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異世界はスマートフォンとともに。  作者: 冬原パトラ
第32章 めぐり逢えたら。
514/637

#514 お茶会、そして置き去り。





「うーん、やっぱり無理か……」


 城の上空に【フライ】で浮かび、神力を込めた【サーチ】を広げてみたが、とても世界全域を調べることはできなかった。

 魔力を使った普通の【サーチ】は大気、あるいは大地や海、全てに含まれる魔素を利用しているため、結界で遮断されていないほとんどの場所を調べることができる。

 一方、神力を込めた【サーチ】は結界で覆われた場所さえも突破し検索できるが、自分の神気を広げて使うため、広範囲の検索はできない。

 まあ、今はできないってだけで、神格が上がっていけばできるようになるんだろうけども。

 八雲に聞いた『邪神の使徒』とやらは、人々を廃人にする薬をばら撒き、なにやら企んでいるらしい。

 しかもその薬の元となっているのが、変異種だという。

 邪神との戦いの折、全て消滅させたと思っていたんだが、いくつか取りこぼしがあったのだろうか? あるいは誰がが意図的に隠していた? 結界を張れば【サーチ】を防ぐことはできるしな。

 ま、その【サーチ】で『邪神の使徒』を検索してみようと思ったのだが、こうして失敗したわけだ。

 奴らが奪った『方舟アーク』も見つからないしな。フレイズの時のように次元の狭間に隠れているのかもしれないなあ。

 陰でコソコソと……まったく面倒くさい。真正面から攻めてこないもんかね。そしたら秒で潰してやるのに。

 僕がふわふわと城の上空を漂いながらそんなことを考えていると、眼下でなにか盛り上がっている声がした。

 視線を下に向けると騎士団の訓練場で八雲が剣を振るっている。相手は八重だ。

 母娘おやこ対決。フレイの時と同じだな。そういやリンゼもリンネと戦ってたよな……。ルーとアーシアも料理対決してたし。うちは母親は娘と戦わないといけない家訓でもあるのだろうか。


「九重真鳴流奥義、紫電一閃しでんいっせん!」

「九重真鳴流奥義、龍牙烈斬りゅうがれつざん!」

 

 二つの剣閃が激突する。使っているのは木刀だが、あの木刀は頑丈に強化してあって、そう折れることはない。

 ……ないはずなんだけれども、なんか木刀が削れていっているような? どんな打ち合いしたんだよ……。

 少し心配になり、僕は訓練場へと降りていく。

 すでに訓練場はちょっとした人だかりになっており、騎士団の連中に加え、城で働くメイドさんや文官の者も熱中するように立ち見していた。

 その中に見知った顔を見つけて、僕は声をかける。


「来てたんですね、重太郎さん」

「あ、冬夜ど……いえ、公王陛下。お邪魔しております」


 訓練場の一角で二人の戦いを真剣な目で見ていたのは、八重の兄であり、八雲の伯父でもある九重重太郎さんだ。

 重太郎さんは武者修行という名目で、現在ブリュンヒルドに滞在中なのである。婚約者である綾音さんと一緒に。

 時折り、騎士団の連中と交じって訓練したり、諸刃姉さんに指導を受けたりしていた。

 ちなみに重太郎さんと、八重のご両親にはすでに八雲のことを話してある。他の家族同様びっくりはしていたが、けっこうあっさりと受け入れてくれた。


「どうです、あの二人」

「なんというか……八重に抜かされ、その娘にも抜かされると、強さとはなんだろうと思うことがあります……」


 若干肩を落として重太郎さんがそう語る。いや、重太郎さんもかなり強いんですけどもね。もともと強かったけど、諸刃姉さんの指導を受けて、さらに強くなったと思う。うちの騎士団でも重太郎さんに勝てる者はほぼいないくらいに。イーシェンでならトップクラスじゃないの?

 それでも八重とヒルダには大きな差があるから、自分ではそう感じてしまうのかもしれないが。


「九重真鳴流奥義、鳳雛飛廉ほうすいひれん!」

「九重真鳴流奥義、飛燕烈破ひえんれっぱ!」


 再び二人の剣がぶつかり合う。

 打ち下ろした八雲の木刀が、下から弧を描くように薙ぎ払われた八重の木刀に弾き飛ばされた。


「それまで。勝者、八重」


 審判をしていた諸刃姉さんの手が挙がる。

 周りからは感嘆のため息と惜しみない拍手が送られる。


「ふむ。なかなかに修行を積んでいるようでござるな」

「くう……。若き日の母上にも敵わないとは……」

「それ私も思ったんだよ……」


 八雲のつぶやきに近くで観覧していたフレイが同意する。

 いや、君らのお母さん、神器である結婚指輪で従属神レベルになってるからね。ちょっと普通じゃないから。というか、その存在とまともにやり合える君たちも普通じゃないんだが。


