プロローグ 夜が明け、全てが終わる。
昔は夜が好きだった。
夜は日中目にする世界とは異なる色を見せてくれる。
蒼かった空を見上げれば、漆黒のカーテンの表面に無数の星が瞬き、月は夜にこそ真価を発揮する。
それだけじゃない。
闇の中では全てが無かったことに出来る。
目に映らないから、何でも忘れられた。
涙だって、拭けば跡も見えなくなってしまう。
朝になれば、何事もなかったかのように笑えた。
でもそれば結局幸せだったからなのだと思う。
幸せだから、前を向けた。どんな不幸があったとしても、たった一つの幸せがあったから笑っていられた。
だから、幸せが零れ落ちてしまった今となっては――夜が嫌いだ。
きっともう二度とわたしが幸せになることはないのだろう。
わたしは罰を受け続けなければならないのだから。
わたしだけが幸せになるなんて、許されない。
それだけの罪を、わたしは犯した。
視界の端で闇を駆ける一筋の光。
万の犠牲の上に、わたしは生きている。
宵闇が爆ぜた。
夜が、明ける。
終ぞ拭かれることのなかった涙が、朝日にきらりと輝いた。
二章、宵闇に笑うカノン、開始です。
終わるまで非常に時間がかかると思いますが、長い目で見てください。なんせまだプロローグしか書いていないレベルです。期待しないで下さい。
私生活が本気で忙しいので数か月更新が開く可能性があります。
更に、裏で別の作品(「千の魔剣の物語」とは別に)を書いていますので更新頻度は非常に低いです。
ブックマークをしていただければ、更新が伝わるので是非。
何週間後かに、また会えるように頑張ります。




