38話 女王降臨
「来たか……」
丘の頂上にいるラミレスはそう言うと、その隣にいるガライが言う。
「まさかここまで来るとはな、ホワイト国の姫君、スノール女王よ」
そう、ガライとラミレスの前に現れたのは俺とスノール女王と使いの者だった。
丘の上のせいか雪がずっしり積もっており、肌寒く、さらに天候が少し悪いため、なかなか相手の状況がわからない不安定な状況だった。が、ガライとラミレスは二人とも部分死神化しているので、独特の殺気を感じることができた。
ラミレスが俺たちに言う。
「たかが人間が、俺たちに叶うとでも思っているのか?それにだ、もはや世界は終わりだ。なんせ、8億体ほどの死神が世界中に解き放たれたのだからな。いくら最強の魔術師といえど、世界を飛び回るなんて不可能だ。あと少しで世界中の人間が死神となり、人類死神計画は成し遂げられるのだ」
『いいえ、その計画は成し遂げられません』
突然、テレパシーのように聞こえる声は、俺たちもガライたちも聞こえていた。
だが、誰もその言葉を発してはいなかった。
「この声は……まさか……」
ガライはこの声に心当たりがあったようだった。スノール女王も心当たりがあるようで、どうやら動揺しているようだった。
すると、スノール女王の身につけているイヤリングから、不思議な青白い魂のような物が空に放たれた。
空に放たれた青白い魂は、だんだん人の形になっていき、青白い幽霊のような女王が現れた。
「ほぅ、これは久しぶりだ」
「やはり、貴様だったか」
ガライとラミレスはそう言い、俺は誰だかわからず使いの者に聞こうとしたが、使いの者はその幽霊に深く礼していた。
スノール女王は少し涙目でつぶやいた。
「母様……なのですか……?」
「母様って、先代のホワイト国の女王様か!」
俺は納得した。スノール女王が身につけていたイヤリングから放たれた魂は、先代ホワイト国女王、ホワイト女王だったのだ。
『ガライ、ラミレス。あなたたちは浅はか過ぎる。そして、この計画を再び企てた者も……。こちらには、最強の魔術師と、この私がいるのです。私たちがいれば、あなたたちなど造作もなく倒せます』
「そ、そんなこと言っちゃって良いんですか⁉」
俺はホワイト女王にそう聞くと、ガライがホワイト女王に向かって、鎖を放った。
だが、放った鎖は、ホワイト女王の身体をすり抜けてしまった。
「直接ダメージを与えることはできないのか。どうやら、ホワイトを殺すにはスノールを叩くしかないようだな」
ガライはそう言うと、使いの者がスノール女王の前に立った。
「女王様は守ります‼松田隼人さん‼先陣をお願いします‼」
「おう!」
『行きましょう。みなさん』
ホワイト女王はそう言い、人差し指をガライたちに向けると、指先から輝かしい光線を放った。
ガライとラミレスはその光線を避けたが、ホワイト女王は指先を天に向けると、その輝かしい光線が天に向けられ、雲を二つに斬り裂き、地面を二つに分けた。
さっきまで悪い天候だったが、その攻撃で一瞬で快晴になった。
なんて、威力だ。ホワイト女王は想像より、半端ないお方だったことに俺は気づいた。
「さすが、神の身体の一部を持っていると言われている女王なだけはある。だが、所詮は人間」
ガライはそう言うと、朱い鎌を構え、使いの者に向かって攻撃を仕掛けた。
使いの者はガライの振って来る鎌を避け、ガライの隙を付き、ガライに手を向けた。
「……開‼」
使いの者はそう言うと、使いの者の手から、雷撃が放たれた。
ガライはギリギリ雷撃を避け、使いの者との距離を置いた。
「あのホワイト国の犬……雷神一族の血を引いてるな?」
「数百年前に風神一族によって滅ぼされたと聞いたが、まだ生き残りがいたとはな」
ガライとラミレスがそう話していると、ホワイト女王がスノール女王に言った。
『スノール。きっとあなたと会えるのはこれが最後でしょう。いつまでもその天使武器、霊魂の耳飾りの中にいるのは良くありませんからね』
「母様!もうホワイト国の国民や、兵士はほとんど死神に殺されてしまいました。私は一体どうすれば⁉」
『まずはこやつらを倒すのです。そして、また始めからやり直しなさい!あなたが全てをやり直すのです!』
ホワイト女王はそう言い、ラミレスに攻撃を仕掛けた。
「こいつら、なかなか手こずらせるじゃねぇか……」
ガライがそう言っていると、ガライの背後に鬼のような人が現れ、ガライは蹴り飛ばされてしまった。
蹴り飛ばされたガライは態勢を整え、戦闘態勢に戻った。
ガライを背後から蹴り飛ばしたのは鬼神化した俺だった。
鬼神化した俺は、ガライに言う。
「お前らはここでぶっ倒してやる‼」




