表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/7

episode.4

「僕、が……何かを、してあげた……?」

「うん」

 陽光さんは、僕の言葉にこくりと頷いた。

「ねえ、みんな。ボクからで、いいよね?」

「……まあ……いい、わよ? 私は大人だもの」

「不本意だけど、仕方がないね」

「ふんっ、アタシは優しいからな。譲ってやるよ」

「う、うちもっ、別に大丈夫、だよ……っ」

「ふふ~っ、わたしは優しいからぁ~、まあいいわよぉ~。譲ってあげるわぁ~」

「……こと、も、別に、いい、です。でも、次は、こと、です」

「りめもいいよ。でも次は、りめだからね♡」

「……うん、ありがと。じゃあ、ボクから話すね」

 そして陽光さんは、ぽつりぽつりと話し始めた。

「入学式の時ね。ボク、お姉ちゃんたちや妹たちも違うところにいて、しかも友達もいなかったから、ひとりぼっちでぽつんと体育館に座ってたんだ。

 そしたら、キミが声をかけてくれたの。『ひとり?』って。最初はね、ボクもふてくされて『……ひとりだよ』って言ったの。でも、キミは根気強く声をかけてくれた。それだけで、ボクは寂しさが癒されたんだよ」

「……あ、あぁ……あの子、か……! 思い出した……!」

 あぁ、そうだ。

 入学式、ひとりでぽつんと座っている陽光さんの表情は、普通だった。平気な顔してた。

 でも、僕は寂しそうに見えたんだ。

「……それだけで? って、思うでしょ?」

 ふっと、あの眩い向日葵のような笑顔じゃなくて。どこか物憂げな、陰のある笑顔を、陽光さんは浮かべた。

「でもね、恋ってそれだけなんだよ。それだけで、恋しちゃうの」

 そして、またあのぱぁっと眩しい笑顔に戻って、陽光さんは打って変わって明るい声を出した。

「次はりめだね! よろしくね、りめ」

「りょーかいでーす! ——檜山せんぱい、ほんとにりめのこと覚えてないのぉ?」

「う……ごめん、覚えてない……」

「まぁいいや、でもねぇ……ひよ姉のこと覚えてたんだから、りめのことだって覚えてるよぉ」

「……そう、かな?」

 僕がそう首を傾げると、ふふっと悪戯っぽく艶やかに笑って、莉愛さんは言った。


「りめの命、救ってくれたんだもん」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
yuzunatuさん、こんばんは! 「でもね、恋ってそれだけなんだよ。それだけで、恋しちゃうの」 素敵な言葉です!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