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8 町 ~別れ~

 「おいおい、こりゃやばくねえか?」

「やばいも何もこんな量は見たことありませんよ!」

三人が向かった先で見たのは、オークの群れだった。

その数、およそ10000。

しかも全員が王国騎士団の物であろう装備と武器を装備している。

「とりあえず冷静になって。リウス、あの数は殲滅できる?」

やはりこういう時にいち早く行動できるのがカペラだ。

「やろうと思えば行けるのですが……逃げ遅れた人を巻き込んでしまうかもしれません」

リウスの魔法は強大すぎる故このような欠点があるのだ。

「わかったじゃあ、ギウスは前衛でオークを食い止めて、優先すべきは自己防衛 

その次に逃げ遅れた人を防衛 最後にオークの殲滅ね、

リウスはギウスの援護を中心に少しずつでいいからオークを討伐していって」

「わかった! よっしゃいくぞー!」

「わかりました!ところでカペラさんは何を……」

「私は逃げ遅れた人の救助、治療、

そしてできる限りひとをこの場から離れさせてリウスが魔法を思いっきり撃てるようにするから。」

「了解しました!気を付けてくださいね!」

「じゃあ、作戦開始!」

カペラの号令で三人は解散した。






 『カキンカキン、グシャッ』

オークとギウスとで激しい打ち合いが行われていた。

「ブヒャーーー!」

(くっ、強い!このままじゃ埒が明かないぞ)

そんな中さらにオークが接近してきた。

(こうなったら……身体強化魔法!)

「うおおおおおおおおおおおお!」

『グシャ、カキン、グシャグシャ』

「ブッ、ブヒャ……」

若干ギウスの方が優勢になり、ギウスは少し油断してしまった。

その時、

「ブヒャア!」

急にギウスの背後に向けて剣が振られた。

(え、これ防げるか?いや無理だ。どうする?)

その時、ギウスは生まれて初めてこの感情を持った。

死の恐怖だ。

(あ、俺ここで死ぬのか)

そう思っていた時、

「ブヒャ!?ブヒ……」

背後の気配が急に消えた。

次の瞬間、近くにいた敵が一掃されていた。

「ギウスさん!大丈夫ですか!?」

「ああ……助かった、ありがとう」

「ああ、間に合って良かった…… 残りの敵もやっちゃいますよ!」

「おう!」

こんな感じで善戦している途中リウスはふと思った。

「カペラさんは大丈夫かなぁ」





そのころカペラは怪我をした人の治療をしていた。

「みんな!重傷者を優先して!」

ここには武器屋の店主やその他の戦闘経験者もいたのでオークに関しては何とかなった。

そんな中、一人の重症患者が運ばれてきた。

「次の人……え……」

「あらまあ……さっきのお嬢ちゃんじゃないの……ゲボッゲボ」

運ばれてきたのは魔道具屋のおばあちゃんだった。

「魔道具屋の……おばあちゃん……」

「私のことはいいから早くほかの人を治療してあげな……私はもう残りの人生も少ないんだし」

そんなことを言うおばあちゃんの体は右腕と両足が捥げ、胴体に穴が開いていた。

「駄目だよ……おばあちゃんはまだ死んじゃ駄目だよ……絶対に治すから」

そう言って治療魔法と回復魔法を魔道具の力を使って何倍もの効果にした。

しかし血は止まらなかった。

「ありがとうねぇ 

私は最後に自分が売った魔道具でお嬢ちゃんに治療してもらえて凄くうれしかったよ」

そう言っておばあちゃんは最後に最高の笑顔で眠るように息を引き取った。

「嫌!死んじゃ嫌!」

「嬢ちゃん、気持ちはわかる、だがもう休ませてやんな」

話しかけてきたのは武器屋の店主だった。

「でも、でも!」

「嬢ちゃん、このばあちゃんはな、もう頑張ったんだ」

武器屋の店主は目に涙を浮かべながらもう一度言った。

「だから休ませてやんな……」

「……うん、わかった」

そう言うとカペラはおばあちゃんのほうを向いて、

おばあちゃんが息を引き取った時と同じように

最高の笑顔で言った。

「お疲れ様おばあちゃん。それと今までありがとう」

カペラにはおばあちゃんが少し笑ったように見えた。


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