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異世界はスマートフォンとともに。  作者: 冬原パトラ
第32章 めぐり逢えたら。
574/637

#574 開かれた戦端、そして悪魔との再戦。





「うわあぁぁぁぁぁ!」


 地上を闊歩するスケルトンに加えて、さらに空からは機械の悪魔が降りてくる。

 港町ブレンの人々にとってはこの世の地獄かと思わんばかりの光景が広がっていた。

 現れた向こうの増援に、さすがにこの人数では不利だとほむらは焦りの色を浮かべる。

 それを察したのか、近くにいたスゥが軽い口調で話しかけてきた。


「心配いらん。こっちも増援を頼んでおいたからの」

「え?」


 その声に振り向いた焔が見たものは、町中に開かれた【ゲート】から、次々と飛び出してくる白銀の鎧を纏った騎士と、一回り大きい騎士タイプのゴレムの姿だった。

 ブリュンヒルドの騎士ではない。あの鎧はこの国、ガルディオ帝国の騎士たちだ。


「ガルディオの騎士たちよ! 民を守れ! 非道な侵略者を許すな!」


 先頭に立ち檄を飛ばすのは、ランスレット・リグ・ガルディオ。ガルディオ帝国の若き皇帝である。

 その横に、黒髪に白いコートを着た自分たちのあるじの姿を見て、ほむらたちは安堵の息を漏らした。

 


          ◇ ◇ ◇



 うわ、本当にスケルトンに悪魔がうじゃうじゃいる。

 スゥと椿さんから連絡を受けて、ガルディオ帝国の皇帝陛下に連絡し、騎士団を揃えてから【ゲート】で来たから少し遅れた。さすがに勝手にうちの騎士団を送り込むわけにもいかないし。

