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異世界はスマートフォンとともに。  作者: 冬原パトラ
第32章 めぐり逢えたら。
553/637

#553 使徒撃破、そして連戦。





「むっ」


 年長組三人によって倒されたメタリックブラウンのキュクロプス。その胴体にあったハッチが突然吹っ飛んだ。

 中からのそりと大きな男が這い出してくる。はちきれんばかりの筋肉をした、円筒形フルフェイスの鉄仮面を被った大男。

 ところどころに血が染み込んだ前掛けと分厚い革の手袋という奇妙な姿と、あの肉切り包丁から肉屋の親父を連想させる。鉄仮面から死刑執行人エクスキューショナーにも。


「こ、こい! 『イエローオーカー』!」


 鉄仮面が右手を横に翳すと、海底へと沈んだ大きな肉切り包丁が浮かび上がり、鉄仮面の男へ飛んでくる。

 飛びながら縮小した肉切り包丁は鉄仮面の男の手に収まったが、それでも普通サイズの包丁ではなく、まるで大剣のようなサイズであった。

 紫の槍を持った邪神の使徒と同じか。やっぱりあれが邪神器なのだろう。


「お、おで、このくにのまち、こわす。いっぱいこわす」

「なぜそんなことをする? 邪神を復活でもさせる気か?」


 僕は【テレポート】を使い、倒れたキュクロプスの肩部に立ちながら、鉄仮面の男にそう問いかける。

 今は情報が欲しい。この男は頭がよく回るタイプじゃなさそうだし、なにか聞き出せるかもしれないと思って会話を試みた。


「じ、じゃしん? しらない。ごるどとすかーれっとがこわせっていうからこわす。そ、それだけ」


 ごるどとすかーれっと? ゴルドトスカーレット……いや、ゴルドとスカーレット、か?

 ゴルドとスカーレット……仲間の邪神の使徒だろうか。

 ゴルド……金の『王冠』であるゴールドと名前が似ているな……まさか……いや、考えすぎか。

 しかし邪神を知らないってのは……一応『邪神の使徒』なんだろ? あのニート神、信者にも慕われてないのかよ。


「じ、じゃまするやつもこわす。にんげんこわすとあたまがすっきりする。きぶんがいい。だからこわす」


 顔が見えたならニヤリとしただろう口調で、鉄仮面がそんなことを口にする。

 どうやらこいつは言われたことだけを遂行する思考停止の人物らしい。いや、自分の欲望に忠実なだけなのか。快楽殺人者と変わらないな。

 僕は『神眼』を使い、邪神の使徒に【アナライズ】をかける。

 神族には神の力を直接使って地上に大きな変化を与えてはいけない、というルールがあるが、相手を分析するだけならばルール違反ではあるまい。

 ……はん。心臓は動いていないし、魂もない。アンデッドのたぐいか?

 いや、魂は手に持った邪神器に移っているな……。霊気の糸のようなもので肉体と繋がっている。てことは、あの邪神器を壊さない限り死なない?

 すでに人間を辞めているようだし、ここで仕留めておいた方がいいと思うが、邪神の加護を受けている邪神器を神気なしで壊せるかっていうと……。やっぱり神気で攻撃しちゃいけないってルール、厳しくないですかね……?


「だ、だからおまえもこわす!」


 肉切り包丁を手にした鉄仮面がキュクロプスの肩のところにいた僕めがけて跳んできた。

 腰のブリュンヒルドを抜き、飛びかかってくる鉄仮面へ向けて弾丸を三発放つが、命中してもまったく怯むことなく、こちらへと向けて肉切り包丁を振り下ろしてきた。


「【ブレードモード】!」

 

