暗い部屋
昔書いた短すぎる奴パート3
(続いてはいません)
暗い部屋
暗い暗い、真っ暗な部屋。
黒で統一された家具
ずっと此処で過ごしてきたはずなのに、現実味がなく生活感がない
黒い部屋。
壁も床も天井も扉も黒くて、窓なんて一つもない部屋。
居るだけで狂ってしまいそうなそんな部屋は、意外にも居心地が良かった。
ゆっくりと、ゆっくりと、僕の心は壊れていった。
何も考えずに、そこで遊んで暮らす。
何も困らない。危険なことも何もない。
怖いくらいに優しい部屋だった。
でも、ふとかつての空を思い出した。
外に出て見ようか。
外へと繋がるのは、たった一つの扉だけ。
開けるのがとても恐ろしかった。
この暗くて黒くて光のない部屋なんかより、ずっとずぅっと恐ろしい気がした。
知ってるんだ、本当は。
何にも恐ろしい事なんてないことくらい。
分かってるんだ、本当は。
ずっとこの部屋にいる事なんて出来ないんだって。
ちゃんと、知ってるんだよ。分かってるんだ。
なのに、この部屋に慣れすぎて。
この部屋に馴染みすぎて。
外がとてつもなく恐ろしいものに見えるんだ。
僕には勇気がない。
何のとりえもない。
すぐに逃げ出して、諦めて、だからこそこの部屋に囚われた。
この部屋は、魔性の部屋だ。
心をとらえて、外に出られなくしてしまう。
光が見たい。
空が見たい。
人に触れたい。
でも………
ああ、一体僕はいつ外に出られるんだろう
外もまたやさしいとわかっていても一度ひきこもると抜け出せないよねって話。