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異世界はスマートフォンとともに。  作者: 冬原パトラ
第32章 めぐり逢えたら。
594/637

#594 敵陣分析、そして同時侵攻。

Twitterの本アカウントを取り戻すことができました。28巻書き下ろしラストに『パスワードロックは二重にしとこう。二度とこんなことがないように』なんて書いてしまって、思いっきりブーメランをくらいました……。皆さんもお気をつけて。


アニメ二期が始まっておりますが、Abemaさんのアプリを落とせば、放送したその週の話は一週間いつでも無料で見られるようです。三話はあと三日。





「アイゼンガルドの北にある大きな湖。ここは世界融合の時に落ちた邪神の棘針でできた湖なんだが……ここを見てくれ」


 バビロン博士が、ピッ、と『研究所』のモニターに映る映像を拡大した。


「城塞……?」


 荒い映像でよく見えないが、そこにはまるで外敵からの攻撃を防ぐための、城塞のようなものが赤い湖の中心に建っていた。

 驚いたのはその城塞が樹木で覆われていることである。いや、覆われているのではない。元から樹木で作られた城塞なのだ。

 木の根のようなものが絡み合い、真っ赤な湖の水と相まって、まるで生物の内臓のようにも見える。

 樹木もそこはかとなく赤っぽい気がするな。この赤い湖の水を吸い込んでいるからかな……。なんとも不気味な建造物だ。

 中心になにかピラミッドのような建造物があり、その上に光る輪っかのようなものが見える。


「なんか祭壇みたいな……。まさか本気で邪神を復活させようって気なのか?」

「その要塞も問題だが、こっちのもなかなかヤバい感じだよ」


 カメラが湖のほとりの方へと移動していくと、そこにはものすごい数の小さなゴマ粒のようなものが並んでいた。なんだこれ?

 カメラがそれを拡大していく。荒い画像の中見えたのは、犬や鳥、鰐といった動物の頭をした機械兵であった。いや、肉体と機械が融合したような姿をしているから融機兵とでもいうべきか?

 まるで機械の獣人、というか、これってまるでエジプトの神話に出てくる神々のようだな。SF色がだいぶ入っているが。昔、そんな映画をじいちゃんと見たぞ。

 そんな融機兵が槍や剣や杖を持ってずらりと並んでいるのだ。その数は数十万に及ぼうかという大軍である。

 それが微動だにせず、規則正しく並んでいる。不気味なことこの上ない。まるで出陣の命令を待っているかのように……。


「むっ」


 画面の端に映っていた城塞からピカッとした光が放たれたかと思うと、僕らが見ていたモニターが真っ暗になってしまった。


「探査球が撃ち落とされたか。まず見つからないと思っていたんだが、向こうもだいぶ警戒しているようだ」

「ずいぶん画像が乱れていたようだけど……」

「あの辺りは大気中の魔素がかなり減っているらしい。その影響だろう。おそらく周囲の魔素を使う精霊魔法なんかは使えないだろうね。精霊の言っていた『禍々しい渦』ってやつがあるのかな?」


 よくわからないが、ブラックホールのようなものが、あの辺りの魔素を根こそぎ吸収してしまっているのだろうか?

 間違いなく精霊が怯えているのは堕神の力が影響しているのだろうが……。

 とにかくこの情報を各国に伝えなければ。世界同盟緊急会議の発案を僕は各国の首脳陣に向けて一斉送信した。




          ◇ ◇ ◇

 

 


