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異世界はスマートフォンとともに。  作者: 冬原パトラ
第32章 めぐり逢えたら。
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#633 理想の父親、そして未来の事業。





 八重とヒルダの妊娠が発覚し、城中が大騒ぎになった。

 歓声とお祝いの言葉が次から次へと放たれ、今から赤ちゃんに必要なものを全て揃えなければとメイドさんたちが意気込んでいる。

 高坂さんが『これで公王家にも跡取りが』とちょっと涙ぐんでるが、すみません、生まれてくるのどちらも女の子です。

 男の子がいない場合、女の子でも爵位や王位を継げる国もある。公国うちもそうだ。あくまでも男子がいない場合、だが。

 普通、男の子が生まれない場合を考えて、長女をとりあえず後継者と考えて、帝王学を教えたりするらしい。

 それをしていなかったのは、のちに久遠が生まれることを知っていたからなのだろうなぁ。

 まあ、お嫁さんが九人もいるんだから、一人くらいは男の子が必ず生まれると思ってたのもあるだろうが。

 城内だけではなく、城下町でもすでに噂になり、お祝いムードが出来上がっているらしい。

 出生率が低いこの世界では、確実に生まれるまで世間には公開しないこともしばしばなのだけれども、二人の場合、間違いなく無事に生まれてくるからまあいいかと。祝ってもらえるのはありがたいし。

 一応、世界神様の許可が出たので母さんたちにも電話で連絡したら、『でかした!』と大声で叫ばれた。鼓膜がっ……!

 とはいえ、十一、二年後まで両親とこっちの子供たちを会わせることはできない。

 まあ、そこは未来の僕が未来の子供たちを会わせるからいいんだけども、赤ちゃんからの成長をその目で見れないというのは申し訳なく思う。

 母さんは今から動画を撮りまくっておけと言っていたが、元からそのつもりだ。

 ……あれ? その成長記録動画って未来の僕は当然持ってるよな?

 ひょっとして母さんたち、僕より先に八雲らの成長記録を観れたりしちゃう? なんかズルくない!?

 モヤッとした気持ちを抱えつつ、僕は電子書籍のマタニティ本を読んでいた。

 無事に生まれくるのが確定とはいえ、手を抜いていいということではない。未来は自分たちで確定していくものだ。故に、準備万端整えておかねば。

 ふむふむ、風邪や感染症には気をつける。葉酸の不足に注意? 葉酸が取れる食べ物ってなんだ……? ブロッコリー?


「今からそんなに気合い入れていると疲れちゃうわよ?」

「そ、そうかな……」


 リーンに呆れたように言われた。というか、順番通りなら次は君の番なんだが。

 八重やヒルダに比べて身体の小さいリーンに出産って大丈夫なんだろうか。いや、クーンがいる以上、大丈夫だったんだろうけど……。

 この世界では平民の出生率は低いが、実は貴族や豪商などに限ってはそこまで低くはない。

 なぜなら回復魔法という反則技があるからだ。

 帝王切開をしても傷跡もなく、出産後にすぐ治せる。失った血や体力は治せないが、それでもあるとないとでは雲泥の差だ。

 ここに地球の知識が加わればこの世界の医学はもっと進歩するだろう。そのためにいろんな医学書を地球から購入してきたのだが、こんなに早く必要になるとは……。


「なんというか微妙な気分です。私はここにいるのに、母上のお腹の中にもいると言われても……」

「だよねえ。変な気分なんだよ」


 八雲とフレイがまだ大きくもない母親たちのお腹を見ながら苦笑いをしている。

 タイムスリップ映画なんかだと、過去の自分と出会ってしまうと過去が変わってしまうから、今の自分が消えてしまう、なんて展開がよくあるが、この場合はセーフなんだろうか。

 子供向けの漫画なんかだと、未来の自分を連れてきて、現在の宿題を手伝わせる、なんて話もあったりするんだけどな。

 まあ、未来の僕がここにやってきて、この後こういうことがあるよ、あれこれはこうなるからこうしといた方がいいよ、などと未来のことをペラペラと語られたら先の楽しみがなくなってしまうかもしれない。

