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異世界はスマートフォンとともに。  作者: 冬原パトラ
第32章 めぐり逢えたら。
575/637

#575 邪王竜、そして剣銃の神器。

■アニメ二期の新キャスト、ティザーPVなどが公開されました。追加ヒロインはドラマCDと同じ声優さんになります。よろしくお願い致します。





「【炎よ貫け、赤熱の巨槍、バーニングランス】!」


 僕の放った巨大な炎の槍が、再びグラファイト目掛けて飛んでいく。

 しかしまたも王笏セプターから漏れ出た黒いモヤの渦が、炎を取り込んで吸収してしまった。

 

「無駄じゃ無駄じゃ。ワシには魔法は効かんぞ」


 タカアシガニと化したグラファイトがカラカラと嗤う。

 魔法が効かない……? 僕の無属性魔法【アブソーブ】と同じ属性魔法を魔力に変換、吸収するってんなら……!


「マズい!」

「お返しじゃ」


 渦巻くモヤから無数の黒い矢が放たれる。


「【プリズン】!」


 咄嗟にエルゼたちを含めたみんなを【プリズン】で囲い、防御する。黒い矢は【プリズン】を貫くことはなかったが、何本かが結界に突き刺さったまま止まっていた。【プリズン】の結界にヒビが入っている。

 あっぶな……! ギリギリだったな、今の。

 【プリズン】の結界を傷つけるってことは、あの矢には邪神の神気が含まれているってことだ。くそっ、本当に面倒くさいな。

 あのモヤは魔力を吸収し、自分の力としている。つまり、魔法攻撃は効かないし、それどころかその魔力を吸収されて反撃を食らってしまう。

 おそらくメタリックブラックのカニの部分は、そのモヤの硬質化したものだと思う。擬似フレイズってところか。

 であれば物理攻撃で攻めるしかない。


「みんなそいつから離れろ!」


 僕の声に素早く反応し、エルゼ、八重、ヒルダ、琥珀がグラファイトから距離を取る。

 全員が離れたところで僕はグラファイトの頭上に特大の【ゲート】を開いた。


「潰れろ」


 【ゲート】から建物の瓦礫の山が落ちてくる。そこらにある倒壊した建物をまとめて落としてやった。

 何トンもある瓦礫の雨に押し潰されて、グラファイトと周りにいた骸骨騎士たちが埋まっていく。

 やがて全ての瓦礫が落ちると、そこには大きな山ができ上がっていた。

 

「……やったでござるか?」


 あかん、八重。それはダメな時のフラグだ。

 僕がそう思った瞬間、『正解!』とでも言うように、瓦礫の山からタカアシガニのグラファイトが勢いよく飛び出してきた。


「カハハ! なかなかに味な真似をなさる! ではこちらも遠慮なくいかせてもらうかの!」


 グラファイトはタカアシガニの両腕(?)にあった鎌を勢いよく振り下ろす。

 と、その先から衝撃波のようなものが飛び出して、地面を走り、僕らを襲ってきた。散開してそれを躱した僕らだったが、躱した衝撃波の斬撃を受けた建物が真っ二つに斬り裂かれる。