 皇帝陛下とは『黒蝶パピヨン』の情報が揃ったら一気に本拠地に踏み込むって計画を立ててたんだけどな。残念だが『黒蝶パピヨン』のことは後回しだ。

 これだけ市民たちと敵が入り混じって混乱していると、広範囲魔法はマズいかな……。巻き込まれる恐れがあるし、さらに混乱を招きかねない。

 そんなことを考えていると、剣を手にしたスケルトンがカタカタと顎の骨を鳴らしてこちらへ向かってきた。

 襲いかかってくるスケルトンの頭蓋骨をブリュンヒルドで撃ち抜くが、すぐに再生が始まる。やっぱり核を撃ち抜かないとダメか。


「【アポーツ】」


 スケルトンの核だけを手の中に引き寄せる。核を失ったスケルトンはバラバラとその場で砕け散った。

 手にした核を地面へと落とし、靴で踏み砕く。やっぱりこっちの方が楽だな。

 ドシン! と、今度は機械化した悪魔が目の前に落ちてきた。

 長い手足がゴレムのような機械でできており、胴体と頭は悪魔のそれであった。機械魔サイボーグデビルとでも言おうか。


「おっと!?」


 その機械魔サイボーグデビルが突き出した手が、手首のところから切り離されて撃ち出された。

 ギリギリで僕がそれを避けると、付けられていたワイヤーのようなもので手首が巻き戻され、再びガシン! と腕にドッキングする。ワイヤー付きロケットパンチかよ。

 機械の手足ではダメージが無かろうと、胴体にブリュンヒルドの弾丸を三発ぶち込んでみる。

 ダンダンダン! と胸と腹のあたりに三発、見事に当たったが、たいして効いているようには見えない。

 だけど青い血が流れているので、傷付けることはできたみたいだ。分厚い筋肉で防がれただけか。


「なら次のはどうかな?」

『ギ?』


 撃たれた悪魔がこちらへ一歩踏み出した瞬間、その悪魔が突然爆発し、胴体が真っ二つに千切れ飛んだ。

 おお、やっぱり内側からの爆発は効果が高いなあ。

 弾丸に付与されていた【爆発エクスプロージョン】の魔法により千切れた悪魔は死んだようだ。

 総じて悪魔というものは生命力が強い。ちゃんと死んだか確認しないと油断はできない。

 そもそも悪魔自体が邪神の下僕みたいなところがあるからな。どちらも人間の負の感情をエネルギーにするところとか、生贄を好むところとか、そっくりだ。

 諸刃姉さんの話だと、悪魔は邪神の残滓とも言われているらしいが、そう考えると邪神の使徒も悪魔の一種と言えるのかもしれない。


「ま、こんな悪魔みたいなことをしているしな。同じようなもんか」


 空から滑空してくる機械魔サイボーグデビル二体に弾丸をぶち込む。一拍置いて、ボガ、ボガン! と爆発が起こり、悪魔の肉片と青い血の雨が降る。ううむ、真上には撃ちたくないな……。

 【フライ】を使って上空へと舞い上がる。

 桜のいた屋根の上に降りると、港の船着き場からキュクロプスが次々と上陸を開始したところだった。おっといろいろとヤバそうだ。


「ターゲットロック。キュクロプス」

『検索中……ターゲットロック完了』

「足下に【ゲート】発動」

『【ゲート】、発動しまス』


 船着き場に上陸を開始したキュクロプスたちが、次々と落とし穴に落ちるように姿を消していく。

 まだ海中にいたやつらも全部、町から少し離れた場所に転移させた。

 あの辺りは開けていて人も住んでいないみたいだから、多少暴れても大丈夫だろ。


「スゥ、桜。頼めるかい?」

「任せておくのじゃ!」

「おっけぃ」


 桜とスゥが一瞬にして町から姿を消した。桜の【テレポート】でキュクロプスを追ったのだ。

 しばらくすると、町のはるか先に巨大な黄金のフレームギアと、それに付き添う薄紅色のフレームギアが出現した。


『キャノンナックルスパイラル!』


 キュクロプスが吹っ飛ばされる轟音と、スピーカーを通したスゥの声がここまで響いてくる。

 だが次の瞬間、パーン! という破裂音とともに、向こうから金色の粉が舞い上がったのを見て、僕は思わず固まってしまった。あれは……神魔毒か!

 いや、神魔毒(弱)か。アレは僕ら神族にはほとんど効果はない。だが眷属化したみんなには死に至るまでとはいかないが、かなりの体調不良を呼び起こすものらしい。

 桜の言葉を借りるなら、『満腹になるまで食べた後にジェットコースターに乗せられて、虫いっぱいのプールに叩き込まれた感じ』とのこと。

 我慢できないほどじゃないけど、とにかく気持ち悪いらしい。肉体的にも精神的にも。

 それに加えてフレームギアの出力が幾分か低下する。博士の話だとそこらへんは改良したから、前よりは下がることはないというが……。


「大丈夫よ。桜もスゥもちゃんとあのスーツを持ってきているから。もちろん私たちもね」


 地上に降りるとエルゼが手にしたスマホを構え、なにやらアプリを起動させるとそれを天に翳した。


「『武装イークイップ』!」


 スマホから光の球が空へ向かって撃ち出され、すぐにそれが急降下、エルゼの全身を包む。

 目が開けられないほどの眩い光が収まると、そこには例のパイロットスーツを着たエルゼが立っていた。なにその変身システム!?


「いちいち着替えるのは面倒でしょう? 博士に頼んで作ってもらったのよ」


 そう説明するエルゼの顔はフルフェイスのヘルメットに包まれ、黒いシールドが下ろされているため見えなかった。

 前に見たパイロットスーツとちょっと違うところは両腕にさっきまで付けていたガントレットがそのまま装備されていることと、灰色だったカラーリングが赤くなっていることか。