「では次は私が相手をしましょう。いいですか、八雲さん?」

「ア、ハイ……。オテヤワラカニ……」


 八雲の前に今度は木剣を持ったヒルダが立ち塞がる。八重と八雲の戦いを見て、うずうずしたようだ。

 この後、ヒルダとの連戦を終えた八雲には諸刃姉さん(ボスキャラ)との戦いが待っていた。ごめん、お父さんなんもできないわ……。

 せめて試合が全部終わったら、【リフレッシュ】で疲れを取ってあげよう。

 がんばれ八雲。



          ◇ ◇ ◇

 


「つっ、かれ、たぁ〜……」


 注文を終えると喫茶『パレント』のテーブルに八雲が突っ伏した。

 二つのテーブルをくっつけた席には年若い少女たちが集まっていた。長女の八雲から七女のリンネまで、プラス、アリスの八人である。

 妹たちの前では普段は凛とした八雲も、今回ばかりはそれを保てないようだった。

 それを見てくすくすと笑いながらクーンが揶揄する。


「大人気でしたわね、八雲お姉様」

「そんな人気いらない……」


 八雲はあれから次々と騎士団の連中に手合わせを申し込まれ、面白がった諸刃によって、八雲VS騎士団全員という、個人対集団の訓練をさせられる羽目になった。


「今まで好き勝手にふらついてた罰ですわ。少しは反省なさいませ」

「もうわかったから、勘弁して……」

 

 ぷんすかとしているアーシアに八雲が小さく声を吐き出す。同じことをあの後母親たちに何度言われたことか。

 

「ねえねえ、八雲おねーちゃん! 『邪神の使徒』って強かった!?」

「勝った!? それとも負けた!?」


 へこむ姉をものともせず、リンネとアリスが興味津々に尋ねてくる。

 苦笑しながらむくりと八雲は起き上がり、コップに入った冷えた水を一口飲んだ。


「やり合ったのは二人ね。青い手斧ハチェットを持った鉄兜の男と、オレンジの戦棍メイスを持った鉄仮面の女。鉄兜の方は転移魔法で逃げられた。鉄仮面の方はこっちが逃げた」

「八雲お姉ちゃんが逃げたの?」

「同行者がいたの。そっちが危険だったから。『教授プロフェッサー』って言って、ゴレムの……」

「ぷ、教授プロフェッサー!? や、や、八雲お姉様、教授プロフェッサーにお会いになられたんですかっ!?」


 ガタンといつもの冷静さをかなぐり捨てて、クーンが椅子から立ち上がる。妹たちからも周りの客からも、何事かと視線が集まっていた。


「あれ? 連絡来てない? エルカ技師を訪ねるってお城に行ったはずだけど……」

「本当に!? 私、ちょっと失礼しますね!」


 クーンがそのまま慌てるように喫茶『パレント』を出て行った。

 久しぶりの姉妹再会だというのに、早くも一人減ってしまった。呆れたようにヨシノがつぶやく。


「まだ注文来てないのに……」

「大丈夫。クーンちゃんの分は私がもらうんだよ」


 にこにことした顔で、ちゃっかりとフレイがそんなことをのたまっていた。


「……で、『邪神の使徒』ってのは強かったの?」


 居なくなった三女クーンのことは放置して、四女ヨシノが話を戻す。


「本気でぶつかってはいないけど、それなりに強いと思う。母上たちほどじゃないけどね。それとなんか面倒な力を持っているっぽい。鉄仮面の女はリンネと同じような力を持ってた」

「あたしと?」


 名指しされたリンネがぱちくりと目を瞬く。


「【グラビティ】みたいな重さを利用する力。たぶん鉄兜の男の転移能力もそれと同じものなんじゃないかな。どうもあの手斧ハチェット戦棍メイスが怪しい。強い邪神の力を感じた」

「ああ、そういえば、『方舟アーク』を盗んだ邪神の使徒も不気味な赤い細剣レイピアを持ってましたわ」


 八雲の言葉に思い出したようにアーシアがつぶやく。彼女は後方からちらりと見ただけであったが。


「さしずめ邪神の神器……『邪神器』といったところかな? まったく迷惑な連中なんだよ」


 フレイが小さくため息をついていると、『パレント』のウェイトレスが銀盆にスイーツを載せてやってきた。


「お待たせしました〜。こちらフルーツパフェとモンブランになります」

「きたきた」


 フルーツパフェはリンネの前に、モンブランはアーシアの前に置かれた。そのあとも次々とスイーツが並べられていく。フレイの前にはミルフィーユとガトーショコラの二つが置かれたが。出て行ったクーンが注文したものである。


