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転生魔法

初投稿です。

一人の少年が、黒い霧に満ちた平原を進んでゆく。彼は勇者として、人類を長年苦しめてきた魔王を討つべく、魔族の拠点である魔界にやって来ていた。周囲を警戒しつつ歩き続けると、おぞましい漆黒の巨大な城が霧の中から現れた。辺りには様々な形の骨のようなものが散らばっている。門の正面までたどり着いた勇者は、門の先におびただしい数の邪悪な気配を感じた。しかし、勇者は躊躇うことなく門をこじ開けた。奥には、やはり魔族の大群が待ち構えていた。目に見える範囲だけで数百体はいる。その中の、一際強大な気配を持つ一体が口を開いた。

「フフフ…人間よ…わが城へようこそ。」

勇者はその禍々しい魔力から、その一体が魔王であることを感じとり、剣を抜く。勇者が剣に魔力を込めると、剣身が光を帯び始めた。

「おまえらと交わす言葉はない…さっさと終わらせよう」

「フッ…いい度胸だ」

魔王は全身から闇の魔力を放つ。勇者がそれを切り払うと、闇に紛れていた大量の魔族が襲いかかってきた。勇者と魔王軍の激しい戦闘が始まった。

ズババババッ!

勇者は魔族たちを次々と斬り伏せてゆく。魔王は手下たちを盾にし、遠距離から闇を飛ばす。

ズオッ!!

勇者は紙一重で闇をかわす。闇は城の壁に衝突すると、跡形もなく消し去った。魔王の闇には、あらゆる物体を飲み込み、消し去る力がある。

勇者は回転斬りで周囲の魔族を蹴散らし、一瞬で魔王の懐に入り、横薙ぎの一閃を放つ。

「なっ…!?」

魔王はこれを見切れず、体を真っ二つにされた。勇者が使う光属性の魔力は、制御が困難だが、極めれば光速での移動が可能となる。

「終わりだ!」

勇者が魔王の首を狙って剣を振るう。

しかし、魔王は既に下半身を再生させ、反撃の体勢を取っていた。

「舐めるなァ!」

ドォォォン!!!

両者の魔力がぶつかり合い、辺りに激震が走る。大地が崩壊し、マグマが溢れ出る。

両者の魔力は互角のようだったが、徐々に勇者が押し始める。

「何だと…!」

魔王が驚きの声をあげた直後、勇者は一気に魔力を解き放ち、魔王の闇を払う。体勢を崩した魔王を、そのまま超高速の剣技でバラバラにした。

「グ…ガ…フッ…フフフ…勇者の力がこれほどとは…だが…私は決して滅びん…いつの日か…」

魔王が言い終わる前に、勇者は手からまばゆい光を放ち、魔王の体を消し飛ばした。

「ふぅ…」

激しい戦いを終え、勇者が一息ついたその時…

ドクン……

勇者の心臓に、強い衝撃が走った。

「っ!!なんだ…これは…」

鼓動が速まり、息ができなくなる。勇者は自分の身に起きたことを理解した。

「死の呪いか…!?」

死の呪いは、呪文の詠唱と生贄の献上により発動し、一定範囲内の対象を死に至らしめる技だ。だが、魔王は詠唱をしていなかった。

「まさか…!」

勇者が周りを見回すと、大量の魔族の死体が転がっていた。魔王は勇者に殺される直前、自分と数百体の魔族を生贄とすることで、詠唱を省いて呪いを発動させたのだ。死の呪いは一度発動すれば、もう逃れる術はない。

「くそっ…!だが…俺もただじゃ死なねぇ…!」

勇者は声を絞り出す。

「転生……魔法……!」

転生魔法は、勇者がいざという時のために開発していたオリジナルの魔法だ。魂を肉体から切り離し、別の生命体へと宿し、その体を乗っ取る。しかし、この魔法は大きなリスクを伴う。いつ、どこで、どんな生物に転生するか、一切選択はできないのだ。

「こんな所じゃ死ねねぇ…俺はまだやりたいことが…」

それでも勇者は、何もせずに死ぬよりはマシだと思い、最後の力を振り絞って叫んだ。

「発……動!!」

その直後、勇者の魂は肉体を飛び出し、空の彼方へと消えていった…………。

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