「防御力もこの前よりアップされているわ。下手な鎧よりも頑丈よ」


 肩や胸、腰回りなどに晶材の装甲っぽいものがあるが、なんかパーソナルカラーの赤色と相まって、本当に戦隊ヒーローのレッドみたいだな……。

 同じように眩しい光が二つ連続で光ったと思ったら、藤色とオレンジのスーツを着たヒーローが増えていた。八重とヒルダだな。

 二人のスーツは腰のところにアタッチメントのようなものが取り付けられていて、刀や剣の鞘を接続できるような感じになっていた。


「やっぱりこのスーツ、ちょっとぴっちりすぎると思うでござる……」

「そうですね……。動きやすいのはいいと思うんですけど」


 八重とヒルダの表情はシールドに隠れて見えないが、恥ずかしさに身をよじっている。

 確かに八重のように身体の凹凸がハッキリしていると目立つよな……。


「旦那様、あまりじろじろ見ないでほしいのでござるが……」

「あ、いや、ごめん……」


 おっと、親しき仲にも礼儀あり。無遠慮に見るのはやめておこう。


「そ、それより神魔毒の影響はどう? 気持ち悪くない?」


 ここまで漂ってきた黄金の粉を見ながら、エルゼたちに確認する。


「まったく影響ないわね。普通に動けるわ」

「うむ。これならば問題なく戦えるでござるな」


 どうやら聖樹の葉を使ったフィルターは正常に作用しているようだ。全身を薄い結界で包んでいるようなものだからな。


「イチャイチャしているところ悪いけど、向こうも気にした方がいいと思うのよ?」


 不意にかけられた花恋姉さんの声に思わず振り向くと、瓦礫の上にいた邪神の使徒が奇妙な変化を始めていた。

 山羊の頭蓋骨を被った老人らしき人物の背中から、幾つもの骨が突き出してきた。

 長く、いくつかの関節をもつその骨は、まるで蜘蛛の脚のようにも見える。

 最近観た映画であんなの見たぞ……。蜘蛛の特性を手に入れたスーパーヒーローが、仲間のヒーローからもらったパワードスーツを着た時の姿があんな感じだった。こっちの方が脚が多いけど……。

 骨の先はまるで剣のように鋭くなっている。その背中の骨に支えられて、山羊頭の邪神の使徒は空中に浮いていた。


「お初にお目にかかる、ブリュンヒルド公王。我が名はグラファイト。邪神の使徒に名を連ねる死霊術師ネクロマンサーにして錬金術師アルケミストじゃ」


 は。なるほど、死霊術師ネクロマンサーか。どうりで、骨やら悪魔やらを使役したがるわけだ。


「できることなら万全の用意を済ませて相手をしたかったところじゃが……まあ仕方あるまい。今ある全力でもてなすことにしよう」


 グラファイトと名乗った邪神の使徒が、手にしたメタルブラックの王笏セプターを振るう。

 するとその先から出たドス黒い瘴気が、まるでドライアイスの煙のように地を這って辺りに広がっていった。


「みんな、一旦退避!」


 僕の声に、エルゼ、八重、ヒルダの三人、そしてスケルトンと戦っていたくのいち三人娘、そしてアヌビスとバステトもグラファイトから一目散に離れ、瘴気が届かないあたりまで退散する。

 あれ? いつの間にか花恋姉さんがいない。まったく出てくる時も消える時も突然だな。

 グラファイトから溢れ出た瘴気は周りにいたスケルトンたちを包み込み、まるで黒い霧に覆われたようにその姿を消してしまった。

 しかしやがてその黒い霧が晴れると、そこには漆黒の鎧に包まれた骸骨騎士の集団が立っていた。

 手には同じように漆黒の剣と盾を手にしている。禍々しい地獄の軍団の誕生だな。


『Gaauaaaaaa!』


 上空で雄叫びを上げているのは機械化したデモンズロードだ。

 ちっ、あっちもこっちも忙しいな!