「あの要塞だが……ひょっとして『王冠能力クラウンスキル』で作られたものかもしれない。私の契約する『緑』の王冠、グラン・グリュンにそういう権能がある」


 数日後の会議中、そう話を切り出したのは、西方大陸の北に浮かぶエルフの島国、レア王国の国王陛下だった。

 このエルフ王が契約する『緑』の王冠、グラン・グリュンは、【植物支配】という王冠能力クラウンスキルを持っている。

 植物だけではなく、加工された木材でさえも操ることができるというとんでもない能力だ。

 しかし契約者マスターは極度の飢餓状態となり、何も食べられないという、下手をすれば死ぬかもしれない『代償』がある。


「もし仮に私があの要塞と同じようなものを作ろうとすれば、少なくとも半年は食事を摂ることができないであろうな」

「向こうの『金』の王冠は、『代償』を肩代わりさせる方法を使っています。さすがに無限には使えないようですけど……」


 向こうの『金』の王冠……ゴルドはグラトニースライムとオリハルコンスライムでできた装備に、その『代償』を肩代わりさせている。

 『代償』で肩代わりされた幾万ものスライムは死んでいるのだろうが、奴にとってはパーツが破損したくらいの感覚なのだろう。

 博士の話だとオリハルコンスライムはそう簡単に作り出せるものではないらしいので、次から次へと生贄パーツを変えるという使い方はできないのがなんとか救いか。

 

「ということは、その『金』の王冠は、他の『王冠能力クラウンスキル』も使えるということですか?」


 ストレイン王国の女王陛下が、みんなが疑問に思っていたことを口にする。

 おそらくだが、使えると思う。実際にあいつは【時間反転リバース】という『黒』の王冠能力クラウンスキルを使った。

 これは本物の『黒』の王冠であるノワールに確認したから間違いない。

 なんでもあらかじめ指定しておいた物の時間を戻すことができる能力らしい。生物には使えないらしいが、いろんな活用ができるようだ。

 ノワールがそれを使うと、契約者マスターであるノルンの年齢が半年ほど逆行してしまうんだそうだ。十数回も使えばノルンは胎児まで若返り死んでしまうほどの代償だ。

 それをあいつはオリハルコンスライムでできた数枚の羽根分で使用した。無限に使えるわけではないとはいえ、脅威には違いない。

 ちょっと待てよ……? あいつが他の『王冠能力クラウンスキル』を使えるのなら……?

 僕は斜め右の席に座るパナシェス王国国王に視線を向けた。向けられた国王陛下もそれに気付き、顔色を青褪めさせる。


「まさか……! ブラウの【空間歪曲】も……!」

「……しまった!」


 僕の頭の中に出陣を待つような融機兵の姿と、ブラウの持つ転移能力が、カチッとパズルのように嵌った。

 転移能力を持つ邪神の使徒を倒したことで、もう転移による襲撃はないだろうと油断していた。

 馬鹿か、僕は! アイツは僕らの目の前で【空間歪曲】を使って逃げたじゃないか!

 『青』の王冠の契約者マスター、ロベールは『代償』があるから、【空間歪曲】で数人ほどしか転移させることができないが、ゴルドにはその縛りはないんだ!


「検索! 融機兵の位置を世界規模で!」

『検索中……検索完了。表示しまス』


 パッと会議場の空中に現れた世界地図の何箇所かに赤い点が集まっているのが見える。遅かったか……!

 レファン王国、ガルディオ帝国、炎国ダウバーン、レグルス帝国、魔王国ゼノアス……この五国に出現している。

 五国の王様たちに確認してもらうと、どれもこれも首都から離れてはいるが、大規模な都市ということだった。

 情報が回るのを遅らせるためにそこを狙ったのか、それとも別な狙いがあるのか……。

 

『警告。追加で出現。表示しまス』

「え?」


 パッと赤い点がマップに追加される。ここって……!


「ブリュンヒルド……! くっ! 【プリズン】!」


 僕はそれを確認するとすぐさま自分を中心として【プリズン】を城下町全体に展開させた。人間や亜人、ペットもいるかもしれないので動物などは入れるように指定する。

 【プリズン】は広範囲に広げると結界の硬さが落ちてしまうが、それでも土魔法の【アイアンウォール】くらいの強さはあるはずだ。


「帰還用の【ゲート】を開きます! 襲われている五国の方はそれぞれ帰国したのち出陣の用意を! こちらが片付き次第向かいます!」


 それぞれの目の前に、自国へと戻る【ゲート】を複数展開する。慌てることなくすぐにみんなそれを潜って自国へと撤退していく。


「【テレポート】!」


 他国の人らがいなくなった会議場から、【テレポート】で国の街道まで瞬間移動すると、街道の先にある歪んだ丸い空間からぞろぞろと融機兵がやってきているところだった。すでに数万の大群がこちらへ押し寄せてきている。

 間違いない。『青』の王冠の【空間歪曲】だ。

 くそっ、危なかった……! 気がつくのが数十分遅かったら、間違いなく城下町が襲われていた……!