 もうすでにかなり知りすぎているのだし。


「二人とも体調はどう?」

「今はなんともないでござるな。あの時はご飯とカレーの匂いがどうにもダメで……」

「私もです。あと、今は香水とかコーヒーの匂いもキツく感じます……」


 つわりってやつか……。

 えーっと、つわりはだいたい五週前後から始まることが多く、八〜十週ごろにピークをむかえ、十二週〜十四週ぐらいまでの妊娠初期の間に落ち着くのが一般的、か……。あと七〜九週間……二ヶ月くらい続くのか。

 今から思うと、最近八重がやたらと眠たそうにしてたのも妊娠の症状だったのかも……。そういうところに気が付かない自分が情けなくなる……。

 僕はマタニティ本を読みながら、こういう時って男は無力だなあ、と思った。

 お? ご飯は一度冷やすと匂いが抑えられて食べやすくなる……か。妊娠中は食べない方がいいもの、食べた方がいいものなんかも載ってる。これはルーに教えとこう。

 お腹の赤ちゃんの分の栄養も取らなきゃいけないんだから大変だよな……。しっかりと僕も勉強して、一緒に頑張らねば。

 本当に父親になるんだから。まあそれになかなかのプレッシャーを感じることもあるんだけども。

 ちゃんとした父親になれるか自信がないのかな? ……ちゃんとした父親ってなんだ?

 僕の父さんはどっちかというと放任主義だったと思う。子供の頃の思い出もじいちゃんとの方が多い。あの頃は仕事が忙しかったしな。

 だけど仲が悪いとか嫌いとかはなくて、反抗期もなかったと思う。……たぶん。中学時代は荒れてた時期もあったけど、主に外でのことだし、家族には迷惑をかけないようにしてたしな。

 それは交流が少なくても、父さんがちゃんと僕を見てくれていると感じていたからなのかもしれない。

 放任主義ではあったが、叱るときは叱る、褒めるときは褒めるってことをちゃんとしてくれた。

 ……自分が親になるとわかって、初めて親ってもののありがたみが本当にわかったような気がするな。

 まあ、この子たちを見ていると間違った教育はしていないと思えるけど、教育したのは僕じゃないような気がするしな……。


「まあともかく、体調管理はフローラに頼むから、二人とも気をつけてね。あ、模擬戦とかはしばらく禁止な?」

「え!? ダメでござるか!?」

「そ、それは酷いです!」

「いや、間違えて転んだり、お腹を叩かれたりしたらどうするんだよ……」


 妊娠中に激しい運動はダメだろ……。本にもジャンプが伴うような運動や長時間の運動、お腹を圧迫するような運動はダメってあったぞ?

 せいぜい散歩くらいにしてほしい。身体を動かすことが大好きな二人には確かに酷かもしれないが。

 ……今さらだけど、うちの騎士団には女性騎士が多い。将来、彼女たちが結婚して子供ができたとき、気兼ねなく休めるように育児休暇制度は必要だな。

 あとは城内に託児所とか。仕事をしていてもお昼休みとかに子供に会いに行けるように。うん、この機会に高坂さんに話して考えてもらおう。

 最後に八重とヒルダ、二人の妊娠という喜ばしいハプニングはあったものの、子供たちとの別れは近づいている。

 もう明後日には子供たちは未来へと帰ってしまう。

 最後に何か記念になるようなことができればいいのだが……あ。


「写真を撮ろう」

「は?」


 僕の呟きに『今さら何言ってんの?』という意味不明な視線を向けてくるお嫁さんたち。いかん、言葉足らずだった。


「みんなで記念写真を撮ろう。家族の集合写真を」

「ああ、なるほど。それはいいかもしれませんね!」


 理解した、とばかりにユミナが手を打つ。


「ふふふ。こういうこともあろうかと! 地球で買ってきたこのデジタル一眼レフカメラの出番ですわ!」


 ドヤ顔で黒くてゴツいカメラを掲げるクーン。そんなの買ったっけか……? なんかいろいろ買わされてよくわかんなくなってるな……。


「撮影場所は中庭の花壇の前がいいですわね。三脚も用意して……」

「待って待って! ちゃんと撮影するなら着替えたいんだけど!」


 ノリノリのクーンにエルゼが待ったをかける。確かにちゃんとした撮影なら着替えた方がいいのか?

