第4話:アーマードベア
目が覚めると予想通り天幕の中は誰もいなかった。
太陽を浴びようと外に出てみてもやはり誰もいなかった。
「本当に捨てやがったよあの愚弟。」
うなだれていると後ろで獣の唸り声がした。
後ろを振り返るとそこには立ち上がれば平均的な成人男性くらいはありそうな巨大なアーマードベアだ。
強さランク的にはSSSS~Fランクの内のAランクであるため元Aランクパーティだった僕が倒せない相手ではないが、ここにいるのは僕一人でしかも武器が無い状況・・・非常にまずい!
「ヴォアアアア!!!」
僕は慌てて即席で人のサイズほどのゴーレムを作成してその場から退き、鋭い爪で襲い掛かろうとするアーマードベアの攻撃を防ごうとした。
ボガーン!
ミスリルの剣をも簡単に砕く奴の爪はいとも簡単に石で出来たゴーレムをコアごと破壊した。
「やはり石じゃダメか!鉄かアダマンタイト鉱石さえあれば・・・。」
アーマードベアの攻撃をよけつつも人サイズのゴーレムを数十体ほど召還して、ヘイトをそちらに向けさせたうえで周囲を見渡した。
だが、どうやら使い物にならなくなった剣や盾、予備のアダマンタイト鉱石はすべて撤退の際に持って行ってしまったようだ。
「クソッ!どうすれば勝てる?!弱点の目を瞬時に貫く何かがあれば・・・・。そうだ!そう言えば天幕に隠しておいたクロスボウと弓矢があった!あれさえあれば!!」
「ヴォアアアア!!」×?
複数体のアーマードベアの咆哮が聞こえたので振り向くとなんと十数体ものアーマードベアがゴーレムの集団に突撃していた。
「まじかよ・・・。」
おそらく、最初の個体が仲間を呼んだのであろう。分かるだけでも残り10体ってところだろうか。
すでに残骸となったゴーレムが十数体ほど転がっていた。
「やばいやばい!このままじゃゴーレムが全滅する!」
そう言って俺は再び人サイズのゴーレムを数十体召還した。
だが、さすがに魔力が枯渇したのかひどい脱力感に襲われた。
「ぐうっ!はや・・・く、早くしないと!」
やっとの思いで天幕にたどり着くと自分の寝床に隠しておいたクロスボウを探した。
だが、隠しておいたクロスボウと弓矢が無い。
「そん・・・な。」
絶望に打ちひしがれていると、アーマードベアの息遣いと天幕を破る音が後ろから聞こえて来た。
ゴーレムとのつながりは感じない、恐らく全滅したのであろう。
後ろを振り返ると手負いのアーマードベアが僕を睨みつけていた。
「ひいっ!」
「ぶるああああ!!!」
アーマードベアが僕をしとめようと腕を振り上げたその時・・・。
「テーッ!!!」
パパパパーン!
誰かの叫び声と何かが破裂した音が聞こえて来たと同時にアーマードベアの体のあちこちから血が噴き出してきた。
「ゴヴォァアアア!!!」
何者かの攻撃を受けて血を流しながら痛みで悶絶するアーマードベア。
訳が分からず呆然としていると、アーマードベアは僕に目もくれずに一目散に逃げだした。
天幕から出ると、残りのアーマードベアの群れも謎の乾いた音とともに断末魔の悲鳴を上げながら倒れた。
恐る恐る乾いた音がした方を向くと、戦場で何度も見て来た見覚えのある土の色を基調とした軍服を着た軍人たちが見えた。その表情はあまりの恐ろしさに見ただけで殺されそうな迫力があった。
「に、二ホン軍!僕は助かって・・・ないよな。」
僕は二ホン軍に不思議な形の魔法の杖を突きつけられたので降伏の意志を示す両手を上げる行動をとった。
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