 刀剣形態に変えたブリュンヒルドで肉切り包丁を受け止める。なかなかの衝撃が両腕にくるが、相手が空中に浮かんだままならこらえられないこともない。


「【パワーライズ】!」

「ぐ、う!?」


 膂力強化の魔法を発動させ、そのままブリュンヒルドを振り抜くと、鉄仮面が肉切り包丁ごとふっ飛んでいった。

 キュクロプスの腹のあたりまで飛んでいった鉄仮面だったが、巨体に似合わず軽やかに着地した。


「お、おでのイエローオーカーで切れない……? そ、そのけん、おかしい」

「それはこっちのセリフだ」


 晶材でできたブリュンヒルドで切れない武器なんて初めてだ。神気を込めりゃ一刀両断にできると思うが、それは禁じられているしな……。

 さて、こうなると本当にどうやって倒すかって話になるが……。

 おそらくあいつを完全に倒すには邪神器を破壊しなきゃならない。それには神気を使わなきゃいけないわけだけど、それは禁じられている。

 地上の人間が僕が作った神器を使えば壊せるけど、まだできてない、と。

 ……えーっと、詰んだ?

 いやいや、待てよ。そうか! エンデが他の世界から、ぬす……えーっと借りてきた双神剣が【ストレージ】に入ってる! これを使えば……って、僕が使ったらダメなのか!

 奥さんたちも僕の眷属だからダメだし、エンデも武流叔父の眷属になってるならダメ。メルたちに頼んでもいいけど、邪神器が相手だと神剣の特性を最大限に引き出せない彼女たちだとちょっと不安だ。

 残るとなると……。


「うぬぬ……! やっぱり子供たちに頼むしかないのか……?」


 半神である子供たちはこれ以上ないくらいに適任なのだが……。むむむ……!

 僕が葛藤している間に再び鉄仮面がこっちへと向かってきた。

 キュクロプスの肩の上で、振り下ろされる肉切り包丁を先ほどと同じようにブリュンヒルドで受け止める。

 ち、今度は腰の入った重い一撃だな……!


「【ブースト】!」


 身体強化魔法をかけて肉切り包丁を弾き、返す刃で包丁を持っていない方の腕を肘から斬り飛ばす。


「ぐっ!? があっ!」


 鉄仮面が叫ぶと、斬られた肘先から、ズルッ! と腕が生えてきてあっという間に再生した。

 再生能力もあるのか! これはこいつの能力なのか、それとも邪神の使徒は全てそうなのか?

 面倒になってきたな、と思っていると、向こうからシュヴェルトライテとジークルーネがやってきた。

 もうすでにほとんどのキュクロプスが倒され、防衛戦はほぼ終了しているようなものだが、なんでこっちに?


「父上!」

「お父様!」


 シュヴェルトライテとジークルーネのコックピットが開いたかと思ったら、八雲とフレイが飛び出してきた。

 僕と鉄仮面が対峙する横たわったキュクロプスの上に軽やかに着地する。


「なんだ、どうした!? 危ないぞ!」

「諸刃おば……お姉様から電話で父上を手伝えと」

「私たちが適任だからって言ってたんだよ!」


 諸刃姉さんめ……! こっちの考えを読むなっての!

 悔しいが、ここは子供たちに頼るしかないのか……。情けない親父だなあ。

 僕は【ストレージ】から双神剣を取り出し、八雲とフレイの二人に手渡した。

 神気を放つ小剣ショートソードを抜き放ち、八雲とフレイが息を飲む。


「な、なんかすごい剣なんだよ……」

「ああ……。父上からもらった刀も凄かったが、これに比べると……」


 いや、そりゃ一応神剣ですからね……。僕の作った素材頼りの素人作と比べてもらっちゃ困る。


「こいつであの鉄仮面の持っている肉切り包丁を破壊して欲しい。最初は使いづらいかもしれないが、たぶんすぐに慣れる……と思う」

「思う、ですか」

「お父様、お父様! うまくできたらこの剣ご褒美にくれたり……」

「それはダメ」

「お父様のけちぃ──っ!」


 フレイが、もうもうっ! って感じで身をよじる。武器マニアの血が騒ぐのだろうが、こればっかりはダメだ。


「相手はかなり強い再生能力を持ってるから注意しろ。もちろん僕もサポートするから……」

「いえ、大丈夫です。こちらに来ながら父上との戦いを見ていましたが、フレイと二人がかりならそれほど苦ではないかと」


 それほど苦ではない……? あれ? 遠回しに僕までディスられてる? 神気を使えないから少し手こずってはいたけどさあ……。


「お、おまえたち、じゃま。そこのおとこといっしょにこわす」

「……あぁ?」


 この鉄仮面野郎、うちの娘にいまなんて言った? 本気でぶっ飛ばしてやろうか……?