「冬夜様! ここはわたくしたちが食い止めます! 冬夜様は悪魔たちの方を!」

「む、その方がいいか」


 ヒルダの提案に僕は頷きながら【フライ】で上空へと飛び上がる。悪魔たちが飛んでいる以上、僕が相手をするのが一番効率がいい。適材適所だ。


『Gaaaaaa……!』


 デモンズロードか。レグルスでのクーデター戦以来だな。あの時のデモンズロードよりも一回り大きい。そして手足が機械化されている。他の悪魔と同様、サイボーグ化されているようだ。デモンズロードだけ金色の手足だな。

 デモンズロードの赤い両眼が怪しい輝きを放つ。次の瞬間、その両眼から二つの赤いビームが僕へと向かって放たれた。

 前にもそれを見たことのある僕は、ひらりとビームを躱し、反撃に移ろうとブリュンヒルドを構えた。

 しかし、デモンズロードの後方にいた悪魔たちも、同じように目からビームを放ってきて、僕は赤いビームの雨に襲われてしまう。


「っと、【プリズン】!」


 さすがにこの集中砲火を躱すのはしんどかったので、僕は周囲に【プリズン】の結界を展開し、ビームの嵐をやり過ごす。熱い視線を独り占めだ。モテる男はつらいね。


「今度はこっちの番だ」


 僕は【ストレージ】から一本の剣を取り出して構える。

 こいつは一見、晶材でできた幅広の剣(ブロードソード)にしか見えない。だけど……。

 

「よっ」


 手元のボタンを押しながら剣を振ると、一瞬にして刀身がバラけ、鞭のようにしなって悪魔の一体を絡めとる。

 今度はボタンを離すと、刀身に繋がっているワイヤーが元に引き戻され、剣の形に復元する。引き戻された刀身にズタズタにされた悪魔が、バラバラになりながら地上へと落ちていった。

 これはフレイのために作った蛇腹剣を僕専用に晶材で作ったものだ。使いこなせば多数の敵と戦うのに適している。

 近寄ってくる悪魔たちを片っ端から蛇腹剣で切り刻んでいく。機械の手足だとて晶材でできた刃の前には紙切れも同然だ。

 切り刻まれた悪魔の成れの果てが眼下に落ちていく。

 下から『頭の上でスプラッタはやめてー!』という焔の声が聞こえてきた。うむ、すまぬ……。

 

『Gugaaaaaaaaa!』


 デモンズロードが機械の腕を振り上げて僕を殴りつけてくる。当然ながら【プリズン】に阻まれてその拳は届かない。


『Gragagagaaaa!』


 何度も力任せに【プリズン】を連打してくるデモンズロード。無駄無駄。僕の【プリズン】を砕くなんて真似は……。


ピキ。


 余裕をかましていた僕の耳に信じられない音が聞こえてきた。

 今の軋むような音は……! まさかこいつ、この黄金の手足は……!


『Guoraaaaaaa!』


ガキャッ! と【プリズン】が破壊されたのと、僕が後方へ飛び退いたのはほぼ同時だった。

 【プリズン】が壊された……! くそっ、あの手足は変異種のものか!

 邪神の眷属となった変異種には邪神の神気が含まれている。腐っても神の力だ。神気を含まない【プリズン】を破壊できてもおかしくはない。

 だけど変異種の核を破壊するとその体はドロドロに溶けてしまうはずなんだが、なにか特殊な加工法があるのか?

 僕らがフレイズのかけらから晶材を作ったように、何らかの方法で変異種から同じようなもの……魔金属とでもいうものを作った?

 変異種の力を宿しているといっても、神気を使った【プリズン】なら破られることはないのだろうけど……。

 僕が神気を使うと神々のルールに抵触するかもしれないからな……。やっぱり向こうは使えてこっちは使えないってのはズルくないですかね!