 ちっ、かなりの威力だな。


「そらそらそらそらそら!」


 矢継ぎ早に連続で衝撃波の斬撃が飛んできた。躱せないことはないが、なかなか近付くことができない。

 踏み込もうとすると、斬撃が飛んできて出鼻を挫かれる。

 おそらくは接近戦をさせないためにやっているのだろうが……。

 【シールド】をかけて強引に突っ込むか? いや、向こうが邪神の神気を使っている以上、【シールド】が破壊される恐れもある。危険な賭けに出るわけにはいかない。

 遠距離の物理的攻撃ってなると……。

 僕は腰からブリュンヒルドを抜き、グラファイト目掛けて引き金を引いた。

 過たず本体に着弾したが、あっさりと弾き返される。まあ、あの瓦礫に埋まっても潰れなかった本体だ。この程度の攻撃が効くわけはないか。

 ならこの程度で済まない物理攻撃を食らってもらうか。

 繋げっぱなしにしておいたスマホに声をかける。


「スゥ、準備はいいか?」

『オッケーじゃ!』

「む? なにをごちゃごちゃと……」

「【ゲート】!」


 瓦礫とともにグラファイトが地面へ吸い込まれるように落ちていく。

 次いで、僕も【テレポート】で追いかけるようにそこから転移。

 グラファイトを送り込んだのはキュクロプスとスゥたちが戦っている戦場である。

 宙から落ちてきたグラファイトがおそらく目にしたのは、その巨大な拳を振りかぶる黄金の巨神。


『【キャノンナックルスパイラル】ッ!』

「な……!?」


 オルトリンデ・オーバーロードから放たれた、高速回転する黄金の右拳が呆然とするグラファイトに迫り来る。

 グラファイトはなんとか避けようとしたようだが、すでに遅い。コンマ何秒かの逡巡が命取りになり、メタリックブラックのタカアシガニは真正面から黄金の拳を受けることとなった。


「ゴボェア!?」


 汚い叫び声を上げて、タカアシガニが木っ端微塵に粉砕される。僕らの最大級の物理攻撃だ。ひとたまりもあるまい。

 とはいえ……。


「おのれ……! 小癪な手を……!」


 木っ端微塵になったタカアシガニの中からメタリックブラックの王笏セプターに寄りかかるようにしてグラファイトが立ち上がる。

 やっぱり倒すまでにはいかないか。邪神の使徒はその身に宿る邪神の神気により再生能力が著しく高いらしい。

 前に戦った肉切り包丁男も斬り落とした腕がすぐに再生したからな。

 やはり神気無しでトドメを刺すには神器による攻撃しかないか……?


『どうします? 僕が出ますか?』

「もう少し待って……。いや……」


 聞こえてきた久遠の声に僕はぼそりと小さく返す。

 実を言うと、【インビジブル】で姿を消した久遠も僕と一緒に現場に来ていた。今も隣にいる。

 なぜ姿を消していたのかというと、邪神の使徒と戦った場合、また以前のように潜水ヘルメットが現れ、転移魔法で逃げられる可能性があったからだ。

 もしも潜水ヘルメットの邪神の使徒が現れたら、久遠に神器を使ってもらって不意打ちで転移魔法を封印、あわよくば討ち取るつもりだった。

 転移魔法の使い手さえ仕留めてしまえば、『方舟アーク』に乗り込んで行っても逃げられる心配はない。

 ここまで痛めつければ潜水ヘルメットのヤツが現れると思ったのだが……。

 まだ余裕があるのか? あれだけやられても助けに入るほどではない? あるいはこいつと潜水ヘルメットは反目している? それとも……ここに来られない理由がある?

 以前の肉切り包丁と槍使いの時も助けには来なかった。前は助けに来たのにだ。

 それ以前にこいつらに仲間意識というものがあるのかどうかも怪しい。

 ……仕留められるチャンスを逃すのは惜しい、か。


「作戦変更。久遠、頼めるかな」

「はい、大丈夫です」

『ヒュー。そうこなくっちゃ。面白くなってきたっスね!』

 

 久遠と共にシルヴァーの声も返ってくる。なんだろう、こいつの声を聞くと不安が増すな……。

 【インビジブル】を解き、僕の横に久遠が姿を現す。

 その手には白銀の刃を煌めかす『銀』の王冠、シルヴァーが、そしてプラチナ色の光を纏う、野球ボールほどの金属質の球体が、まるで衛星のように久遠の周りをゆっくりと回っていた。

 久遠がシルヴァーを握っていない右手を前に出す。


「【神器武装】」


 プラチナ色の球体が絹糸のように解け、久遠の手の中で編み込まれるように形を変えていく。

 その形は片刃の剣。しかし引き金とシリンダー、刀身には銃口が付いている。僕の持つブリュンヒルドと同じ、ガンブレードだ。当初の設定では普通の剣だったのだが、久遠にはシルヴァーがあるので、少し変化を持たせてみた。

 僕のブリュンヒルドと違うのは、あれは神器であり、銃形態、剣形態と変形はしないことである。

 初めから剣のような型をしており、それに銃機能が付いているという感じだ。

 大きさは久遠に合わせているので、大人が使うショートソードほどの長さしかないが。

 右手に剣銃神器、左手にシルヴァーと、久遠が両手に剣を持つ。

 あれ? そのまま二刀流で戦うつもりか?

