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翌日、カランには報告に行く為、遅れることを伝えた。そして、普段は締めていないネクタイをし、帝国図書館と城を繋ぐ無駄に装飾が派手な橋を渡る。
普通であれば、報告する際、上司であるカランに行かせるが、先々週ぐらいからあいつに「たまには顔を出せ。」としつこいぐらい声がかかっている為、報告がてら足を運ぶことにしたのである。
・・・仕事ということで行けば、早めに帰れるし、と自分に言い聞かせながら、重く感じる足を進める。警備の者、使用人から頭を下げられながら、長い廊下を進む。
迷うことなく、目的の部屋の前にたどり着いた。長いこと離れていたが、身体は覚えているもんだな、とハァと何とも言えない溜息が零れた。
絢爛に金で彩られた扉をノックして中に居るのを確認すると、「はい。」と表情のない返事が聞こえたかと思うと、中から白のローブを纏った一人の男が出てきた。
・・・白のローブに黒のクロス、ということは『ペンタス』のメンバーか、と考えながら見ていたせいか、少し怪訝な目で見られてしまった。
ルピナス帝国は『王家』が国内の統制、『軍部』が外交、『教会』は軍部と国王の監視兼協力という体制で国が成り立っているが、その中でも教会は更に二つの派閥に分かれている。
それが『ペンタス』と『グラジオラス』である。ちなみに『ペンタス』は王家派で白のローブを身に纏い、首からは黒のクロスをかけている。反対に『グラジオラス』は軍部派で黒のローブに白のクロスを身につけているのである。
「悪いが、通してもらえるか、ジェイドが来たと言ってもらえれば分かると思うが・・・。」
「ただいま、国王陛下はカルミア様とお話しの最中です。再度、お越しくださいませ。」
目の前のこいつの言葉にイラッとしつつも、我慢しろと自分に言い聞かせる。
「・・・お前、ペンタスのメンバーだな。」
「ええ、そうですが、何か関係ありますでしょうか?」
「嗚呼、その国王陛下の機嫌を損ねたくなければ、ジェイドが来ている、と伝えろ。伝えなければ、グチグチ文句を言われるのはお前の上司だぞ。」
ギロリと睨みをきかせると、渋々といった感じで奥へと戻っていった。
・・・早く入れろよ、全く、とブツブツと文句を心の中に吐き出していると、中でバタバタと騒がしい足音が聞こえる。その音が近づくと同時に目の前のドアが『バンッ』と似つかわしい音を立てて開いた。




