と恋愛なんて。あ、でも恋人さんにはデレたりするのかな?ツンデレってやつ?

 ああもうっ、もう気になってしょうがないよ!


 聞きたい聞きたいと話をねだれば、ローザさんは落ち着いてくださいと苦笑いして、それでもそわそわする私に口を開く。


 苛烈な人だから、きっと本当に熱烈な恋をしたんだろうな。どっちが先に好きになったのかな。


 楽しみで仕方ないと、目先の事に囚われて忘れてた。

 パトリシアが、私と同じだってことを。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