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27話 吹き飛ばせないもの

「痛ッ……」

目を覚ましたマースさんは、天魔化した俺を見て驚いていた。


「隼人⁉しかもあれはジンを倒したときの姿じゃないか!」

マースさんに続いて漢頭や江川を目を覚ました。

「あれは……隼人か!」

「隼人がゼルと戦っているのか⁉」

目を覚ました二人はそう言うと、ゼルも俺の姿を見て睨みつけ言う。


「殺気がさっきまでとちがう……。それにその錫杖の先に付いている石は“魔法結晶”だな……」

「……魔法結晶のことを知っているなら、最強の魔術師の神話のことも知っているのか?」

俺はゼルにそう聞くと、ゼルは答える。

「あぁ、知っている。それがどうした?」

「その世界を破滅にもたらした死神デスパーソンをお前は復活させようとしているんだぞ!わかっているのか⁉復活したら大変なことになるんだぞ!」


「あぁ、わかっている。すべては平和を生むためだ」


ゼルはそう答えると、俺に向かって走り出し、両手の手のひらを握りしめた。


すると両手のひらから放つ突風をジェットのように扱い、高速的な速さで俺の左側から攻撃を仕掛けてきた。


だが、俺はすぐに反応し、魔術を発動した。

すると、ゼルの放ったパンチが魔術で生み出された氷によってガードされてしまった。


「氷だと⁉」


ゼルはそう言い、氷ごと俺を吹っ飛ばそうとしたのか、右手を握りしめ俺に向けた。

だが、俺はゼルが突風を放つよりも速く、パンチを仕掛けていた。


だが、また俺がゼルを殴り飛ばすタイミングとゼルが俺に風圧を放つタイミングが重なり、両者吹っ飛んでしまった。


壁まで殴り飛ばされたゼルは、態勢を整え言う。


「強い……。こいつはなぜこれほどの力を……!」

「当たり前だ。お前が今、相手にしているのは最強の魔術師なんだからな」


俺はそう言い、洞窟のいたる場所に転がっている数十個ほどの岩を悪魔の邪眼グラヴィレイの重力変化で軽く浮かせ、その岩をゼルに向かって勢いよく飛ばした。


するとゼルは左手の拳を握りしめ、無数の突風の塊を俺に向かって放った。


一つの岩と一つの小さな風圧がぶつかり合うと、岩が完璧に砕け散ってしまった。


(あの突風、魔力も吹き飛ばすんだったな。なら、重力も無効化されるということか!)


俺はそんなことを考えていると、無数の突風が俺に向かって飛んできた。俺はその無数の突風の塊をジャンプして避け、ジャンプした俺はそのまま悪魔の邪眼グラヴィレイで自らの重力を軽くし、空を飛ぶようにゼルに向かって真っ正面から飛んで行った。

ゼルに向かって飛びながら、俺は言う。


「お前も相当なダメージを抱えているようだな、足がフラついてるぜ?」

「真っ正面から来るとは!ヤケになったか!」


ゼルはそう言うと、右手の手のひらを握りしめ飛んでくる俺に向かって、握りしめた手を向けた。


それと同時に俺は手に持っている錫杖を、ゼルに向かって勢いよく投げ飛ばした。


「……ッ‼」


ゼルはすぐに反応し、飛んできた錫杖を身体の重心をズラして避け、飛んでくる俺に向かって右手を開いた。


「真っ正面から風圧をくらうが良い‼……開‼」


すると、ゼルに向かって飛んできた俺に激しい風圧が襲いかかった。


「吹っ飛べぇ‼‼」


ゼルはそう怒鳴ったが、俺は吹っ飛ぶことはなかった。激しい風圧の中にいながら、その場に浮いていたのだ。


「その程度じゃあ、吹っ飛ばねぇよ」

「バカな‼風圧を受け止めるなど‼ええい‼」


ゼルはそう言い、さらに左手からも俺に向かって風圧を放った。ゼルは両手からものすごい風圧を放っているのだが、俺は吹っ飛ばなかった。


「どうなってるんだ⁉悪魔の邪眼グラヴィレイの重力なら、突風で吹き飛ばされているはずだ!なぜ浮いていられる!それになぜ吹っ飛ばない⁉」

漢頭が一定の場所に浮いている俺を見て言うと、マースさんが答えた。

「そうか!そういうことか!隼人がさっき投げた錫杖。あれはゼルに当てるものじゃなかった!最初から洞窟の壁に刺さるように投げたんだ!そしてその錫杖から目視しにくい魔力の鎖が隼人の左手に繋がれている!」

「魔力の鎖なら風圧で吹き飛ばされているのでは⁉」

江川がそう聞くと、風圧を耐えている俺は答える。


「そうだ。俺の左手には魔力の鎖が錫杖へつながれている。俺が吹っ飛ばないのは風圧が届かない場所に刺さってある錫杖を重力で固定し、錫杖から伸びている魔力の鎖を握っているからだ」

「なぜだ⁉俺の風圧は魔力も吹っ飛ばすはずだ‼」


両手で風圧を放っているゼルはそう聞くと、俺は答える。


「俺もこれは成功するかどうかわからなかったが、賭けが上手くいった。どうやら、お前の風圧はこの俺の天魔武器の魔力までは吹き飛ばせないらしいな。俺が天魔化して、最初にお前が風圧を放たれたとき、この錫杖は消し飛ばされてはいなかった。この錫杖は魔力の塊のような物だからな」

「そうか!それでその錫杖から伸びる魔力の鎖は消し飛ばされないと判断したのか!」


ゼルはそう言うと、俺はゼルの背後の壁に刺さっている錫杖から伸びている魔力の鎖を利用し、突風の中、ゼルにどんどん近づいた。


「もう逃げられないぜ……」


俺は右手に魔神を宿し、ゼルに向かって凄まじいパンチを放った。


「これでトドメだ‼」



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