5話 謎の遺跡
雪国ホワイトのとなりにある国、スフェル。
その国の中心にある城、スフェル城の王室に一人の男が扉をノックする。
「ゼル様。いらっしゃいますか?」
そう男は言うと、王室の中から声が聞こえた。
「何用だ?」
そうゼルは言うと、黄色い短髪の男が王室に入ってきた。
「松田隼人を見つけました。場所は日本です」
「日本……。よし、すぐに向かうぞ」
そうゼルは言い、椅子から立ち上がり、王室を出て行った。黄色い短髪の男はゼルについて行った。
白い鎧を身に付けた兵士がゼルと黄色い短髪の男を見て言う。
「ゼル様!どちらに……?」
「ゼル様と俺は少し出かける。お前らは城の警備を黙って続けていろ」
「りょ、了解しました!」
と黄色い短髪の男の命令に返事した兵士は、スフェル城の門をくぐるゼルと黄色い短髪の男に敬礼した。
「ゼル様。日本に行くには黒い箱を使えば、すぐ行けます」
と黄色い短髪の男は言うと、ゼルは答える。
「だから、あの遺跡を目指して歩いておるではないか」
「失礼しました」
やがて、ゼルと黄色い短髪の男はある遺跡に辿り着いた。
その遺跡はホワイト国とスフェル国の国境に位置していた。
二人は遺跡の中に入り、黒い箱を見つけると、ゼルはその箱のフタを開けた。
「さて、行くぞ」
そうゼルは言い、二人は悪魔界に転送された。
一方、俺と江川とホワイト国の使いの者は、悪魔界の泉の近くに設置された黒い箱の前に立っていた。
その泉は悪魔城からあまり遠くないので、悪魔城を後にしてから3分ほどで到着した。
「この箱から、雪国ホワイトの国境にある遺跡へ行けます」
と使いの者は言うと、江川は使いの者に聞いた。
「本当に雪国に行けるのか?悪魔界とは人間界の反映世界のようなもの。ここで人間界にワープすれば、人間界の日本に辿り着くのでは?」
「確かに悪魔界は人間界の反映世界です。ここは人間界では日本でしょう。しかし、悪魔界と人間界の箱は繋がっているのです」
そう使いの者は言うと、俺は聞き返す。
「繋がっている?どういうことだ?」
「黒い箱は人間界と悪魔界、両方に同じ数だけあるということです。つまり、悪魔界の黒い箱Aと人間界の黒い箱A。悪魔界の黒い箱Bと人間界の黒い箱B。それぞれAの時空、Bの時空があり、時空を渡って我々は世界を移動しているのです」
すると江川が聞く。
「つまり、人間界から悪魔界に行くとき、人間界のAの箱を使えば、悪魔界のAの箱から現れるということだな」
「そうです。例え、悪魔界の箱Aが日本に会って、人間界の箱Aがアメリカに会っても、二つの箱同士は繋がっているので、無事にワープできるんです」
と使いの者は答えると、江川は目の前にある箱のフタを開けた。
「じゃあ、行くか」
そう江川は言うと、俺と使いの者と江川は人間界のホワイト国とスフェル国の国境にある遺跡にワープされた。
「寒っ‼」
と俺は言い、身を丸くした。
元々、雪国に行く予定なんてなかったものだから、厚着なんてしてこなかった。
制服だ。灰色のズボンに、黒いブレザー、白いワイシャツに赤いネクタイ。
これだけ。うむ、寒い。
服装は江川も同じだった。
江川も寒がっているだろう。そう思い、俺は江川を見ると、江川は灼熱の素手を器用に扱い、火の玉を抱き枕のように抱きかかえていた。
「あ~、あったけぇ……」
江川は幸せそうな顔で言うと、白い厚着を着ている使いの者は歩き出した。
「さぁ、行きましょう。ホワイト城へ」
この三人の中で誰よりも寒がっているのは俺だった。
そんなことを思い歩きながら、俺は遺跡を見渡していると、あることに気づいた。
この遺跡は、かつてレティアに願いを叶えさせるために天真と戦った遺跡ということを。
そこには確かに、悪魔の邪眼の重力変化を使い、操ったガレキなどか、至る場所にあった。
全部、見覚えのあるガレキ、見覚えのある光景だった。
雪国ホワイトは悪魔だけでなく、天使も関係あるのだろうか。
もしかしたら、創造神レティアも関係あるのかもしれない。