2-23
―――連れられるがまま、また移動サークルを使って、別の場所に出た。・・・多分、さっき画面で見てたところ、だと思う。
キョロキョロと周りを見遣ると、大きな門が見えた。やっぱりさっきの所だと分かると、少し怖いという気持ちが戻ってきた気がする。
師匠の陰に隠れつつ、先ほどの男の人たちを捜すと、どうやら、何人かの武装している人に囲まれていた。
「・・・悪い、連絡が来たと思うが、東塔のジェイドだ。」
師匠はそう言って、男たちを囲む警備の人たちへ近づいていく。
すると、警備の人たちの意識がこちらに向いたのをいいことに男たちは振り切ってこちらへ駆けて来る。
逃げた三人組のうちの一人が僕に手を伸ばしているのが見えた。その指先が僕に触れた瞬間、声が聞こえた。
『こんな所で捕まってたまるかッ!俺は・・・本を持ち帰る・・・任務が・・・本を宰相様へ・・・。』
僕は怖さと同じく任務という言葉が聞こえ、つい口に出してしまった。
「本を持ち帰る、にんむ・・・?」
捕まえようとしていた男の人に聞こえたのだろう。すごい形相で僕を睨み付け、「何を知ってやがるッ」と僕の髪を掴み上げて怒鳴った。
怒鳴られたことと黒いものが視界いっぱいに広がったことの二つが、少し治まっていた恐怖を蘇らせた、というより、我慢していたものがまたしても溢れ、目から溢れる涙が頬を零れ落ちていく。
これ以上触られたくないと強く思うと、一瞬、目の前が真っ白になった。その瞬間に目を瞑っていたけど、頭の痛みもなくなり、そろりと目を開けると、僕の髪を掴んでいた男の人は少し離れた所に倒れていた。
そして、「レイ!」という師匠の声と少しの衝撃を感じた。どうやら、僕は師匠に抱き締められている様だった。
「レイ、怪我は・・・って、頭、痛いよな?悪い、咄嗟で対処しきれなかった。・・・でも、もう大丈夫だ。」
大丈夫、という師匠の言葉と包まれるあたたかさに安心を覚え、ギュッと抱き着きながら、涙が零れた。それから僕が落ち着いたのを確認すると、師匠は再度、「大丈夫か?」と聞いてくれた。
「大丈夫。・・・あのね、さっきの人が『本を持って帰るのが任務だ』って、言ってわけじゃないけど、僕にはそれが聞こえて・・・、あの、それで・・・。」
言いたいことがうまく伝えられず、下唇を軽く噛むと、師匠はポンッと優しく頭を撫でてくれた。・・・分かったってことかな?と思いつつ、もっと撫でて欲しいなと擦り寄ってみると、「まるで犬だな。」と笑いながらも、撫で続けてくれた。
その後、三人の男たちは警備の人たちに連れて行かれた。師匠は少し用事が出来たらしく、僕に「カランと待っとけ。」と移動サークルでどこかへ行ってしまった。
・・・心細いけれど、カランさんが淹れてくれたココアを飲み干す頃にそれはなくなっていた。




