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組み分け




 それから歓談を続け、Kグループの6人は皆、目的地であるKの定位置へ到着した。途中、特待生の話や朱宮の話、恋愛の話で盛り上がることも幾度となくあったが、全て聞き流す程度で輪の中心に入ることはなかった。


 コミュニケーションを得意とする星中と紫雲、そして香月と風野は、当たり前のように朱宮の魅力に惹かれて興味を抱いて話しをしていた。そこに無関心で興味を持たない遥が入ろうと思うことがあるわけもなく、いつも通り前を見て歩くだけの退屈な時間を費やしていた。


 時々朱宮が話しかけてくれても、その時は簡単な返答だけして対応した。それだけ、大人数で受け身の遥は身を乗り出さないということだ。


 「さーて、もう少しでMグループも到着するだろうし、走り出す準備しようか」


 「走るの?最初から走ったら疲れるでしょ」


 「確かに。なら、歩く準備だね」


 香月の指摘を受け入れ、常にトップで5人の指揮を執る朱宮は笑った。


 「どうする?6人で動くなら、多分一位は無理だぞ。1人で行動してるのと変わらないからな」


 星中の言うように、6人行動なら見つける宝も6人で1つ。たとえ仲を深め、何かを得られる関係だからとこの組み合わせにしたとして、一位を本気で狙うならバラバラに探すことが賢いと言える。


 「でも、俺だけかもしれないけど、人工林に来たのは初めてで、道に迷ったらそれはそれで困るから、単独行動は無理だな」


 「だな。俺も賛成する」


 紫雲の憂慮に風野も共感する。


 「うーん、それなら3人に分かれる?」


 「いいや、2人で良いだろ。一組二組を混ぜてな」


 「なるほど。それは良いかもね。ナイス風野くん」


 学校側もチーム内で更に分割されることを知っていて6人に組んだと思える。なら狙いはなんだろうか。単に一位を狙いに行く貪欲さを見定めたかった?それとも協力してでも6人の仲を深めることに費やすような人格者が現れるのを待っていた?さぁ、それは全く分かることではなかった。


 「みんなはどう?」


 「俺は良いと思う」


 「俺も」


 「なら私も」


 星中、紫雲、香月と続いて残る遥。拒否なんて面倒なのが答えだ。


 「良いと思う」


 流されるとする。2人きりになるのも良いが、正直他クラスとの関わりは少ないので、これを機に朱宮、風野、香月と仲を深めたいとは思っていた。残念に思うが、これも決められたことなら仕方ない。多数決に少数派は抗えないのだから。


 「ありがと。でも、決め方を考えないと。距離的にもう時間は少ないよ」


 「適当で良いんじゃないか?特待生コンビに、仲良さげな香月、星中コンビ。んで、余り物の俺と紫雲」


 「おいおい、余り物にするなよ。しかも折角なら特待生は一般人と組ませろよ」


 「あははっ。特待生は安売りしないから特待生なんだよー。それに私は少し六辻くんと話したいことあるから、私は異論ないよーん」


 「やっぱり六辻は六辻だな。特待生ってのも、類友で流石だ。俺も、香月が文句ないなら異論はない」


 星中はきっと、魅力について語っている。しかし、それに気づかないのも、まだ未熟な遥だから当然だ。


 「ないよ」


 次々に承諾の流れ。紫雲からすれば、誰もが喉から手が出るほどに接触したい相手がそこに居るのに、全く手を伸ばすことすら叶わないことに不満を抱え、懊悩しているのだろう。嫌とも言えない空気に唸っていた。


 「……分かったよ。仕方ねぇな。この長身男と一緒に探してやる」


 「一位取ったら良いことあるかもよ?」


 「マジ?朱宮ちゃんとデートとか?」


 「さぁ、それは努力次第かな」


 「やる気しかねぇな。ゴリラ、ついてこいよ?」


 「お前は単純だな……」


 朱宮という美少女だから許される特権。蠱惑的な魅力に惑わされるなんて、風野の呆れるように単純が目に見えている。


 「六辻くんはどう?私で良いかな?」


 「俺で良ければ」


 「うん!ありがとう!」


 今日一番の元気だった。湿気で気分を害されても復活する魔法のようだ。


 それにしても、二組で最も可愛いと噂の朱宮、一組で最も美しいと言われる桜羽、そして三組で最も可愛いと言われる倉木。それらの顔面強強の女子生徒と関わっていると思うと、やはり自分は恵まれているのかと遥は思う。


 きっとその3人と関われている人は少ない。もしかすると0かもしれない。そんな貴重な存在として、不思議に思うことも幾つかある。美少女と頻繁に会う理由が、未だ訝しげだ。


 いつか四組五組の頂点とも邂逅する時もあるかもしれない。今は分からないが、実際確立を始めた印象の中で、既に学年で最も容姿の整った人の話はあるらしく、微塵も知らないが、そんな人と関わらないことも皆無ではないと思うと幽玄高校の凄さを理解する。


 可愛いと美しい、他にカッコイイやクールで男女の印象が分けられるらしく、学年では時々そういう話が盛り上がっている。その時大半、桜羽がその話しをして、「私が一番だろ?」と聞くのが流れだ。


 「さてと、Kグループ到着したらしいよ。残り1分でスタートだって。それぞれ送られてきた内容見て、右往左往頑張ろうね」


 最も高い得点は5で、最も低い得点は1らしい。豪運が味方か、それとも敵に居るか。スタート地点で贔屓はないらしいので、入り組んだ人工林で誰が縦横無尽に駆けるか、それが今後を左右することは明白だった。

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