プライドがエベレスト。
応接室へ行くと、プライドがエベレスト級王子がこちらを睨みつけてきた。その瞬間、お父様は顔面蒼白になった。
白い顔が更に白く〜なんて思いながらお父様の顔を見ていると突然、視界に床が映った。
ゴンッ!!!!!
という鈍い音共に額に激痛が走る。床に額を打ちつけたことを理解した。
「たいっへん!!申し訳ございません!!!」
お父様は自分の土下座と一緒に、私の頭も片手で掴んで床に額を擦りつけたのだ。親子で滑稽な姿だ。そして痛い。
というか、なんで私が土下座!?
上体を起こそうとするも、お父様の腕の力が強くて無理だった。
「訪問直後に殿下がお見えになるということは…!!この娘が粗相をしてしまったのでしょう!!分かります!分かりますとも!!よくよく言い聞かせますので!!」
「お、おう…。」
「公爵様落ち着いてください。」
父の勢いに圧倒されている王子と、困惑するサディスターの声が聞こえる。だけど、お父様の勢いは止まらない。
「誠に誠に誠に申し訳ございません!!しかし、これだけはご理解いただきたく…!!娘は本当に殿下をお慕いしております故…。な?」
な?じゃないわよ。やめてよ。
「…な??」
答えないでいたら、こちらにもお父様の圧がのし掛かる。
「そう…かも……です。」
不本意なので、曖昧に返事をしてみた。
「フン、今日は体調がすぐれなかったようだからな。心配して見に来てやっただけだ。」
ちょっとなんで満足そうなのよ。正直に、コケにされてムカついたって言いなさいよ。これだからプライドエベレストは。
「ありがとうございます!!殿下のお手を煩わせてしまって申し訳ない!!娘はもうすこぶる快調ですので!!」
やっと床から解放された。もう信じられない。額にたんこぶ出来たわ確実に。
立ち上がって王子を見る。視線が額に行っている。絶対たんこぶじゃん。
「わざわざ?ご訪問?ありがとうございます?…私はもう大丈夫ですので、お気遣いなく…。いたっ…」
渋々嫌味を込めて言っていたら、お父様が私の腕を後ろからつねった。
「そうか…。」
王子は額から視線を外す。いや、そのたんこぶはまだ大丈夫じゃないんだけどね。
「ふむ…。」
王子は腕組みをして考えごとを始めた雰囲気を出して来た。
…ん?もう用済んだなら帰れ。帰れよ??
「今から城に戻るにも時間がかかるからな。デビルナもお気遣いなくと言っているし、今日はこちらで晩餐としよう。」
はぁぁあぁああああ!?!?!?