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人間世界との決別


少し開けている場所のせいか思ったよりも月が綺麗に見える場所だった。

それにアリスの魔力で作られた光玉が辺りを照らしている。


剣を抜いて構える勇者に併せて剣を抜いた。


それにしても討伐の勇者にしては早すぎる。ラスターの村からギルドの

通信魔法を使ってまで中央と連絡を取り、勇者を村まで転移させたんだろうが

慎重派が多い中央の奴らがこれほど早く手を打つとは思えない。


それだけ可及的速やかに俺を討伐する必要があるという事か・・・。

もしくはアリスが強引に非公式にクエストを進めたという可能性もあるか。


だが勇者を倒さなくては俺の信頼や居場所もニナさえも、

直ぐに失ってしまう事になるだろう。


既に対する勇者も嘗ての仲間達も口を閉ざし言葉を発しない。


時折り風が森の木々を揺らしているのか、ザザーっと葉音が大きく響く気がする。

ゆっくりとではあるがジリジリと息を潜めつつお互いの距離が詰まって来る。


互いに相手の間合いに入った瞬間、相手の勇者が剣を上段から振り下ろして来た。


素早く身体を引いて剣を躱し、そのまま横薙ぎに剣を繰り出すと

勇者が持ち上げた剣で攻撃を防いだ。


ギィィィン!


重たい金属音が夜の森に響き渡る。


剣を止められた感触で相手の強さが少しは分かる、思ったよりもかなり強い。


そのまま剣を弾いて風の守護を乗せた剣を振り下ろす。


勇者は見切ったつもりで剣を避けるが胸に付いている金属の鎧を両断していた。


軽く血飛沫が舞い散るが勇者に驚いた様子はない。

それどころか炎を纏わせた剣を振りかぶった。


勇者の瞳は酷く冷静に見える。戦いにおいて死を覚悟した男の目だ。

きっと同様に俺もそう思われているのかもしれないが。


「俺に答えろ!聖剣ヴァリーガ!神聖炎舞!」


「上等だ!いくぜ聖剣フォリアル!聖風連弾っ!」


炎を纏った聖剣を見切りながら相手の鎧が無くなった胴目掛けた連撃を叩き込む。


躱した剣から炎が伸びて半身を焼いていくが気にせず相手の身体に剣を突き刺す。


「ごふっ!」


左半身を焼かれながらも相手の勇者へ致命傷を負わせた事が分かる。


勇者を倒されたアリス達を見ると慌てて駆け寄ろうとしてくるが

アリス達との間にフィネルが現れアリスの足を止めた。


「くっくっくっ、お見事です。さぁ今の内にその勇者に止めを。」


アリスに回復されると倒した意味が無いからな・・・。


ゼス達がフィネルと戦う間に勇者を殺さなくてはならない。

既に倒れ込んだ勇者に向かって剣を持ち上げる。


「ジーク!止めてっ!」


アリスの叫びを聞いても止める訳にはいかなかった。

ニナの為にも勇者は殺すべきなのだ。


虫の息になっている勇者の胸に背中から剣を突き立てる。


「嘘だろ・・・。」


マリーが呆然とした顔を向けてくるがフィネルが笑いながら拍手をする。


「くくくっ、さてあなた達も向かってきますか?

勇者さえ倒せれば良いので逃げても結構ですよ。」


フィネルの言葉でゼスが撤退を決めたみたいだ。


勇者は死に、マリーとアリスの動揺が酷いせいだろう。

もう真面に戦える状態じゃない。


フィネルもそれが分かったのかこちらへ戻り左半身の火傷を魔法で治してくれた。


「悪い、助かる。」


「いえいえ。では私は先に戻ります。」


フィネルはそう言うと勇者の死体に歩いて行く。


「フィネル、聖剣を回収するのか?」


「そうですね、ではダンジョンの景品にでもしましょうか。」


そう言いながら聖剣と勇者の死体を持ち上げて夜の闇に消えて行った。


変だな・・・。勇者の死体を持って行く意味が分からない・・・。

聖剣なら価値があるだろうがアンデットにでもする気なのか?


そんな事を考えているとゼスが静かに言った。


「・・・ジーク、これでもう人間の世界には戻れなくなったな。

お前の討伐隊が大きく組まれる日も遠くないだろう・・・。」


「そんな事は最初から分かってる。」


アリスは声を押し殺しながら涙を零していた。マリーはまだ呆然としている。

ゼスが溜息を吐いたのを見てその場から離れる。


俺にはもう過去の仲間に語る言葉も見つからなかった。

だが後悔はない、俺にはニナさえ居ればいいからだ。


結果的に嘗ての仲間に手を下す事も無く勇者が倒せた事も大きい。

流石にゼス達を殺すのは精神的に躊躇いがあるからな・・・。、


勇者以外を殺せと言われなかった事もあるが

全滅させなかった事が問題になる可能性もあるのか・・・。


ぼんやり考えていると直ぐ側にニナが居た。


「ジークさん!大丈夫ですか!?」


少し慌てた様子で焼けた服から見える腕や肩を触る。


「問題無い。ニナ、迎えに来てくれたのか?」


「無事なら良かったです。魔法陣を発動すれば直ぐ帰れますから。」


大丈夫だと言ったのに心配そうに彼方此方身体を触って来る。


そうして城へと戻りながら、ニナが控えめに指先を握って来る。

そのままニナの手を取ると恥ずかしそうな笑顔を見せた。


ニナの表情ひとつひとつが俺の心臓の鼓動を早く動かしてしまう。

俺がニナに相当参ってるって事だが・・・。


ニナを抱きしめたい。だけど血に濡れた格好でそんな事はしたくない。


まさか自分がこんな事で葛藤する日が来るとは夢にも思わなかったが

言うほど悪くない気分だと思った。


魔法陣を潜り抜けるまでゆっくりと歩きながら、ニナと手を繋げる幸せを噛みしめた。


PC壊れて更新止まりました・・・。

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