 八重とか八雲、諸刃姉さんとかなら戦えそうだけど、大丈夫かな……?

 まあいい。僕もサポート役に回るし、なんとかなるだろう。


「スゥ、桜。周りのキュクロプスたちを近付けないでくれるか?」

『任せるのじゃ!』

『おっけぃ』


 オルトリンデ・オーバーロードとロスヴァイセがキュクロプスらと対峙する。

 向こうを見ると、町の方からゲルヒルデ、シュヴェルトライテ、ジークルーネの三機がこちらへ向けてやってきていた。エルゼたちも加われば大丈夫だろう。


「なんじゃ、その小僧は? いつの間に……。まあよい。こうなれば奥の手を使うまでじゃ」


 グラファイトは首にかけていた大きな牙のネックレスと、手首に嵌めていた同じようなブレスレットを外した。

 そしてそれをポイと投げ捨てると、手にした王笏セプターで地面を強く叩く。

 瞬間、叩いた王笏セプターから、黒いモヤが溢れるように飛び出して、地面に捨てられた牙にまとわりついていく。

 牙を内包した黒いモヤはだんだんと形を固めていき、やがてそこには鎌首をもたげる竜の頭が作られた。

 もちろん生身ではなく、骨の竜の頭だ。頭から伸びた首が黒いモヤの中へと消えている。

 と、そのモヤの中から同じような竜の首が飛び出してきた。さらに三本、四本と骨の竜の頭が増えていく。


多頭竜ヒドラか……!」

「たわけ、あのような蛇の紛い物と一緒にするでない。邪悪なる竜の王、ティアマトよ。汝、同胞はらからしかばねしとねに蘇らん」

『Gruo……!』


 黒いモヤの中から、五つの頭を持った骨の竜が現れた。かなりデカいな……。

 それにしても竜の王? 竜族の王は青竜である瑠璃じゃなかったか?


《瑠璃、そっちは片付いたか?》

あるじ? ええ、ほとんどの悪魔は燃やし尽くしましたが》


 念話で瑠璃に連絡を取るとどうやら向こうはほぼ片付いたらしい。ならこっちへ呼んでも大丈夫か。

 瑠璃を召喚し、ティアマトとやらと対面させる。


『むっ……! あやつは……!』


 五頭骨竜ティアマトを見た瑠璃が反応を示す。


「知っているのか?」

『はい。邪王竜ティアマト。魔竜に属しながら、神獣の域にまで届くと言われた邪竜です。哀れな……。むくろとして蘇らせられたか』


 魔竜の王ってことか? 神獣の域にまで届くってことは瑠璃とそう変わらない強さってこと?

 あの邪神の使徒の力により、パワーアップされてたらもしかしてそれより上かも……。


『Dgraaaaaaaaaaaaa!』


 突然、ティアマトがその五つの口からブレスを吐いた。

 ただのブレスではない。火、水、風、光、闇の属性を孕んだ五属性のドラゴンブレスだ。

 ブレスは僕らにではなく、真っ直ぐ瑠璃へと向かっていた。


『小賢しい!』


 瑠璃も同じく口からドラゴンブレスを吐き出す。五つのブレスと大きなブレスが正面から激突する。

 どちらもブレスを吐き続けること数秒、中央でせめぎ合っていたブレスがだんだんとティアマトの方に押し返されていく。

 やがてティアマトのブレスが途絶え、押し勝った瑠璃のブレスが骨だけの相手を襲う。

 瑠璃のブレスを浴びたティアマトがブスブスと煙を上げながら少しよろめく。

 瑠璃のブレスを浴びて骨にならないなんて……いや、骨にはもうなっているのか……消し炭にならないなんて、かなりの防御力だな。


『こやつの相手は私が。もう一度引導を渡してやりましょう』

「頼んだ」


 ティアマトは瑠璃に任せて、僕はブリュンヒルドを抜き、グラファイトへ向けて引き金を引く。

 グラファイトは背中から現れた蜘蛛のような蟹のような脚を使って横移動し、それを避ける。


「【光よ穿て、輝く聖槍、シャイニングジャベリン】」

 