 そんなことになっていたら大なり小なり被害が出ていただろう。ひょっとしたら死者も出ていたかもしれない。


「ターゲットロック。目の前の融機兵に【シャイニングジャベリン】」

『ロックしまス。【シャイニングジャベリン】発動』


 空に無数の小さな魔法陣が展開して、そこから雷の槍が地上へと降り注ぐ。

 しかし雷に貫かれたというのに融機兵はケロッとしていた。歩みを止めることなくブリュンヒルドを目指して街道を進んでくる。


「魔法が効かない……? なら……【氷よ来たれ、大いなる氷塊、アイスロック】!」


 融機兵の頭上にトラック大の氷塊を出現させ、それを落下させる。

 グシャ、となかなか嫌な音を立てて数体の融機兵が氷塊に潰された。物理攻撃は効くか。

 【流星雨メテオレイン】で一気に叩くか……? いや、そうすると地形が変わってしまう。面倒だけど一体一体潰していくしかないか……!


「ブリュンヒルド騎士団、突撃ッ! 侵略者から民を守れ!」

『ウオオォォォ────────ッ!』


 不意に声がして振り向くと、背後から開いた【ゲート】を通り、騎士団長のレインさん、副団長のニコラさんにノルエさん、そして騎士団員のみんなが街道を走り抜けていった。


「間に合いましたね」


 【ゲート】を通って八雲が姿を現す。次いで他の子供たちと奥さんたちも次々とやって来た。


「うちの国に喧嘩を売ろうなんていい度胸じゃない! いくわよ、リンネ!」

「うんっ! ぶっ飛ばすね!」


 エルゼとリンネがともにガントレットを打ち鳴らし、真っ先に融機兵の方に突っ込んでいった。

 エルゼの娘であるエルナとリンネの母親であるリンゼがお互いに苦笑している。


「おっとこれは負けてはいられぬ。行くぞ、八雲」

「はい、母上」

「私たちも行きますよ、フレイ」

「もちろんなんだよ!」


 遅れじと八重・八雲母娘(おやこ)が飛び出し、ヒルダ・フレイ母娘おやこもそれに続く。


「頼もしい援軍だなあ」


 数でいえば十倍以上の相手なのにまったく負ける気がしないね。


「いっくよー!」


 ヨシノのギターに合わせて、相変わらずいつの間にか現れた奏助兄さんのドラムが叩かれる。

 この曲は……。

 ヨシノのギターに続くように桜の歌声が【スピーカー】の魔法によって戦場に広がる。

 この曲はある映画の冒頭でバイクで疾走するシーンに使われ、今でもバイク乗りの曲として親しまれている曲だ。

 曲のようにワイルドに行けるかどうかわからないが、歌による支援魔法が騎士団のみんなに届き、調子を上げてかなり奮戦しているようだ。


「「【鉄よ来たれ、黒鉄の防壁、アイアンウォール】」」


 ズァッ! とリーンとクーンが幅十五メートル、高さ三十メートルもの分厚い鉄の壁を騎士たちがいない敵陣の方へ二枚出現させた。おいおい、いくら防壁といってもあんなに高さは必要ないんじゃ……。


「外さないでね、クーン」

「心配無用ですわ!」


 クーンが懐から魔導銃スペルキャスターを取り出して、鉄の壁へ向けて連続で二発放った。

 魔力の塊の銃弾は二枚の鉄の壁、それぞれのてっぺんに当たり、ガン! ガァン! とけたたましい音を立てる。

 いったいなにを……と僕が疑問に思っていると、【アイアンウォール】で作られた鉄の壁が、銃弾が当たった衝撃で、ぐらりと敵の方へと傾き出した。

 あれ!? 根本を固定してないのか!?

