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異世界で恋に落ちました  作者: 藤野
第十三話
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3

 図書館の閑散とした雰囲気が好きだと思った。何でだろうと考えたら、その答えにはすぐに行き当たる。ここの空気は、宝物庫に似てる。一度しか入ったことはなかったけど、あれはなかなか忘れられない。だって人生初のお姫様抱っこ体験があったからね。自分よりずっと華奢な人に抱きかかえられる、なんて体験もした。初めて異世界あっち地球こっちの共通点を見つけたのもあの場所でだった。

 思い出しながら、手元の雑誌のページをめくる。格好だけ。一文字も読んでなんていないけど、こうしていれば余分に話しかけられることはないから。

 美帆が言うように、周囲には私が大人っぽく映っているらしい。帰ってきてからというもの、良く誰かしらに話しかけられるようになった。

 告白、なんてものもされた。

 でも、嬉しいとは思えなかった。

 異常なほど、私は未練を残している。執着している。

 私がこんな風だから、合コンなんて持ちかけられたのかな。彼女なりの心配だったんじゃないかと今気がついた。


 「今週末、か……」


 行くと言ってしまったから、今更反故にすることもできない。今は気が乗らなくても、行ってみたら案外楽しくなったりするんだろうか。そうして、次に目を向けられるようになるんだろうか。

 それはきっと良いことのはずなのに、胸の中がモヤモヤとして晴れることはなかった。

 最近はこんなことばっかりだ。もっと楽天的な性格だったはずなのに。時間が経てば経つほど、それから遠ざかっていく。


 きっかけがほしいと思った。私がもう一度一歩踏み出せるようになるためのきっかけが。

 その結果がどうなるのかはわからないけど、今のままではいたくないから。


 今週末。それが、きっかけになってくれればいい。

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