第6話 わたしのお母さん
「わたしは幼稚園の頃まで、とても目がよかったの。距離がたくさん離れていても、その人が何をしているかがわかったし、それがわたしの一番の自慢だった。
でも、幼稚園の年長さんになったある日、なぜかわからないけど高熱が出たの。
その日まで、わたしは全然体調は悪くなかった。
わたしが高熱にうなされた後、わたしの世界は真っ暗になった。
徐々に見えなくなったんじゃないの。急に見えなくなったの。
だから、ケイくんみたいにたくさんのことを知ってるわけじゃないの。
わたしが知ってるのは、聴覚や触覚を使って学べる、必要最低限まで。
点字で書かれた本があるんだからそれを読めばいいじゃない、なんて言われること、あるでしょう?でも点字だと、とても時間がかかるの。わたしは慣れてないから。
………わたしの母は、一時期すごく気を病んでいたわ。
わたしの目がいくら手術をしても良くならないし、それを自分のせいだと思っていたの。
わたしはそれが嫌で嫌でたまらなかった。
でもね、ケイくん。」
わたしはそう言って、見えないのにケイくんに微笑みかけた。
「わたし、ケイくんに会って、とても明るくなったと思うの。
母も、それでなんというか、少し気が軽くなったみたいで、最近はああやって、仕事の話をしてくれるようになったの。
それはとても嬉しいことよ。特に、母をあんな風にしちゃったわたしからしたら、ね。
だからケイくん、ありがとうね。」
わたしがそう言うと、ケイくんは、うっ、うっと声をあげ始めた。
「ケ、ケイくん?大丈夫?」
わたしが聞くと、ケイくんは、
「ありがとうございます、ありがとうございます………」
と言った。
何度も何度も繰り返す。
あーあ。
───もし、わたしの目が見えたら、ケイくんを慰めることもできたんだろうに。
読んでくださってありがとうございます!!
二人はそれぞれ、自分の暗い、辛い過去を知ったわけですが、これからはどうなっていくのでしょうか。
刻々とクライマックスが近づいています。
どうなるのかなぁ?
予想しながら楽しんでいただければと思います。
それでは、次のお話でお会いしましょう!!