 そのまま鉄の壁は、ドミノの一つが倒れるように前面にいた融機兵を押し潰しながら倒れていった。ズドーン! という鉄の壁が倒れた音に混ざって、バキバキッ! グチャチャチャチャ! って、ものすごい嫌な音が聞こえてきたよ……。

 うわー……。お父さん、ちょっと引いちゃったわ……。なんて凶悪な使い方すんのよ……。

 僕がポカンとしていると、いつの間にか目の前までエジプト神話のホルスのような頭をした融機兵が槍を構えて突撃してきた。


「おっと」


 繰り出される槍を躱しながら、ブレードモードのブリュンヒルドで腕を斬り付ける。

 左腕の肘から先がスパンと切り落とされたが、その腕からは血飛沫などは上がらず、黒い油のようなものがボトボトと落ちるだけだった。

 斬りつけた感触が生き物のそれだったな……。だが、目の前の融機兵には生命体としての反応がない。

 片腕を斬り落とされても融機兵は戦うことをやめず、右手に槍を片手に持ち、さらに突いてくる。

 命令にただ従うだけのロボットのような……。生き物のようであるのに、ゴレムよりも生き物らしくない。


「ふっ」


 槍を弾いて返す刃で融機兵の首を刎ねる。

 ハヤブサを模した頭がゴロンと転がると、槍を持っていた身体の方も機能を停止し、その場にバタリと倒れた。

 さすがに頭を切り離されては戦い続けられないか。

 

「父上、あれを」

「むっ」


 久遠の指し示す先、融機兵の群れの奥にあった歪んだ穴が一際大きく広がると、そこからキュクロプスとキュクロプスとは違う別の機体が現れた。

 キュクロプスと同じような鈍く光る黄金の機体だが、そのシルエットが細い。

 形状も奇妙で、人型ではあるがどこか獣っぽい。事実、そいつの頭は山羊のような角があり、手と足の先には鋭い爪が装備されていた。まるで獣人のゴレムだ。


「新型か……? キュクロプスより脆そうな感じがするけど……」


 僕がそんな感想を抱いた瞬間、その山羊頭の巨大ゴレムは弾かれたように前の戦場へ向けて駆け出した。

 速い! エンデの竜騎士ドラグーンほどじゃないが、キュクロプスより明らかに速い! 軽量機か!

 マズい……! あのまま騎士団と融機兵が戦っている中に突っ込まれたら……!

 僕もリーンたちのように【アイアンウォール】を発動させてその進行を阻もうとした時、横から一頭……いや、一機の黒いライオンが飛び込んできて、山羊頭ゴレムの腹部にその牙を突き立てた。


『ひとんちの庭先で暴れてるんじゃないわよ』

シカリ』


 黒いライオンから不機嫌そうな少女の声と、抑揚のない機械音声が響き渡った。

 『黒』王冠、クロノス・ノワールとその契約者マスターであり、エルカ技師の妹であるノルン・パトラクシェだ。

 その二人の駆るオーバーギア・レオノワールは、山羊頭ゴレムの腹部に突き立てた剣電牙セイバーファングに力を込め、バキリと横腹を破壊する。


『おねえの知らせで来てみれば、変なのかワラワラと……ホント鬱陶しいわね」

『増援。注意』


 腹部を砕かれた仲間を放置し、さらに他の山羊頭たちがレオノワールへと殺到していく。機敏な動きでレオノワールへと迫ったとき、飛び込んできた赤い巨大な虎の爪がその山羊頭の胸を斬り裂いた。


『面白そうなことしてんじゃねーか。あたしもまぜろ!』

『ハシャぐナ、マスター』


 今度は能天気な声と思慮深い声が赤い虎から漏れる。義賊『紅猫あかねこ』の首領、ニアと『赤』の王冠であるルージュか。

 二人の駆るオーバーギア、ティガルージュが残りの山羊頭の一機にその爪を振るう。

 しかしその爪を素早い動きで躱した山羊頭は、そのままティガルージュに接近し、お返しとばかりに逆に自らの爪を振るった。

 肩口を斬りつけられたティガルージュの装甲が軽く斬り裂かれる。あの装甲は晶材を使っている物なのに……。あの爪は要注意だな。

 ダメージを与え調子に乗ったのか、山羊頭が再びティガルージュへと襲い掛かかる。か、突然背後から胸へ突き抜けた刃によって、その動きを止めた。


『今日はアリスと買い物に行く予定だったのに……よくも邪魔してくれたね……』


 恨み節とともに山羊頭の背後から小太刀で貫いたのはエンデの乗る竜騎士ドラグーンだった。

 よく見ると、いつの間にか融機兵の戦いにアリスが参戦している。

 察するにアリスと買い物に行く予定だったのに、アリスがこっちに興味を持ったってところか?


