4話 ホワイトとスフェル
「いやいや!助けてくださいって⁉どゆこと⁉」
と俺は女王の使いの者に聞くと、江川がその者に聞く。
「詳しく説明してくれませんか?」
すると使いの者は答える。
「はい。全ての始まりは、三日前のことでした……」
三日前、雪国ホワイトの城で、女王がベッドの上でうなされていた。
「う……うぅ!」
「女王様!どうしたのですか⁉女王様!」
と執事がうなされている女王に問いかけると、女王は目を覚ました。
「っっ‼……ハァ……ハァ……」
「どうなさいました?とても悪い夢を見ていたのだと思いますが……」
と執事が目を覚ました女王に聞くと、女王は執事を見て言う。
「夢の中で、母様に会いました……」
「今は亡き、先代の女王ホワイト様ですか?あの方はたった一人でこの王国を築いた偉大な方……。で?その先代の女王様がどうかしたのですか?」
そう執事は聞くと、女王は答える。
「母様の予言です」
「予言ですか。一体どのような?」
「闇の彼方より、黒い使者が現れ、この世界の人間を滅亡させるのです」
「それは……。なかなか不幸な夢ですね……。お茶を出しましょう」
「夢ではない」
と女王は言うと、女王は窓の外の雪景色を見て言った。
「これから何かが起こる、そんな予感がするのです。母様には夢で未来を予知するということが何度かありました。母様はこれから起こる大きな災いを、夢を利用して私に伝えようとしたのだと思います……」
そのとき、女王の部屋に兵士が入ってきた。
その兵士はとても慌てていた。
「敵軍が攻撃して来ました!我々は直ちに防衛ラインを確保して、戦闘準備をしています!」
「敵軍だと⁉隣国のスフェル軍か⁉」
と執事が兵士に聞くと、兵士は答える。
「そうでございます!敵将も攻撃しに来ました!」
「スフェル軍はどうやら本気でこの城を占領するつもりですね。A班からE班までの騎馬たちを出撃させなさい!他の兵は城を固めろ!」
と女王は兵士に指示すると、兵士は「ハッ!」と答え、女王は執事に指示した。
「あなたは城下町の者に、外出禁止を告げてください」
「かしこまりました」
と執事は返事をすると、部屋を出て行き、女王も戦闘服に着替え、銀の剣を持ち、部屋を出て行った。
城の門の前で、何百人という数の兵士がスフェル軍を待ち構えていた。
「騎馬隊も出撃したし、門の前までは敵軍も来ないんじゃ……」
と一人の兵士が言っていると、城下町にある音が響き渡った。
《ヴーヴー‼敵軍の急襲。住民は避難し、兵は戦闘準備せよ》
そのとき、城の門の前に待ち構えている何百人の目の前に一人の男が現れた。
その男は、髪の色は青で、長い髪の毛にオールバックの男だった。
「あれは!敵将のゼル・フォナード‼」
と一人の兵士は青髪の男を見て言うと、隊長らしき男が兵士たちに指示する。
「かかれぇー‼‼」
「「「うおおおおおおおおおお‼‼」」」
大量の兵士たちが、槍を構え、敵将に向かって突進してくる。
敵将は、右手の手のひらを握りしめ、氷のような目で突進してくる兵士たちを見た。
兵士たちが持っている槍が、敵将に刺さりそうになる瞬間、敵将は握りしめた右手を、兵士たちに向けて、手を開いた。
「………開‼」
そう敵将は言うと、何百人の兵士たちは敵将の手のひらからの風圧で一斉に吹っ飛ばされてしまった。
「「「ぐああぁぁぁ‼‼」」」
そう叫びながら、何百人の兵士たちは、吹っ飛ばされ、気を失ってしまった。
そして青髪の敵将は手を上げ、合図すると、何百人の兵士たちが、ホワイトの城に侵入していった。
そして、城の門をくぐったスフェル軍。城の前にいたのは、女王だった。
女王は敵将を見て言う。
「まさか、ここまで攻めてくるとはな」
「我々は戦争をしに来たのではない。ホワイト軍。我々スフェル軍に手を貸して頂きたい」
「自国に攻めに来た敵軍に手を貸すとでも?」
と女王は言うと、城を囲む砦のいたる場所から剣を持った大量の兵士たちが、敵将に攻撃を仕掛けた。
すると敵将は右手を握りしめ、その右手の手のひらで地面の雪に触れた。
「………開‼」
すると、スフェル軍もろとも、ホワイト軍の兵士たちは空中に風圧で舞い上がった。
舞い上がった兵士たちは皆、血を吐きながら、地面に落ちて行った。
「女王、あなたの選択でこの国は変わる。我々に力を貸し平和を保つか、力を貸さず滅びるか……。さぁ、どうする」
そう敵将は言うと、女王は歯を食い縛りながら言う。
「わかりました」
三日前の回想はここで終わるとしよう。
そして、現在、悪魔界の城のレアルの部屋に、ホワイト国の使いの者が現れたということだ。
「スフェル軍が我々ホワイト軍に連合を組んだ理由は、スフェル軍の大将、ゼル・フォナードの夢にあるのです」
そう使いの者は言うと、江川は聞き返した。
「夢?」
「その夢はその日に女王様が見た夢と同じ、世界の滅びる夢なのです。黒い使者たちの襲撃者、それを討つべく、スフェル軍は強引に連合を仕掛けたのです」
と使いの者は言うと、俺はその者に聞く。
「でも、なんで俺なんだよ?悪魔とは関係はないだろ?」
「いえ、我々の国の先代女王は悪魔の呪憎裏というものを解除し、予知能力を得たと言われています。それにホワイト国は悪魔と永い因縁があるとも言われています」
するとレアルが俺に言う。
「黒い使者って……。ひょっとすると、死神なんじゃ……」
「死神は神話時代で、全て倒したはずだ。ジンだって死んだんだし、それはないだろう」
そう俺は答えると、江川は俺に聞く。
「どうする、隼人。行くのか?」
「お前はどうする?」
「お前が行くなら、行くさ」
江川はそう言うと、俺は使いの者に言う。
「俺と江川を案内してくれ!少し調べたいことがある!」
「はい!わかりました」
と使いの者は言うと、俺と江川は使いの者とともに悪魔城を後にした。