 殺気を込めた一歩を踏み出した僕の前にフレイが割り込む。


「ストップなんだよ。お父様。あれは私たちの相手なんだよ」

「父上が出るまでもないです。私たちにお任せを」


 いや、八雲君。出るまでもないっていうか、さっきまで出ずっぱりだったのだけれども。

 そんな僕の心の機微を知ってか知らずか、二人が神剣を構えて前に出る。


「こ、こわす!」


 鉄仮面が肉切り包丁を振りかぶり、手前にいた八雲に襲いかかる。

 重いその一撃をサイドステップで躱した八雲が手にした神剣で鉄仮面の横腹を斬り裂く。


「むっ……!?」


 斬り裂いた八雲が神剣を怪訝そうな目で睨む。


「確かにこれは扱いづらい……。まるで私の魔力と反発するような感覚がなんとも気持ち悪いです……」


 あー……そんな感じなのか。他人の神気って馴染むまでちょっと難しいらしいからな……。僕や時江おばあちゃんみたいに上級神の神格だとそこまで気にならないんだけど。

 だけど半神である八雲たちだからその程度ですんでいるんだと思う。神気を込めた攻撃は他の一般人なら体力や魔力、精神力まで負担がかかり、ほとんど扱えないはずだ。

 聖剣・神剣の類が選ばれし勇者にしか使えないって理由もここにあるんじゃないだろうか。

 さらに言うなら神剣を作った神様の加護があるかないかとかでも大きく左右される気もする。

 斬り裂かれた鉄仮面の横腹が再生されていく。さっきよりも再生が遅い気がする。神剣の効果が出ているのだろうか。


「があっ!」

「【パワーライズ】!」


 今度はフレイに振り下ろされた肉切り包丁が、神剣で受け止められる。

 自分の半分もない背丈のフレイに受け止められたことに鉄仮面が驚いているように思える。


「つ、つぶす!」


 フレイごと押し潰すようにさらに力を加えてきた鉄仮面だったが、ギギギと押し合う肉切り包丁の刃がパキリと小さく欠けたことで、慌ててその身を引いた。

 

「い、『イエローオーカー』がかけた!? おかしい! そのけんおかしい!?」


 よその世界のものだとはいえ、神剣は神剣。神になり損ねた邪神なんかの武器に負けるかっての。

 フレイが返す刃で『イエローオーカー』と呼ばれた肉切り包丁に一撃を加える。

 今度はピシリと欠けたところからメタリックブラウンの刀身にヒビが入った。


「お、おでの『イエローオーカー』が!」

「八雲お姉様!」

「承知」


 背後に回っていた八雲の神剣による一太刀が、鉄仮面の太い左腕を切断する。

 おそらく再生させようとしたのだろう、切断面からボコッと肉が盛り上がり、腕のようなものが出来上がっていくが、明らかにさっき僕が斬り捨てたときよりも再生スピードが遅い。


「も、もとにもどらない!? なんで!?」

 