 写真館で家族写真とかを撮るときなんかは、みんな着飾るよな。あんな感じかね?


「ドレスを着るとなると、室内の方がいいかもしれません、よ?」

「二回撮ればいいのでは? 外では私服で中では正装で」


 リンゼとユミナも加わり、それぞれ思いついた意見を述べていく。なんか大事おおごとになってきたな……。軽い記念写真のつもりだったんだが……。

 まあ、奥さんたちも子供たちとのちゃんとした写真が欲しかったのかもしれない。

 とりあえず試しに撮ってみようと玄関ホールにみんな集まり、一枚撮ってみた。

 僕を中心にして奥さんたちはそれぞれ子供たちの背後に立つという構図を階段で撮ったのだが、これはどうにもダメな気がした。いや、ダメというわけじゃないが、なんか内閣発足の時の記念写真みたいだ。子供大臣誕生かよ。階段と赤絨毯ってのが悪かったな……。

 中庭に出て何個か椅子を出し、みんなが寄り添うような感じに集まって撮ってみると、なかなかいい感じの記念写真が撮れた。

 調子に乗って、僕と奥さん一人、その間の子供の三人ひと組の写真も撮ったりした。

 まあ、子供というよりは弟妹との写真みたいに見えるんだが。

 誰が連絡したのか、途中からエンデたちも現れ、アリスとの写真も撮ることになった。アリスの家族写真と、久遠とアリスを中心にしたそれぞれの家族との集合写真だ。これはこれでなかなかいい写真だと思う。エンデが久遠の方をものすごい目で睨んでなければ。少しは取り繕えや。

 写真はそれぞれのスマホに転送し、博士に頼んでプリントアウトもしてもらった。後で写真立てに入れて執務室の机の上に飾ろう。これでキツい仕事も頑張れるな。

 ルーとアーシアが用意した妊婦の二人にも優しい夕食を食べたあと、みんなはお風呂に行ってしまった。

 僕は一人バルコニーに出て、気持ちのいい夜風を感じながら、置いてあるテーブル席で冷たいジュースを飲んでいた。

 ここでお酒でも飲んでれば少しはサマになるのにな。なんともダンディにはなれないもんだ。

 自分の中で決めた二十歳前ルールを守り、未だに飲酒はしていない。まあ、何度か破ってはいるんだけども。

 だいたい二十歳まで一度もお酒を飲んだことのない人(それが普通のはずなのだが)ってどれだけいるんだろ?

 ちょっと興味を引いて調べてみると、なんと未成年者の70%が飲んだことがあるとのこと。ええ……? 守っている自分がものすごく虚しくなってくるな……。いや、僕も飲んだことがあるから、70%の一人か……。

 反面、若者の酒離れも進んでいるらしい。二十代で飲酒習慣がある人は全体の約8%、三十代は約17%ねえ。

 じいちゃん世代は浴びるように飲んでいた記憶があるけども。異世界こっちの人たちもよく飲むよな……。


「ん?」


 背後に気配を感じて振り向くと、久遠が立っていた。


「あれ、みんなとお風呂に行ったんじゃないのか?」

「いえ、僕は父上と入ろうかと」


 あー……。久遠も六歳だし、この子は大人びているからな……。母親や姉とはいえ、もう一緒にお風呂に入るのは恥ずかしい年頃なのかもしれない。

 その気持ち、わかるぞ。僕もそれくらいの歳に母さんと入るのをやめた気がする。公衆浴場でも七歳以上は混浴禁止だったはずだ。


「久遠も飲むかい?」

「いただきます」


 正面の席に座る久遠の前に、【ストレージ】からグラスに入ったグレープジュースを取り出した。

 なんだろう、息子と二人っきりになると、なにを話したらいいのかわからんな……。


未来むこうの僕はどんなふうなのかな?」

「どんな……とは?」


 昼間考えたことを久遠に聞いてみようと口にしたが、意味がわからないのか彼は首を傾げた。


「えーっと、父親としてというか……」

「そうですね……。この国だけではなく、他国同士の揉め事を解決したり、新たな事業を起こしたり、国王としても僕は尊敬していますが、父親としても立派なのではないかと。やりたいことをやらせてもらえますし、話もよく聞いてくれて、温かく見守って下さりますし。わからないことはわからないと一緒に考えてくれますし、何より母上や母様たちを大切にしていますから。僕もいつかはそんな父親になりたいと……」

「待って待って、ストップ! なんかハズい!」


 誰だ、それは!? なんか全くイメージがわかないんだが!?

