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バカな王子が嫌すぎる。  作者: 道野草花
4/10

設定に負けるな。

 ドカッと音を立てて、私から離れて向かいのソファの隅に座る王子。メインキャラだけあって、超絶イケメンだ。光る金色の髪に整った顔、スラっと伸びた手足。絵に描いたような王子像。


 でも、明らかに"ぼくは不機嫌です〜君とは話したくないんです〜"って態度とりやがって…。早々に帰ってやるわよ、こんなとこ。


 王子が来てもお構いなしにお茶を飲んでいると、苛々した口調ではあったが、私に珍しく話しかけて来た。


「おい。」

「何でしょう。」

「何か話すことはないのか。」

「えぇ。ございませんので、美味しいお茶をいただいたらお暇させていただきますわ。」

「……は?」


 は?とは何よ。失礼すぎるでしょ。大体、そんな不機嫌な態度取られたら話があっても話す気失せるわ。よくこんな王子に今まで媚び売ってきたなぁ…私。信じられないわ。

 チラッと王子を見ると、こめかみがピクピクとしている。お怒りのご様子。お茶も飲み終えたし、帰りますか。


「殿下もお元気そうでなによりですわ。それでは。」


 立ち上がると、王子は「そういうことか。」と嘲笑いながら私を見た。


「引いて駄目なら押してみろってやつだな。」


 いや、逆な。


「ふふ、面白いことおっしゃるのですね。」


 本当この馬鹿どうにかしてくれ。 

 王子の後ろにいるサディスターは俯いている。…気付いているなら、間違いを指摘してあげなさいよ。


 ここはゲームの世界であったとしても、皆ちゃんと意思を持って生活している現実世界なわけで…。この世界のこの国を引っ張っていくのは貴方なのだから、しっかりしてよ。設定に負けるな。


「そうすれば、俺の気が引けると思っているんだろ。」

「いえ、全く。」

「連れない態度を取ったとしても、俺がお前を好きになることはない。残念だったな。」


 人の話を聞け。


「では、婚約破棄の手続きをお願いしますわ。」


 どうよ、この余裕の笑み。王子は呆気に取られた顔をしている。サディスター、あなたもか。


「落ち着いてください、デビルナ様。こちらの一存では、破棄が罷り通るだけの理由がありませんと、それはできません故…。」


 サディスターは焦っている。ヴィランズ公爵家の権力は国の中でトップクラス。王家にはどうしても必要なのだ。


「そうだ。本当に俺が破棄の手続きを進めたらどうするつもりだ。」


 王子は指先でテーブルを凄い勢いでコツコツ鳴らしている。苛々マックスといった感じね。良い気味だわ。


「どうするも何も、喜んでお受け致しますけれど。」


 私はそう言い残すと、口をあんぐりと開けている王子とサディスターを放置して、部屋を後にした。

 

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