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「・・・って、これ俺も聞いた方が良いのか?」
「嗚呼、手間が省けるし、今日から強化してもらえると助かる。」
俺のこの返事にアフィーは少し表情を引き締めた。アイリスもゆったりとした動きではあるが、先ほどまでの緩く、優しげな目元は強い力を秘めたものへと変わっていた。
・・・相変わらず、こいつの切り替えの早さというか、こういう時のアイリスは、まぁ口には出したくないが、尊敬するな、と考えながら見つめてしまったのが駄目だったらしい。
「・・・ジェイ、そんな風に見つめられると、可愛がりたくなっちゃうなー。」
・・・駄目だ、やっぱり尊敬してるなんて口にすれば、無駄に調子に乗るだけだな、と内心で溜息を零しながら、アイリスの発言をかわして報告に入りなおす。
「じゃ、改めて報告に入るが、昨日の夕方、時刻は・・・悪い、確認するのを忘れたが、十六時半頃に帝国図書館、中央塔正門にて侵入者らしき人物を確認。俺は確認出来なかったが、東塔リーダーのカラン=クンツァイトがフィットニア国の国章を確認したとのこと、だ。」
俺は昨日あったことを一気に報告すると、一瞬、シンとした空気が漂う。その空気をアフィーの声が変えた。
「あ、ありえねぇっ!絶対に、だ!軍部の最高ランクの班が門を守ってるんだ。最近は大きな争いごとはないが、俺の部下に無能はいないと俺が断言する。簡単に侵入を許し、ましてや帝国の中心まで気づかれずにいるなんて・・・。」
「私もさすがに、それはありえないと思うが・・・。ジェイド、続きがあるのだろう?」
俺はついニヤリと口元を緩むのが我慢出来ない。・・・やっぱり、よく分かってんな、とアイリスの言葉に頷いて見せた。
「侵入者がいたのは確かだった。レイが確認済みだ、・・・だが、痕跡は一切、残ってない。俺と西塔のリーダー、それからレイが確認した映像にもだ。・・・それでだ、これはあくまで仮説だが、俺たち三人はほぼ事実に近いと思ってる。・・・フィットニア国が以前発見されていた古代遺跡にあった『時間操作』を解読し、実行、こちらに侵入。目的はおそらく“本”だ。」
「な、・・・『時間操作』か。」
「レイ曰く、完全ではない、とのことだ。」
「何故、そう言い切れるんだい?」
アフィーは少し考え込むように腕を組み、小さく唸る。アイリスは完全ではないという根拠に食いつき、じっとこちらの答えを待っていた。
「・・・俺はレイの様に『見えない』から分からないが、徐々に消えたんだと、あの黒い影がな。」
俺の答えに完全には納得していない様子だが、「そうか。」とアイリスは頷いて見せた。
「それで、私にどう動いてほしい、と?」
「何もしなくていい。」
「何も・・・?では、何故・・・。」
「知っててもらえれば、何かあった時に対応・・・ってか、助けてくれるだろ?」
二ィと自分でも悪そうな顔をしてんだろうなぁ、とも思ったが、そのまま、アイリスの答えを待った。