 厳密に言えば『神の力で地上に大きな影響を与えてはならない』だから、大丈夫なのかもしれないけど、世界神様たち以外の、僕の知らない神々がどう判断するかがわからない。

 すでにこの身は『神』として認められてしまっているからな。そこに『神の力』を使ってしまったらもう言い逃れはできない。

 世界の運命というチップを『まあ、大丈夫だろ』に賭けるのはさすがに躊躇われる。


「まあ、神気無しでも負ける気はないけど。紅玉、やっていいよ」

『御意』

『Gyaaugaaaaaaa!?』


 突然デモンズロードが煉獄の炎に包まれる。燃え盛る猛火の中で苦しみながら、僕の正面にいた悪魔は地上へと落下していった。

 代わりに目の前に現れたのは巨大な火の鳥。こっそりと紅玉を召喚して、デモンズロードの背後から襲わせたのだ。

 卑怯? はん、悪魔相手に卑怯とか言ってられっかい。

 地上の広場に落ちたデモンズロードが業火の如く自分を焼く炎を消そうともがいている。すでにほむらたちは僕らの下から避難したようだ。よし、あそこなら問題ないだろ。

 僕は【ストレージ】に保管しておいた、なんの変哲もない巨岩を空中へと出現させる。


「【グラビティ】」


 ポン、とデモンズロード目掛けて落ちる巨岩に触り、【グラビティ】を発動、何千倍もの重さにしてやった。


『Gyaoueaaaa!?』


 ドズン! という腹にくる音と、グチャッ、という耳に気色悪い音があたりに響く。

 よし、悪魔退治終了。いや、まだ細かい悪魔が残ってるか。


「瑠璃」

『は、ここに』


 僕のすぐ横に今度はサファイア色に輝く巨大な青竜が出現する。

 大きな翼をはためかせ、口から火炎放射器のようなブレスを吐いて、何匹かの機械魔サイボーグデビルが機械の手足ごと燃え尽きた。


「瑠璃、紅玉。ここの悪魔たちは任せるよ」

『御意』

『一匹残らず消し炭にしてくれましょう』


 上空を二匹ふたりに任せて地上へと降りる。

 地上ではくのいち三人娘とバステト、アヌビスを乗せて巨大化した珊瑚と黒曜が、スケルトン軍団に対し蹂躙を開始していた。

 さっき瑠璃を呼び出した時、自分も自分もと、残りの神獣ズが念話で騒いだため、全員呼び出したのだ。琥珀はエルゼたちの方へ向かっている。

 黒曜が放つ水流カッターでスケルトンが細切れにされ、珊瑚の巨大な足でバキバキと踏み砕かれる。まるで怪獣映画だな。


「珊瑚、黒曜、その子らを頼むよ」

『承知』

『任せときなさぁい』


 珊瑚と黒曜にここを任せてエルゼたちの下へと走る。通りを駆け抜け、崩れ落ちた娼館の前まで来ると、パイロットスーツを着たエルゼ、八重、ヒルダ、そして琥珀が、グラファイトが操る骸骨騎士と戦っていた。

 漆黒の鎧を着た骸骨騎士はそれほど強いわけではなさそうだ。ただ、弱点である核が鎧で完全に見えないため、手間取っているように見える。

 グラファイトの方はというと、骸骨騎士と同じようなメタリックの輝きを放つ、タカアシガニのような姿に変貌していた。

 鋏はなく、代わりに大型の鎌のようなものがついていて、王笏セプターを持った上半身だけがタカアシガニの本体から飛び出している。

 アラクネーのカニ版か? アラクネーはうちの騎士団にも一人いるけど、あの種は魔族のひとつであり、獣人と同じ亜人種である。こっちのはどう見ても怪獣だ。それじゃ怪獣退治といくか。


「【光よ貫け、聖なる光波、ホーリーレイ】」


 僕の掌から生まれた極太のレーザーが、瓦礫の上でふんぞり返っている黒いタカアシガニに迫る。

 神気を使った攻撃じゃないからこれはOKだよね?


「喰らえ、『ジェット』」


 どう考えても回避不可能と思われた光の槍に対し、グラファイトが王笏セプターを軽く振るうと、そこから漏れ出た黒いモヤが光のレーザーをブラックホールのように全て飲み込んでしまった。

 え、そんなんあり?









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■スラムで暮らす私、サクラリエルには前世の記憶があった。その私の前に突然、公爵家の使いが現れる。えっ、私が拐われた公爵令嬢?
あれよあれよと言う間に本当の父母と再会、温かく公爵家に迎えられることになったのだが、同時にこの世界が前世でプレイしたことのある乙女ゲームの世界だと気付いた。しかも破滅しまくる悪役令嬢じゃん!
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