 続けて光の槍を放つ。


「魔法は効かぬと言った!」


 王笏セプターから漏れ出た黒いモヤが光の槍を吸収する。

 それはわかってるんだよ。魔法を使えば逃げずにその場に留まると思ったから撃ったんだ。


「おいおい、僕の方ばかり見ていていいのか?」

「なに?」


 グラファイトが気付いたときにはすでに久遠が間近にまで迫っていた。

 慌てたグラファイトが黒いモヤを盾のようにして防ごうとしたが、まるで息を吹きかけられた煙のようにそれは儚く消えてしまった。


「なっ!?」


 グラファイトに久遠が振り下ろした神器をメタリックブラックの王笏セプターで受ける。

 ピシ、とここまではっきりと聞こえる亀裂音が辺りに響き渡った。


「バカな!? 『ジェット』が欠けるじゃと!?」

「安物だったのでは?」


 久遠がそう言って今度は左手に持つシルヴァーを横に振った。王笏セプターで神器を弾き、グラファイトが後ろへと飛び退く。

 しかし追撃とばかりに久遠が神器の引き金を引き、グラファイトへ向けて弾丸を放った。


「うぐ!?」


 弾丸がグラファイトの足に着弾する。大きく穿たれた穴からは血の一滴も出なかったが、塞がる様子もない。再生がされていないのだ。

 あの弾丸は神気の塊である。邪神の再生なんぞさせるわけがない。


「小僧……! 貴様、何者じゃ!?」

「生憎と知らない怪しい人には名乗らないようにと教育されているので。その質問にはお答えできませんね」


 久遠の両目がレッドゴールドの輝きを放つ。『圧壊』の魔眼だ。


『おらおらぁ! 「第一封印解除」ぉ!』


 光を帯びたシルヴァーがグラファイトの背から伸びたカニの脚に触れると、ゴガン! と派手な音を立てて木っ端微塵に吹き飛んだ。

 あれって久遠の魔眼を何倍にも増幅するシルヴァーの能力だっけか。意外と使えるな、あいつ。


「おのれ、小僧! 調子に乗るなよ!」


 グラファイトが王笏セプターを振り翳すが、先ほどのように勢いよく黒いモヤは出ず、チョロチョロとした薄い霧状のものが周囲を漂うだけだった。


「なぜじゃ!? なぜ『ジェット』の力が引き出せぬ!?」


 それが僕の作った神器の特性、【神気無効化】だ。久遠が近くにいる限り、もうその王笏セプターは使えないぞ。


「くっ!」


 剣のように振られるカニの脚から、またしてもいくつもの衝撃波が久遠に向けて飛んでくる。あれは神気を使っていない魔法攻撃だな。

 近付けさせないために放たれた衝撃波を久遠は苦もなく躱していく。

 その右目にはオレンジゴールドの輝きがあった。『先見』の魔眼による未来予知だ。久遠にはどこから衝撃波が飛んでくるか全てわかるのだろう。

 全てを躱しきった久遠がグラファイトを追い詰める。

 真横に振るわれた神器の剣を防ごうと、グラファイトのカニ脚が動く。

 だが晶剣と同じ、いや、それ以上の鋭さを持つ神器の剣を止めることはできない。

 容易くカニの脚を切断し、そのままグラファイトをも斬り裂く。


「しぇや!」

「!」


 突如グラファイトから巻き起こった炎の竜巻に久遠が思わず後ずさった。

 炎はグラファイト自身を燃やし続ける。焼身自殺……なわけないよな。

 燃え盛る炎の中でニタリとグラファイトが笑みを浮かべたような目をした。


「なるほど、ヘーゼルやオーキッドを倒したのも小僧じゃな……? とんだ伏兵がいたものよ。だがこのまま終わるわけにはいかぬ」


 前の邪神の使徒を倒したのは久遠ではないのだが、わざわざ説明する気はない。

 グラファイトの身体がどんどんと燃え尽きていき、その肉体が完全に灰となったとき、そこにはメタリックブラックの輝きを持つ、山羊の頭蓋骨を持ったスケルトンが誕生していた。

