木登り
投稿だいぶ遅れました……
改めて小説を書くという大変さがわかりました(*´ω`*)
セリフですがこの話から「」に統一いたしました。
子猫を抱きかかえようとした私の動きを察してか
さっきまであれ程ぐったりしていた子猫はしゅばっと起き上がり素早く木の上へ登っていってしまった。
どうやら私がまたモフり始めるのかと勘違いしてしまったようだ……
その証拠に木の上から毛を逆立てて「シャー」と威嚇している。
どうやら本気で嫌がられているようだ。
ここまでされると私のガラスのような繊細な心は粉々に壊れてしまう…
コネコのこうげき!
ティナは心に2000のダメージをうけた!
ティナはたおれた!
………。
ティナのめのまえはまっくらになった!
私の脳裏にそんな馴染みの文字が浮かんだ。
やっぱり、無理やりもふったのがいけなかったのだろうか?
受けたダメージの重さから、しょぼーんと効果音がつく位に俯く私
すると流石に悪いと思ったのか「にゃ〜」という威嚇とは違う声が頭の上から聞こえてきた。
そう、それはまるで私に「行かないで…」と言っているみたいで……
(ついに私の思いが届いたのね!)
子猫にガラスの心を壊されたばかりという事を忘れた私は勢い良く頭を上げた。
ここから私と子猫の種別を超えた恋が始まったのだ!!
頭の中ではそんな全米が泣いたアカデミー賞レベルのストーリを思い描いていた。
どうしよう…やっぱり監督けん主演女優として目立つ事は避けられないだろう……大スクープとして人気俳優との恋愛を報じられる私。
そしてそして、私はその映画のイケメン俳優と電撃結婚する事になっちゃったりし…
だが私の予想と反して始まったのは恋ではなく…
ー木に登ったのはいいが降りられなくなった子猫の救出劇だった。
* * * * *
ティナを探すことした俺が最初に探した場所は父さん達がまだ話しているであろう部屋の中とティナ達の荷物がおいてある部屋だった。
荷物のある部屋を探した理由は
「俺が帰れ」と言ってしまったから帰る支度を始めたのではないか。
そう思ったがらである。
結局、部屋の隙間から覗いてみたがティナの姿は見えず荷物も置いたままで放置されていた…
次に探したのは父さん達がいる部屋だ。
ちなみに探した理由は俺のことを言いに言ったのではないかと思ったからだ。
部屋の中は僅かに覗いた時に父さんと父さんの親友が話しているだけでティナがいる様子は見受けられない。
静かに部屋の扉を閉じた。
他の部屋も探して使用人にも聞いてみたがティナは室内にはいなかった。
あと心当たりがあるのは庭ぐらいしかない。
だが、メイビィス家の庭は広大な面積を誇る。
ここを探すとなるととても根気が必要となってくる…だろう。
けど、ここで探すのを諦めていたら今までの俺と何も変わりはない。
覚悟を決めるんだ俺!
ティナを絶対に探し出してやんだ!
―10分後―
……開いた口が閉まらないというのはこういう事を指すのであろう。
幸いな事にそこまで探さなくてもティナをすぐに見つけることができた。
屋敷の裏口の近くの少し入りくんだ場所にいたのだ。
そう……
ー木に登っている状態で。
ふと、上を見上げると俺の家に住み着いている白い野良猫がいた。
どうやら気の上に登ったまま降りられなくなってしまったようだ。
俺の知っている限りでは女性が木の上に登るという事は本来ありえない事…なはずだ。
少なくとも俺の周りの女性が木に登るなんていう事は今までなかった。
なんの事情があったとしても女性のマナーとしては最悪といえる…
また何より今の状況はとても危ない。
このまま足を滑らせてしまったらティナみたいな、か弱い体では命に関わりかねない。
「おい!降りろと言っている!!」
* * * * *
(んっ!あと少し…あと少しで、手が届きそうなのに……)
前世を合わせても木登りなんてしたことがなかったが人にはやらなければならない時はあると思う。
それがまさに今なのだ。
「 大丈夫だよ……怖くないよ?ほら…おいで!」
子猫が登ってしまった場所は意外と高い所で、私が登れる範囲では手が届きそうで届かない。これ以上は木が折れてしまう…
ホントの所、今の状態さえだいぶ危うい…早く助けないと木がポッキリといってしまいそうだ程だ…
早く助けるためには私がいる位置まで降りてきてもらわなければならないので、さっきから懸命に話しかけているのだが高いところの恐怖感と私に対する恐怖感(でも、これは無いとは思っている)からかプルプル震えるばかりで動こうとしない…
(ヤバイ、このままじゃ助ける前に木が折れてしまう…。)
すると、私の下から大きな声がした。
よく聞くと私が知っている声。どこかで聞いた覚えがする声ー
「おい!降りろと言っている」
そう!これは、カイルの声ではないか。
(うぅ…メンドくさい奴が来やがった…一体何のようなのだろう?)
カイルは私に対して「帰れ」発言をしたばっかりである。
それが今は慌てて私に向かって「降りろ」と言っているのだ。
ここで私は気づいた。
もしかして…私の…
私の、子猫の事が心配なのではないだろうか?
それで全てに説明がつく。
早く降りろというのは子猫と一緒に降りて来いという意味なのだろう。
だが初耳だ!カイルが動物の事が好きだっただなんて。
【君僕】に出てきたカイルは動物なんて興味ありませんスタンスだったはずだ。
あんなクールな性格をしておきながら実は裏では動物を可愛がっていたのかもしれない…と考えたらこんな状況だというのに笑いが込みあけできた。
すると何故か子猫が一瞬戸惑ったような仕草をしてから私の胸に飛び込んできた。
……よしっゃあ!ミッションコンプリート☆
こうして私の長きに渡る【絶体絶命子猫の危機を救え】は無事幕を閉じることとなった…りは当然しなかった。
子猫でもカイルの声でもない《メキメキ》という音がどこからか微かに聞こえた。
その音がなんの音なのか私が理解した頃には子猫が私の胸に飛び込んできた時の衝撃でギリギリ耐えていた木は《ボキッ》っという音とともに思いっきり折れてしまっていた…
『ふえっ(にゃぁ)!?』
…ふわっと今まで感じたことがない感覚が私を包みこんだ。
* * * * *
ティナは猫を助けるため俺の言葉を聞くこともせず必死に登っていった。
どうしてそこまで猫を助けることに必死になるのか。俺にはよく分からない。
ティナは周りの女性のようなマナーを守る事はないし
ましてや俺の言葉を素直に聞いて止めるような奴でもない。
そして、まだ出会って間もないが分かる事がある。
ティナは助けを必要としている奴を放っておけはしない。
たとえそれが猫でもだ。
俺に意見してきた時には怒っていたが言っていること自体は正論かつ俺が直さなければならない事だった。
ティナの事は無理やり止めることを諦めてもし危険な事があったらすぐに助けに入ることができるように見守っていこうと決意した。
しばらく見ているとティナは無事猫を助ける事ができた。
ほっとひと安心していると所でそれが起きた…
《ボキッ》という音がなった瞬間、ティナとティナに抱きかかえられた猫は木から一気に落下して行ったのがわかった。
このままじゃ危ない!そう思った。
今俺がいる場所からティナの落ちている木まで距離があり、とても間に合いそうにない。
けれどここで間に合わなければ良くて骨折。悪ければ命を失いかねない…
(つっ… くそっ…間に合えぇぇ!!)
注 カイルは7歳です。
誤字脱字、内容がおかしい所など指摘いただけると大変嬉しく思います(^_^.)