 え、僕どっかの泉に落ちて、『綺麗な冬夜君』とかと変えられた?

 久遠の知る僕は十数年後の僕だから、いろいろと経験を積んではいると思うけど、息子にそんなふうに思われているとは……。

 嬉しいような、自分じゃない誰かを褒められているようで虚しいような……。妙な気持ちだ。


「ま、まあ、父親も国王の仕事も頑張ってるってことでいいのか……?」

「頑張ってる……そうですね、頑張ってるのだと思います。頑張りすぎているようにも思えますが。父上がすごいことをどんどんとやると、あの背中には永遠に追いつけないのではないかと思う時があります。僕はその跡を受け継いで、この国を正しく導くことができるのかと……」


 久遠が少し落ち込んだようなトーンでそんなことを呟いた。

 意外だ。この子でもそんな悩みを持っていたんだな。大人びて見えるけど、それでも子供なんだから将来に対しての不安があるのは当たり前か。いや、大人びているからこそ将来に不安を感じているのか。

 僕が久遠ぐらいのときは、そこまでの悩みなんか、まったくなかったような気がする……。

 …………僕が能天気過ぎたんだろうか……? いや、それくらいの子供ってそんなものじゃない? 違う?

 リンネとかステフとかあんまり考えてないと思うし。


「そこまで不安になることはないと思うけどね。久遠は久遠でやれることをやればいい。周りのみんなと一緒にさ。他人を大切に真面目に一生懸命やってれば、周りの人は助けてくれる。間違えていれば注意してくれる。一人で頑張らなくてもいいんだ。頼れるなら親だって神様だって頼ってしまえばいい。それで解決するならなにも問題はないさ」


 僕だってそうしてきた。所詮、一人でできることなんて限界があるんだ。

 今までだってみんながいたからどんな苦難もなんとか乗り越えられてきた。久遠にもたくさんの仲間ができればいいな。

 ……僕みたいにたくさんのお嫁さんができちゃったりするとアレだけども……。

 アリスも一応、自分が正妃であれば側妃とかは問題ないっぽいけど、けっこう久遠に対して依存というか、ヤンデレ感があるからな……。あれ、絶対エンデの血だろ……。

 まあ久遠ならそつなく奥さんたちの仲を取り持つような気もするけども。


未来むこうにはアリス以外に友達はいないのかい?」

「友達ですか? そうですね、ロータスとミランという友達がいますが」


 おっ、ちゃんと友達がいたか。ロータスとミラン? 


「ロータスは警邏騎士隊長のローガンさんの次男で、ミランは『銀月』の店長であるミカさんと警邏騎士ランツさんとの長男です」


 はー……。ローガンさんの息子とミカさんとランツ君の息子かあ。

 やっぱりミカさんとランツ君はあのまま結婚したんだな。

 久遠の話によると、二人とも騎士団に入団すると息巻いているそうだ。久遠の側近候補かな?


「他国にも仲のいい友達は何人かいますよ。ビーチェ姉様や重郎太じゅうろうた兄様のような従兄弟いとこも含めて」


 ん? ビーチェってのは確かベアトリーチェ……ヒルダの兄であるラインハルト義兄にいさんの娘だっけか。重郎太ってのはもしかして……。


「重太郎伯父上の息子ですね」

「やっぱりか」


 重太郎義兄にいさんの息子か。僕にとっては甥っ子に当たるわけだな。久遠にとっては血は繋がってないけど、確かに従兄弟いとこだ。

 ベルファスト王国のヤマト王子も叔父だし、レグルス帝国の皇太子とも従兄弟になるからな。なんだかんだで久遠は血の繋がりが多くなってしまっている。まあ、僕のせいだけれども。

 そう考えると、政略結婚ってのは国にとって重要なんだな……って、よそはよそ、うちはうち! 娘たちは嫁に出しません!