『エンデ! あたしの獲物を横取りすんなよ!』

『知らないよ。僕はこの身の程知らずなやつらをさっさと片付けてアリスと買い物に行くんだ』

『どーでもいいけど、二人とも邪魔だけはしないでよね』


 ニアがエンデに噛み付くが、エンデは素知らぬ顔(見えてないけど、おそらく)で次の山羊頭に小太刀を振るう。ノルンは我関せずとばかりにキュクロプスへと向かっていった。

 ノルンも含め、三人ともうちの冒険者ギルドでは有名人だからな。お互い気安い関係なんだろう。

 

「私たちも行きますわ」

「うむ。わらわはここを守る」


 ルーがスマホの【ストレージ】からヴァルトラウテを呼び出してアーシアとともに乗り込む。アーシアは乗る必要あるかな……。

 スゥもオルトリンデ・オーバーロードを呼び出し、城へと続く街道の前に仁王立ちとなった。

 ふと前方の歪んだ空間を見ると、次第に小さくなっていき、やがて消えた。どうやら邪神の使徒はやってこないらしい。時間稼ぎか? くそっ、早く他の国にも回らないといけないのに……!


「【氷よ絡め、氷結の呪縛、アイスバインド】!」


 リンゼの放った氷魔法が、騎士団と戦う融機兵の足元だけに発動して凍りつき、その動きを拘束する。

 直接的な魔法は効かないかもしれないが、拘束系は相手にダメージを与えるものではないから有効のようだ。

 動きを封じられた融機兵を、騎士団のみんなが斬り伏せていく。しかし強引に氷を砕き、脱出する奴らもいた。完全に封じるってわけにはいかないか……。だが有効な手ではある。


「【土よ絡め、大地の呪縛、アースバインド】!」


 今度は僕が氷よりも硬い石で足元を固定してやる。再び動けなくなった融機兵に、もはや反撃する力はなかった。

 騎士団が畳みかけるように残った融機兵を討ち取っていく。キュクロプスと山羊頭の方も、ノルンたちの働きにより、その数を減らしていった。

 全てが片付いたのはそれから数分後。とりあえず後始末は帰ってきてからだ。すぐに襲われている五国に救援に向かわねば。

 僕はマップを開いてもう一度襲われている都市を調べる。どれもこれも行ったことのないところだが……。

 レグルスとゼノアスは現場の近くまで【ゲート】で行ける。そこから【テレポート】で跳べば……いや、王様たちから【リコール】で直接記憶をもらえばいいのか。

 なら直接国を回ろう。ブリュンヒルドの戦力を五つに分けてサポートに回るか。

 何か嫌な予感がする。これは精霊の言っていた『禍々しい渦』とやらが、関係しているのか?

 僕は湧き上がる不安を胸に押し込めて【ゲート】を開いた。

 


          




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■スラムで暮らす私、サクラリエルには前世の記憶があった。その私の前に突然、公爵家の使いが現れる。えっ、私が拐われた公爵令嬢?
あれよあれよと言う間に本当の父母と再会、温かく公爵家に迎えられることになったのだが、同時にこの世界が前世でプレイしたことのある乙女ゲームの世界だと気付いた。しかも破滅しまくる悪役令嬢じゃん!
冗談じゃない、なんとか破滅するのを回避しないと! この世界には神様からひとつだけもらえる『ギフト』という能力がある。こいつを使って破滅回避よ! えっ? 私の『ギフト』は【店舗召喚】? これでいったいどうしろと……。


新作「桜色ストレンジガール 〜転生してスラム街の孤児かと思ったら、公爵令嬢で悪役令嬢でした。店舗召喚で生き延びます〜」をよろしくお願い致します。
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