これは2話だね、50ドルかけてもいいよ
ダンジョンという名に惹かれ、俺の住むマンションから急いで出る。
人目を気にしないボサボサな髪の毛、ボロボロになったジーパン、さらには『人類選別!』と書かれたTシャツを着て、俺は颯爽と代々木区へ向かう。
――――ちなみに、ノーパンである!
・・・・もう一度説明しよう――――ノーパンであるッッッッ!
「はっはっはぁ!さっきのわさびのせいと相まって股がスースーするぞ!みんな!これからダンジョンに向かうから、俺の雄姿を見届けてくれ――――」
カメラを自分に向けて話ながら、自転車で全速力で走り抜ける。
ここから例のダンジョンまでは車で10分、つまり――――本気を出した自転車なら5分だ!
「もってくれよ!俺の息子おおおおおお!」
ダンジョンに向かい、俺は風のように走った。
そう――――それはかの有名なあの男。太陽よりも早く走ったといわれるメロスのように。
「ぐえっ!」
――――刹那、強い衝撃が体に伝わる。
どうやらトラックにぶつかったらしい。
「ばっかやろう!あぶねぇじゃねぇか!」
運転手が顔を出してこちらに叫ぶ。
信号機は赤色を示していた。
「バカめ!それは幻想だ!」
「なにぃ!?」
――――気づけば信号は青色。
そう――――運転手は赤信号という幻覚を見ていたのだ。
「そしてこれは自転車!俺はまだまだ駆け抜けるぞ!」
俺は再び自転車に乗ると、また全速力でダンジョンへ向かう。
――――そして、それは見えた。
「・・・・これがダンジョン・・・・ッ!」
テレビで見た通り、スカイツリー・・・・いや、それよりもはるかに大きいのではないかというほどの、まるで貝のような形をしたダンジョンが、そこに建っていた。