 完全にパニックになっている鉄仮面は、肉切り包丁に狙いを定めて迫る二人に気が付くのが遅れた。

 ハッ、としたようだが、すでに二人は肉切り包丁を挟み込むように神剣を繰り出している。


「もう遅い」

「もらったんだよ」


 二人はまるで鋏のように肉切り包丁を左右から別方向に全力で斬りつけた。

 ガキャッ! と高い金属音が鳴り響き、肉切り包丁が真っ二つに切断される。

 次の瞬間、鉄仮面の男が断末魔の叫びをあげ、一瞬にしてその身体が石の彫像と化した。

 そしてそれはすぐにサラサラとした砂となって、その場に崩れていく。

 ガラン、と音を立てて、あるじを失った邪神器が横たわるキュクロプスのボディの上に落ちる。

 真っ二つに切り裂かれた肉切り包丁にはメタリックブラウンの輝きはすでになく、まるで変異種を倒した時のように黒い煙を出しながらドロドロの液体と化していった。


「砂になっちゃったんだよ……」

「もともと生きてなかったみたいだからな。アンデッド……いやゴーレムみたいなものだったのかもしれない」


 邪神の操り人形。そんなイメージが頭に浮かぶ。

 邪神器の方は変異種と同じような壊れ方か。やっぱりこいつが力の源だったわけだ。

 しかし妙だな。てっきり仲間が危なくなったら、またあの転移魔法を使う潜水ヘルメットのやつが現れるのかと思ったのだが。

 まあ、あの時はたまたまだったのかもしれないし、あいつらにそこまでの仲間意識があるかどうかわからない。やられても代わりの邪神の使徒を生み出せる可能性もある。できればそれは勘弁してもらいたいが……。

 まあ今は撃退できたことを喜ぼう。

 すでに戦闘はほとんど終了している。キュクロプスは全て撃破し、残りは海岸でイグレットの騎士団と戦っている半魚人や四つ腕ゴレムだけだ。


「やっぱりこの剣、いいんだよ……。ねぇ、お父様ぁ……」

「甘えた声を出してもダメったらダメ。さ、返しなさい」

「お父様のいけず!」


 ゴネるフレイから神剣を取り上げる。八雲は素直に返してくれた。

 まあ、邪神の使徒が現れたらまた使ってもらうことになりそうなんだが、それは黙っておく。

 神剣を【ストレージ】にしまってひと息ついていると懐のスマホに着信がきた。

 イーシェンの帝である白姫さんからだ。なんだろう?


「はい、もしもし?」

『すまん、冬夜殿。緊急要請じゃ。世界同盟の盟約により、フレームギアの貸し出しを要請する』

「緊急要請? なにがあったんです!?」


 世界同盟に加盟している国々にはフレームギアの貸し出しを許可している。それが戦争などでない限りは。

 主に災害対処や巨獣討伐などであるが、一刻を争う緊急要請となると、とんでもないことが起きたと思われる。


『キョウの都に一つ目のゴレムが大軍で現れた。半魚人どももじゃ。都の結界で防いではいるが、長くは持つまい。至急援護を頼みたい』

「なっ……!」


 イーシェンにもキュクロプスが!? イグレットとイーシェンを同時に……! くそっ、両面作戦ってやつか!

 世界同盟を結んでいる国の首都には、僕が敵の侵入を防ぐ結界を施している。

 これはその国の代表でしか発動させることはできないが、巨獣の攻撃でさえある程度は防ぐことができるのだ。

 しかしながら、あくまでそれは巨獣が数体ほどの場合だ。キュクロプス数百体に何度も攻撃されてしまってはさすがの結界ももたない。

 急いでイーシェンに向かわなくては……!

 白姫さんにすぐに向かうことを告げ、海岸にいるイグレットの国王陛下に事情を電話で説明する。

 

『わかった。あとは数十体の半魚人や四つ腕ゴレムだけなのでイグレットの騎士団だけでなんとかなる。早くイーシェンへ向かってくれ』

「よろしくお願いします!」


 イグレット国王陛下との会話もそこそこに、今度はみんなに状況を伝える。うちの騎士団の連中はまだいいが、体調の悪くなっている奥さんたちはこのまま連戦しても大丈夫なのか心配だ。


