2話 謎の襲撃者
「あれは……」
とぼそっと俺は江川に言う、そう、電車の中でいきなり男のサラリーマンが化けの皮を破り、悪魔の姿になったのだ。
「この臭い……。臭うぞ、悪魔と関係を持つ人間の臭いが!」
と悪魔は言うと、他の乗客たちは悲鳴をあげていた。
「きゃああぁぁぁ‼」
「うわぁぁぁ!なんだ⁉あれは⁉」
今、電車の中で悲鳴を上げてない人間は俺と江川だけだった。
「いくぞ、江川!」
「あぁ」
と二人は言うと、俺は身体の三割が悪魔の継承で悪魔化し、江川はバッグから灼熱の素手を取り出し、身に付け、悪魔に向かって走り出した。
「ハァァァ‼」
と江川は言いながら、手から炎を出し、悪魔に向かってパンチを放つ。
しかし、悪魔はパンチを避け、江川を蹴り飛ばした。
「お前らか、この臭いは……」
と悪魔は俺たちを見て言うと、江川は起き上がり、問いた。
「お前の目的は何だ⁉ただの殺しか⁉」
悪魔は素直に江川の問いに答えた。
「俺を他の悪魔たちと一緒にするな。俺の名はジェラフート。ある方の命令でな。悪魔の継承を持つ者を探している」
「…………っ‼⁉」
俺はとっさに左腕に身につけてある悪魔の継承を隠した。
だが、もう時すでに遅かった。
「どうやら、そこのお前らしいな。悪魔の継承の使用者は……」
とジェラフートは俺を指差した。
真っ黒い、爪の鋭く長い指で。
「ある方って誰だ?」
と俺は聞くと、ジェラフートは言う。
「さぁな」
「心当たりはないが……。まぁいい、お前は悪魔界に連れて行く!」
と俺は言うと、俺はジェラフートに向かって攻撃を仕掛けた。
「直接的だな」
とジェラフートは言うと、俺のパンチを軽く受け止めた。
「サタンデーモンを倒したとは思えねぇ弱さだ」
とジェラフートは言うと、俺はジェラフートのパンチをまともにくらい、電車の奥のほうに吹っ飛んでしまった。
(サタンデーモンを知っている⁉ということは、この悪魔が言うあの方って……まさか……)
と俺は起き上がりながら思っていると、江川がジェラフートに攻撃を仕掛けた。
そのとき、電車の外から何者かが窓ガラスを割り、ドロップキックを江川にヒットさせた。
「ぐあっ‼」
江川はそのまま吹っ飛び、窓ガラスを突き破り、外へ飛ばされてしまった。
江川はとっさに判断し、線路の近くに建てられていた建物の壁を壁キックし、電車の外から窓を突き破り、また電車の中に戻ってきた。
「大丈夫か江川!」
と俺は言うと、江川は答える。
「大丈夫だ。それより、また一人増えたな。援軍か?」
と江川は言うと、現れたもう一人の敵を見る。
「ジェラフート。人間二人に何を手こずっている?」
と新たに現れた者は言うと、ジェラフートは答えた。
「いやな、こいつらも、お前と同じ悪魔の関係のある人間でな。それに一人は悪魔の継承を身につけている」
そう言うと、新たに現れた者は俺たちを見た。
俺たちもその者を見て驚いた。人間なのだ。
黄色い短髪で、目つきが鋭く、真っ黒い戦闘服を身につけた男だった。
「悪魔の継承か……」
黄色い短髪の男は言うと、俺たちは身構えた。
すると、黄色い短髪の男はジェラフートに言う。
「ここは退くぞ。今、目立ちすぎた行動をするのは危険だ」
そう言うと、黄色い短髪の男とジェラフートは光と共に消えてしまった。
荒れた車内の中にいるのは俺と江川だけだった。
他の乗客も他の車内に移動し、無事だったから、まぁ、ラッキーだろう。
俺と江川はその後、奴らのことを話していた。
一体、何者なのか?あの方とは、本当にサタンデーモンなのか?