邪魔者とドラゴン
短い、駄作、クソ
三拍子が揃いましたが、読んでいただけたら嬉しいです。
あ、今読もうとしてるのか。邪魔してすみません。
私と彼。
違いは邪魔な人間か、この国に大切なドラゴンか、だ。
*
この国では邪魔な第5王女、アリア。国王(父上)にファミリーネームは出すな、と言われているので、名乗れない。国の名すら名乗れないということは………私、どんだけ要らない子供なんだろうね…。
「″そこの娘、何故我が寝床にいるのだ?″」
突然聴こえてきた、頭に響く様な声に私はビクリ、と大袈裟に驚いてしまった。
それで、私に話しかけた人は……?と、周りを探したら、そこにはなんと、偉大なるドラゴン様がいらっしゃったのだ。わっ、私はなんという無礼を……!ただでさえ立場が悪いのに、ドラゴン様に無礼をしたとなれば死刑は免れない……!!
「もっ、申し訳ありませんっ、ドラゴン様!!!!!あ、あなた様の寝床だと気付かずに踏み込んでしまい……!」
「″………″」
ひ、ひぃ!私、やっぱりドラゴン様を怒らせてしまったのだろうか……。私、死んだな…。
「″………娘、我が名はカイルーゼ。水を司るドラゴンだ″」
な、なんと!ドラゴン様だけでも偉大なのに、み、水を司るドラゴン様だったとは…………!!私、本格的に終わった。
「水を司るドラゴン様……なのですね、私の数々の無礼、お許しください」
「″そんなかしこまらずとも良い。我はお前を気に入った。我のことはカイと呼べ。娘、お前の名は?″」
「気に入った……?え、?
…………カ、カイ様ですね。私はアリアです…」
ドラゴン様であられるカイ様が、こんな邪魔な私を気に入るはずなんか、ないよね。うん、今のは聴き間違い。私の幻聴だ。
「″アリア、か。それで何故アリアはここにいるのだ?″」
「えっと、それは………」
「″アリアが言いたくなければ、言わぬが良い″」
「……あ、ありがとうございます、カイ様」
カイ様は、水を司るドラゴン様。この国は、そのドラゴン様により、成り立っている。だから、ご機嫌を損ねては、この国は一瞬で終わるだろう。そこで私は、カイ様のご機嫌を損ねない様、最善を尽くしながら会話をしていた。
「″どうした、アリア?帰らなくとも良いのか?早くしなければ日が暮れるぞ″」
「……あっ、ありがとうございます、カイ様。では、失礼致します。」
「″ああ、また明日な″」
今まで居場所がなく、邪魔な存在だった私に、カイ様は居場所を作ってくれた上に邪魔ではなく、必要とする人間にしてくれたのだった。
*
ある日のこと、私は何時もの様にカイ様の元へ通い続けていた。
しかし、最近のカイ様は少し変だ。例えば…
「″アリア、我の嫁にならぬか?″」
と、カイ様が言い出した時に本当にビックリした。だって偉大なるドラゴン様が、邪魔な私にそんなこと言うはずがない。やはり、どこか悪いのでは……。もしかして、ご病気にかかれたとかっ?!いや、そんなことはないよね、カイ様になんて。
だから、何も考えずに私はこう言った。
「またまた~カイ様ったらご冗談を。私なんぞを嫁にしても良いことはないですよ??」
「″…我は、アリアがいるからこそ、良いことだ。寧ろそれ以外ない。今では、我はアリアを愛しておる。聴き入れてくれぬのか?″」
カ、カイ様がデレた!!!貴重だ、とっても貴重だ!!
いや、待てよ?今、カイ様は何と?″私を愛してる″って?………それこそ有り得ない話だ。ドラゴン様が人間にあまり興味がない様に、カイ様にだって私何ぞに興味なんてないだろう。
「″……ならば良い。我が明日までには……″」
そこまで言葉を紡いだあと、カイ様はどこかへ飛んで行ってしまわれた。なんだったんだろう………やっぱりカイ様はご病気にかかれたのかしら……?
*
「え、今、なんと?」
「役立たずのお前は、ドラゴン(カイ)様に選ばれた。さあ、とっととゆけ、でないとドラゴン様のご機嫌が悪くなる」
「は、はい…分かりましたでは、失礼しました」
ガチャリ
………私がドラゴン様の嫁になるって??なんでそんな急な話が私に舞い込んでくるのだろう??だいたい、国王(父上)は、私を私だと扱っていなかったのに、どうして呼び出されたのだろう?
そもそも、その嫁にいかなければならないドラゴン様って一体?
「″我に決まっておるだろう、アリア″」
「カ、カイ様?!こ、ここは、カイ様の住まう森です……か?」
なんで私はこんなところにいるのだろう??今さっきは、王宮にいたはずだ。それが、何故。
「″我の魔術に決まっておるだろう?
アリア、もう国王には話をつけた。我の嫁になってくれるな?″」
「………理由を聴いても宜しいでしょうか、カイ様」
「″あぁ、いいとも。我がアリアを嫁にもらう理由はただ一つ.....それは、愛してるからだ。出逢った時、そなたは悲しそうな瞳をしておった。しかもお前の身体からは、清らかな光が出ていた。これはその者が純粋であることをさす。
アリアは純粋であり、強くあろうとした。この国のために、お前は邪魔者扱いをされているというのに。だから、我が愛してやろうと思った。″」
カイ様のお言葉は、とてもとても嬉しいが………私なんかじゃ、カイ様となんて釣り合わない。だから、この話だって.....。
「″我(水を司るドラゴン)だから許されて当然だろう?少々脅しはしたが……
だから、我の嫁になれ″」
「わ、分かりました…この私、アリアはあなた様の花嫁にならせていただきます。…これからもよろしくお願い致しますね」
邪魔者な私は、大切過ぎる水を司るドラゴン様………カイ様の花嫁となったのだった。
「″アリア、我のことはカイと呼べ″」
「は、はい………!カ、カイ。…これでいいですか?」
「″やはり、アリアを嫁にもらって良かったな。アリアは我に必要な人間だ。だから決して逃げようとするな″」
「逃げる………?は、はい?」
こうして、アリアの幸せな人生がまた、新たに始まったのだった。
fin...
裏話
カイ「貴様、アリアを我にくれ」
国王「な、何故ですか、ドラゴン様。アレは、あなた様にとって何も利益が……」
カイ「アリアを貰えないのならば、奪うまで。その時には、我はこの国から離れておるぞ??」
国王「……?!は、はっ!アリアをドラゴン様の為に捧げます。これからアリアはあなた様のモノです。」
カイ「(そのドラゴン特有のゴツイ顔を笑顔?にした)」
国王「(こ、怖い……!流石、ドラゴン様。キラキラ~)」
という。まあ、文章読んでればお察しいただけますよね。
読んでいただきありがとうございます。