おんながおとこに抱かれるということ
今日は暑いねといいながらくるまを走らせている。
まだそんなに年がいっているようにはみえず、
車のミラーには奥さんとまだ小さいこどものプリクラがぶらさがっている。
たしかに暑いなあとおもう。そう言って私はわらう。
くるまが止まる。プリクラがゆれる。
私たちはドアを閉めホテルの受付に向かう。
私はすこし後ろでへやをえらぶ背中をみる。
同じことがはじまって同じように終わる。
シャワーをあびようと起き上がった瞬間に、鮮やかな赤。
奥さんに塗られたんだ、とわらうのをみる。
うわきぼうしって。へんでしょこれ。
といいながら、だからといって隠すこともせず。
あるがままにその人の足のあかい小指がひかっている。
わたしはシャワーをあびている。
服を着てくるまにのりこむ。プリクラがゆれる。
いつもみたいな話をする。
あかいゆびとゆれるプリクラのあいだのけしきを眺めながら、わたしはわらう。