episode.7
「えっ、……っ⁉」
「ふふっ」
莉愛さんからの突然の告白に、僕は思わずぶわっと顔を熱くした。
そんな僕に彼女は微笑んで、そして本言さんに顔を向ける。
「次はこと姉だよねぇ?」
「……そう、です。ひよ、姉の、次は、こと、だって、言った、のに、なんで、りめに、なったん、ですか」
「えへ、ごめぇん♡」
「ごめんねー、近くにりめがいたから」
莉愛さんは可愛らしく、陽光さんは申し訳なさそうに本言さんに謝る。そして、む、と不満げな顔をしながらも、本言さんは僕に話をし始めた。
「……りめ、よりは、強烈じゃ、ないと、思う、けど……ひよ姉、よりは、覚えて、もらい、やすい、と、思い、ます」
「ちょっとぉ⁉ なんなのそれ、ボクの過去が浅いって言ってるのぉ⁉」
きらきら眩しい笑顔を浮かべながら、陽光さんはそう苦言を呈す。本言さんはそれを無視して、話をつづけた。
「……こと、も、りめと、同じで、命、救って、もらい、ました。
……こと、は、本が、大好き、です。ずっと、毎日、ちっちゃい、時から、ことは、本、読んで、きました。
……こと、小学、5年生、の、時、いつも、みたいに、図書室の、すみっこで、本、読んで、ました。そしたら、本棚が、揺れて……棚から、本が、雪崩、みたいに、落ちて、きました」
「……」
それは……怖かった、だろうけど……
本言さんが小5、ということは……僕はその時、中1だ。
……これ、覚えて……ない、かもしれない。
「反射、的に、こと、頭、かばい、ました。逃げる、時間、なんて、なかった、から……でも、痛いの、きませんでした。
——檜山、先輩、が、ことの、こと、抱き締めて、かばって、くれた、から、です。男の人、こと、は、パパ、しか、接して、なかった、から、すっごく、恥ずかしかった、けど、でも、檜山、先輩……ことの、ことも、本の、ことも、守って、くれたん、です。一個も、下に、落ちて、ません、でした。
こと、が、「……その、本、こと、の、大切、な、本、なん、です」って言ったら、……檜山、先輩、「そっか。じゃあ、守れてよかった。君も、本も」って、言って……ほんと、の、ほんとに、すっごく……」
そこで本言さんは言葉を切り、なぜかうぅぅぅぅぅ~とうめいて顔を手で覆った。
「……え……? っえ、え? え、どう……した、の……?」
当惑しながら僕が問うと、本言さんはちら、と細い指と指の間から目を見せる。
「……っ⁉」
その目は、とても潤んでいて——
その肌や頬は、熱でもあるのかと言いたくなるほどに真っ赤っかだった。
そして、彼女はぼんっと頭から煙を出しながら、消え入りそうな声で言った。
「……好き、すぎて、もう、」
「——責任、取れ、です……っ!」