 あの野郎、邪神の神気を使うことができないとわかって、体内に凝縮する方に切り替えたな……?

 戦っている間、薄い神気を自分の骨に取り込んでいたんだろう。完全にアンデッドになりやがった。

 あのメタリックブラックの身体は邪神の神気により、とてつもない強度を持っているのだろう。だが──。


「【スリップ】」

「ぬおっ!?」


 グラファイトが地面についていた王笏セプターが、久遠の【スリップ】により前へと滑っていく。

 同時に足が滑り、バランスを崩したグラファイトも前へと無様に倒れた。

 カランカランとグラファイトの手を離れた王笏セプターが久遠の足元まで転がっていく。

 左足で転がってきた王笏セプターを踏みつけた久遠が神器剣を振りかざす。


「なっ!? やめ……!」

「却下です」

 

 いくら頑丈で硬い骨だろうが邪神の使徒を倒すのに本体を斬る必要はない。その力の源となっている邪神器を壊せばいいだけのこと。

 振り下ろされた久遠の剣が、メタルブラックの王笏セプターを粉々に打ち砕く。


「ぐっ、がああぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 久遠に向けて手を伸ばした山羊頭の骸骨がメタリックブラックの色を失い、灰色になったかと思うと、そのままサラサラと砂になって崩れていく。

 打ち砕かれた王笏セプターも、ドロドロとした黒い液体になって消滅した。

 倒した、か。

 と、瑠璃と戦っていた五頭竜ティアマトも、ガラガラと崩れ、骨の山になっていく。グラファイトからの力の供給が途絶えたからだろう。

 キュクロプスの方もエルゼたちが加わってもうすぐ片付きそうだ。町の方の魔物もガルディオ帝国の騎士団と琥珀たちでやがて沈静化するだろう。

 神器は問題なく使えるようだ。

 ただ、結局潜水ヘルメットの使徒は救助に来なかったな。

 以前の槍使いの時も思ったが、こいつらの仲間意識というものはかなり薄いのかもしれない……む?

 妙な気配を感じた僕は素早くブリュンヒルドを抜き、上空に見えた黒い影に向けて引き金を引いた。

 しばらくすると空から小さな機械が地面に落ちてバラバラと砕け散った。

 これは……ゴレム? 鳥型のゴレムか?

 僕らの戦いを見ていた……いや、監視していた? いつから?


「【ストレージ】」


 鳥ゴレムの残骸を【ストレージ】に収納する。後で博士たちに分析してもらおう。

 ちょっとまずいか? 久遠と神器の存在が邪神の使徒たちにバレたかもしれない。

 まあこっちもいろいろと策を講じてはいるが……。


「父上? どうかしましたか?」

「いや、なんでもない。お疲れさん」


 僕は久遠の頭をひと撫でして、キュクロプスたちと戦うエルゼらの応援へと向かった。

 








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■スラムで暮らす私、サクラリエルには前世の記憶があった。その私の前に突然、公爵家の使いが現れる。えっ、私が拐われた公爵令嬢?
あれよあれよと言う間に本当の父母と再会、温かく公爵家に迎えられることになったのだが、同時にこの世界が前世でプレイしたことのある乙女ゲームの世界だと気付いた。しかも破滅しまくる悪役令嬢じゃん!
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新作「桜色ストレンジガール 〜転生してスラム街の孤児かと思ったら、公爵令嬢で悪役令嬢でした。店舗召喚で生き延びます〜」をよろしくお願い致します。
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