『なにいってるのよ、これくらいなんてことないわ。それよりも早くイーシェンに向かわないと』

『私たちはほとんど子供たちの後ろで座っているだけですけど、助言くらいはできますから』


 エルゼとリンゼの言葉に他のみんなも同意見のようだった。強いね、うちの奥さんたちは。まったく頭が上がらないよ。

 こっちには諸刃姉さんたちも残すし、大丈夫なはずだ。フレームギアは全機イーシェンへ投入しよう。


「よし、じゃあみんな衝撃に備えろ。一気にイーシェンへと転移させる」


 オーバーロードの手のひらに載った僕はスマホを操作してここにいる全てのフレームギアをターゲットロックする。

 転移する場所はイーシェンの首都、キョウの都の周辺地域。結界に群がっているヤツらの背後を突く。


「【ゲート】」


 全フレームギアの足下に転移門が開き、下に落ちるように全機がイーシェンへと転移する。少し海水も一緒に転移させてしまったが、そこらへんは勘弁してもらいたい。

 地上からかなり離れた場所に開いたイーシェン側の転移門から、落下したフレームギアが次々と地面に着地する。


「っと!?」


 オーバーロードの手のひらにいた僕は、着地の衝撃でその上から飛び出しそうになってしまった。


『荒っぽいのう。もう少し丁寧に転移できんのか?』

「急いでたんだよ。ちょっとくらいの荒っぽさは目をつむってくれ」


 スゥの愚痴に僕は苦笑いで返すしかない。確かに今のは荒っぽかった。座標も大まかだったしな。

 だが、そこまで外れていたわけじゃない。正面にはキョウの都に群がるキュクロプス数百機、そしてその足下には四つ腕ゴレムと、機械の腕と足を付けた悪魔のような魔物の群れがいた。

 あれって八雲から報告があったサイボーグの悪魔か? 機械魔とでも言うのだろうか。背中にある蝙蝠のような羽根を羽ばたかせて飛んでいる。


『お父様、あれを』


 クーンの乗るグリムゲルデが指差すキュクロプスの中に、さっきまで戦っていたメタリックブラウンのキュクロプスと同じような機体が見えた。

 角はなく、暗金色のボディのやつだ。他のやつより一回り大きいやつが二機。

 さらに普通サイズのキュクロプスより少しだけ大きな角付きの機体が一機。

 間違いなく指揮官機だろうと思われる。なぜならその機体は他の機体と違い、メタリックパープルの輝きを放ち、同じ色の長い槍を手にしていたからだ。

 以前、パナシェス王国を襲ったオーキッドと名乗る邪神の使徒に違いない。

 機体は以前のよりチューンナップされているように見える。足のところに何やらバーニアのようなものがあるし。


『むっ、こっちに気がついたようです』


 シュヴェルトライテに乗る八雲の声に合わせるように、キョウの都に群がっていたキュクロプスたちの一つカメラアイがこちらを一斉に向いた。


『おっ、嬉しいねえ。もしかしたらと思っていたけど、またりあえるたぁ、ツイてるぜ』


 メタリックパープルの角付きが、同じ色をした槍をくるんと回すと、背後にいたキュクロプスが何かを打ち上げた。

 爆発とともに周囲に撒き散らされる、金色の粉。くそっ、また神魔毒(薄味)かよ!


「みんな、大丈夫か!?」

『大丈夫です……。やっぱり気持ち悪いですけれど、さっきより悪くはなっていません……』


 ユミナから少し辛そうな声が届く。

 すでに神魔毒(薄味)の毒を受けているユミナたちには追加の効果はなかったようだ。

 まあおそらく向こう側にはユミナたちを弱らせる気などないのだろう。向こうの狙いはエーテルリキッドの阻害によるフレームギアの弱体化なんだからな。

 邪神の使徒との連戦か。いけるか……? いや、やらねばならない。

 こちらへと向かってくるメタリックパープルの角付きを見ながら、僕は決意を新たにした。













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■スラムで暮らす私、サクラリエルには前世の記憶があった。その私の前に突然、公爵家の使いが現れる。えっ、私が拐われた公爵令嬢?
あれよあれよと言う間に本当の父母と再会、温かく公爵家に迎えられることになったのだが、同時にこの世界が前世でプレイしたことのある乙女ゲームの世界だと気付いた。しかも破滅しまくる悪役令嬢じゃん!
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新作「桜色ストレンジガール 〜転生してスラム街の孤児かと思ったら、公爵令嬢で悪役令嬢でした。店舗召喚で生き延びます〜」をよろしくお願い致します。
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