2-24
―――この間も会ったアイリスにまた会わねェといけないということに疲れを感じつつ、今日のこと、レイのことの二つを報告しに王の間へ向かう。
無駄に煌びやかな装飾が施された重い扉をノックした後、扉を開くと、アイリスが客人を迎える客間で優雅にお茶を楽しんでいるが見えた。その様子にすでに俺がこちらに向かって来ていることが分かっていたのだろう、と小さく苦笑を零した。
「・・・ジェイ、待っていたよ。昼間は、お疲れ様。・・・それにしても、よく侵入者だと気付いたね。」
アイリスは相変わらずの笑みを浮かべ、自分の前に座る様に視線をやり、『チリン』と小さなベルを鳴らした。どうやら、俺のお茶を用意させたらしかった。
「嗚呼、軍部から報告は上がってきたか?」
「ん?嗚呼、侵入者が居たことは聞いたけど、アフィーが、ジェイが行くだろうからその時に聞けって、言われてね。」
「・・・ったく、アフィーが面倒だっただけだろ。・・・まぁいい。侵入者は男が三名。おそらく『フィットニア帝国』だろう。・・・その辺は、アフィーから報告がくるだろ。んで、重要なのがその侵入者を見つけたのは俺じゃなく、レイだ。」
俺が一番に伝えたいことを早々に告げると、視線を真っ直ぐにアイリスに向ける。
すると、アイリスは少し眉間に皺を寄せた。・・・不機嫌といった感じではなく、それが何か?と少し疑問そうな感じであった。
「・・・レイって、この間の“黒”の子だね?」
「嗚呼、“黒”ってだけじゃなく、レイは特殊能力者だ。・・・それも少なくとも二つの、な?」
「二つッ?まさか!ジェイでさえ、一つだろう?それがあんなに小さな子供が二つ・・・。」
アイリスは驚きを隠すことが出来ず、落ち着こうとカップへ手を伸ばし、紅茶を一口飲むと、少し落ち着いたらしい。
「だから、慌てて報告に来たんだろうが。それで・・・保護もしくは認定を頼みたい。」
アイリスは、俺の言葉に少し驚いた様に俺をじっと見つめ、視線をそらさない俺に、ふぅ、と小さく息を吐き出した。
「・・・保護ということはジェイ、あの子と一緒に暮らせなくなるんだけれど、大丈夫なのかな?」
「大丈夫、じゃねェな。・・・だから、認定をしてもらいたい。」
「それなら最適なのがあるじゃないか。『国王公認司書』の試験を受けさせればいい。それまではジェイがあの子を守る、どうかな?」
にっこりと微笑むアイリスは、俺にそう告げた。
・・・簡単な話で、レイも望んでいることだ。・・・が、アイツはよくて九、十歳だ。そんな頃から国に属する、ということは俺自身大変であったことはよく覚えている。・・・どうしたものか。
「まぁ、注意だけはさせておくし、試験はそこまで急ぐものでもない。知識や実技も身につけないといけないだろうしね?」
アイリスは、微笑みを口元に浮かべながら言っては、「それより、あの子の能力は気になるね。」と続けるこいつの目には嫌な光が宿る。・・・興味があるって感じだな、と苦笑が零れる。
それと同時に、有難いとも思った。こいつは俺が迷っていることに気付いていて、逃げ道もちゃんと作ってくれる。・・・こう、たまに、年上の余裕を見せられると、悔しいという思いが沸き上がる。