 世界会議などで各国の代表が話し合うように、それぞれの国での結婚式やイベントなんかで、王家の子供たちもそれなりに交流があるようだ。

 子供の頃から見知った仲ならば、仲良くもなりやすいよな。喧嘩して仲が悪くもなるかもしれないけど、そこは他の国が仲裁に入ってくれるだろう。

 子供たちの話を聞いていると、未来は明るいと思えるな……。

 そういえばさっき、僕が新たな事業を起こしたとか言ってたけど、なにか始めたのかな?


「ああ、通信事業ですね。バビロンを中枢にして、スマホでの通信を世界規模でできるようにしたんです。僕がいた時代ではほとんどの貴族が持っていたと思います。次は平民向けの安価なスマホを出そうとしていたみたいですが……」


 え!? 未来でスマホってそんなに普及しているのか!? 今でも国のトップとその側近や大臣なんかには渡しちゃいるが……。

 いや、便利は便利だけど……。そんな他国が作った魔道具を自分の国中に広めていいのか? 盗聴されてるとか考えないの? 日本でも他国で開発された怪しいアプリとかあったぞ?

 僕がそんな疑問を口にすると、久遠はフッ、とニヒルな笑みを浮かべた。


「父上の狙い通り、一度馴染んだ便利な道具はそう簡単には捨てられないんですよ……」

「いや、別にそんな思惑があって配っていたわけじゃないからな!?」


 国王同士、話がすぐにできれば何かと便利だと思ってさ! なんか僕が長期ペースで腹黒いこと企んでいたみたいやんか!?


「輝晶板を使ったテレビ放送……霊子映像エーテルビジョンを開発して、広めようとかも言ってましたね」

「メディア王にでもなる気かよ……」

 

 テレビねえ……。まあ、情報と娯楽の王様みたいなところがあるから、間違いなく大ヒットするだろうけど……。

 スマホが先にあってテレビが後だと、いい加減なデマとかは迂闊に流せないだろうから、多少は信頼度があるかもな……。

 地球のテレビ局のように、自分たちに都合のいい偏った報道とかしないようにしないと。大変だなぁ……。

 でもテレビができるなら、いろいろと使えるかもしれないな。そのうち年の暮れには歌合戦なんかしちゃったり?

 未来でスマホがそんなに広まっているのはちょっと嬉しいことかもしれない。いろんな人と人が繋がり、やがてそれが大きなうねりとなって、世界を動かすこともある。

 まあ、あまり依存してしまうと問題だけどね。情報はあくまで情報であって、考えるのは自分の頭でしてほしいところだ。

 これから王侯貴族なんかは国民を蔑ろにはできなくなっていくかもな。悪事がすぐに広まることになるだろうし。そういった意味ではスマホが普及されなかった方が良かったのかもしれないけど。


「ま、スマートフォンとともにある未来に乾杯、ってとこかね」


 僕は久遠の語る未来に思いを馳せながら、グラスを傾けた。





 


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■スラムで暮らす私、サクラリエルには前世の記憶があった。その私の前に突然、公爵家の使いが現れる。えっ、私が拐われた公爵令嬢?
あれよあれよと言う間に本当の父母と再会、温かく公爵家に迎えられることになったのだが、同時にこの世界が前世でプレイしたことのある乙女ゲームの世界だと気付いた。しかも破滅しまくる悪役令嬢じゃん!
冗談じゃない、なんとか破滅するのを回避しないと! この世界には神様からひとつだけもらえる『ギフト』という能力がある。こいつを使って破滅回避よ! えっ? 私の『ギフト』は【店舗召喚】? これでいったいどうしろと……。


新作「桜色ストレンジガール 〜転生してスラム街の孤児かと思ったら、公爵令嬢で悪役令嬢でした。店舗召喚で生き延びます〜」をよろしくお願い致します。
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