1-6
一足先に監視部屋に入ったカランは何か異常を見つけたらしい。問題のあるモニターへ近づき、ある一点を見つめている。そのモニターに映し出されているのはどうやら正門のようだ。カランは一人の人物をじっと見つめている。
「どうした、何が見えたんだ?」
俺も同じようにモニターを見つめる、今のところ違和感はない。何を見たというのだろうか?さすがに目に留まるような侵入者がいれば他の者から報告があるだろう、などと考えながら何も言わないカランが口を開くのを待った。何度か同じ映像を繰り返し見ては納得したのだろうか、現在の映像へと戻した。
「・・・いや、気のせいだったようだ。違う・・・紋章が見えた気がしたんだが、いや、俺の見間違いだろう、多分・・・。」
「何が、見えた気がしたんだ?」
どうも歯切れの悪い相棒にそう声を掛けると、少し困ったように「・・・隣国の国章だった。」と小さく告げた。それを聞くとどうも重い雰囲気になった気がした、それを紛らわせようと小さく息を吐いた。
隣国、と聞いてピンっとすぐに思いつくのは『フィットニア国』だ。何故かというと、この間までこの国と戦争をしていた為だ。今は休戦状態である。そして、この休戦も向こうから言い出したことであり、こちらは元々戦争をするつもりもない為、仕方なく飲んだようなものであった。その為、いつ向こうが再戦に踏み込むやもしれないのである。
ちなみにこの戦に勝ったとしても特にこちらに良いことは領地が広がるだけである為、この国の王であるアイリス=モルガナイト王に以前謁見した際に休戦になった旨、再戦になった際の危険性を伝えると、「これ面倒だよな~」などと軽い口調で呆れたように言っていた。どうもこの国は上に行けば行くほど、緩い人物が多いと感じる、まぁ、俺自体も上にはなるんだが。
そんなことを思いながら、問題のモニターに再度目をやると、
「だが、本当に侵入していないか確認したほうが良さそうだな。・・・どうする、ジェイド。レイの能力に頼るときじゃないか?」
用心深いカランらしい発言に小さく笑みを零した。