第7話 いつもと変わらなくて
「………」
場に、沈黙が広がる。
それぞれの過去を知ったことで、ケイくんがどう接するのか、わたしがどう接するべきか、悩んでいたっていうのもある。
ケイくんも、きっと同じだろう。
気まずくなって布団に潜り込み、ケイくんの反対方向に顔を背けた。
わたしが顔を背けてしばらくすると、ケイくんの方からガサガサと音がした。
わたしと同じようにしたのだろう。
「ちょっと、休みます。」
ケイくんがそう声をかけてきて、わたしは頷くだけですませた。
わたしは目を閉じて、涙を流れるままにした。
ん……
そろそろと目を開くと、当然何も見えないものの、天井が明るく光っていることはなんとなく分かった。
「あら、起きたの、あんなちゃん。」
「おはようございます。」
看護師さんに挨拶をする。
いや、まぁ朝じゃなさそうなんだけどね。
「おはようございます、あんなさん。」
ケイくんが普通に挨拶してきてくれるので、わたしも、
「おはよう、ケイくん。」
と返した。
ケイくん、いつもと変わらないみたいでよかった。
「ケイくん、あんなちゃんより少し先に起きてたのよ。」
看護師さんがそう言った。
「そうなんですか。」
もう昼ごはんの時間かな?
「今日の昼は、ミートパイよ。あまりバラバラ崩れないようにしてあるから。自分で食べてみて。」
そう言われて、わたしは手を出した。
手に、重いパイがのせられて、わたしは両手でしっかりと持ち直し、口を開けて、パイを押し込んだ。
嚙みちぎり、もぐもぐ噛む。
「!」
美味しい〜。
あったかいし、何より中の身?餡?的なのがすごく美味しい!
さすがイワキサンだ!
わたしがどんな顔してたのかわからないが、看護師さんが、ふふ、と笑い声を漏らした。
「あんなちゃんは美味しそうに食べてくれるから、きっとイワキサンも献立の考えようがあるわ。」
そう言われて、わたしははにかむ。
すると、
「ふふ。」
という笑い声が、ケイくんの方からした。
ケイくんが笑っているのが嬉しくて、つられて笑う。
関係がギクシャクしてなくて、嬉しいなんて思ったりして。
心臓が、とくんとなった。
読んでくださってありがとうございます!!
あんなちゃんとケイくん、いつもと変わらないみたいでよかった。
みなさんも、そう思ってくださいましたか?
思ってくださっていたら嬉しいです、そういうつもりで書きましたので。
日々言葉を選びながら書いていますが、何かあったら伝えていただけると嬉しいです。
それでは、次のお話でお会いしましょう。