「こっちに飛ばされた時はどうなるかと思ったけど、みんな無事でよかったねー」

「ヨシノおねーちゃんは【テレポート】が使えるから平気だったもしれないけど、あたしたちは大変だったよ? 着いてすぐスマホを川に落としちゃって」


 ショートケーキをパクつきながら、呑気なことを言うヨシノにリンネが唇を尖らせる。

 八雲とヨシノの転移魔法を持っている二人に、たまたまブリュンヒルドの近くに現れたクーン、転移魔法を使える青の王冠『ディストーション・ブラウ』を持つパナシェス王国に現れたアーシア、このあたりはさほど苦労せずに帰郷できたグループだろう。

 フレイも出現した場所は島国であるヘルガイアと、厳しいところではあったが、スマホを持っていたためそれほど苦労せずに合流できた。


「こんなに待っても久遠とステフが来ないってのは、私たちと同じ状況になっている可能性が高いよ、ね?」


 そんな推測を苺のタルトをつつきながらエルナが言う。特に久遠は合理的な性格だから、スマホを持っていればすぐに連絡をよこすはずだ。

 ミルフィーユをぺろりと平らげ、ガトーショコラに取り掛かりるフレイが笑いながら答える。


「しっかりしているようで抜けているからねー、久遠ちゃんは」

「そこもボクは好きだけどなー」

「出た。アリスの久遠病」


 呆れたようにリンネがアリスに視線を向ける。同い年ということもあってか、久遠とアリスは小さいころから一緒だった。アリスが久遠に対して恋心らしきものを持ち始めたのはいつの頃からだったか。そのきっかけはここにいる姉妹たちも知らない。

 そもそもアリスは規格外過ぎて、まともに張り合える同世代の男の子など久遠だけだったのである。ある意味、当然の結果ともいえる。

 姉妹たちの見たところ、久遠もアリスを大切に思っている。アリスほどあけすけにはしないが。

 

「本当にアリスって久遠のこと好きだよね……」

「うん! 強いし、優しいし、かっこいいから好き!」


 エルナの言葉にアリスが笑顔で答える。姉妹たちからすればいささか首を捻りたい言葉だが、父親であるエンデが聞いたら歯ぎしりをしそうな言葉だ。

 ちなみに久遠とアリスの仲はお互いの両親公認の仲である。エンデを除いて。

 それなら婚約者になっていてもおかしくはない二人だが、『子供たちの結婚相手は成人してから自分で決めさせる』という冬夜の方針があり、そこまでは至っていない。

 この裏には『だから娘たちにも婚約者など決めんぞ』という若干ひねくれた思惑もあったのだが、それは言わぬが花というものだろう。

 事実、一国の王女であるというのに、姉妹の中で誰一人として婚約者はいない。

 いろんな国からそういった打診はあるのだが、全て冬夜が断ってしまっている。

 それに対して思わぬところがないわけではないのだが、姉妹たちも特に想いを寄せる者がいるわけでもないので、あえてスルーしていた。

 閑話休題それはさておき


「久遠だけじゃなくステフもスマホを落としたのかな?」

「そっちは簡単に想像できますわね……。あの子、何回か無くしてお父様に見つけてもらってますから……」


 アーシアが紅茶を一口飲み、ふう、と気疲れの息を漏らす。

 末の妹であるステファニアは、よく言えば天真爛漫、悪く言えば無鉄砲。思い立ったらとにかく動く、行動力の塊みたいな娘であった。

 どんなことにも全力で接する、あの物怖じしない性格は、絶対防御である【プリズン】を持っているからではないかとアーシアは思っている。なにしろ【プリズン】を展開していれば危険が皆無なのだ。どんな無茶でも平気でやりたがる。無鉄砲な性格になってもおかしくはない。

 そんな末の妹の性格を分析していたアーシアにリンネが話しかける。


「ステフと久遠、どっちが先に来るかな?」

「ステフの出現場所がここから近くなければ久遠でしょうね。あの子なら要領よくこちらへ向かっていることでしょう。ただ……」

「しっかりしているようで抜けているからねー、久遠ちゃんは」


 言い淀むアーシアの後を先ほどと同じセリフでフレイが続ける。

 それに対してみんなからの反論はなかった。

 久遠は優秀ではあるが、どこか詰めが甘い。さらにはよく騒動に巻き込まれる体質である。へんなところが冬夜ちちおやにそっくりであった。


「何か面倒なことに巻き込まれてなきゃいいけど……」


 ヨシノが誰に言うともなく小さくつぶやく。口にはしないが他のみんなも同じことを考えていた。



          ◇ ◇ ◇



「面倒なことになった……」


 久遠はレグルス帝国帝都・ガラリアに向かう道のど真ん中で立ち往生していた。

 周りには魔物たちの屍が山のように積まれている。ゴブリン、ホブゴブリン、ゴブリンアーチャー、ゴブリンメイジ、ゴブリンソルジャー、ゴブリンレンジャー、ゴブリンジェネラル、ゴブリンロード、そしてゴブリンキングに至るまで、ありとあらゆるゴブリンがその骸を晒していた。

 理由は集団暴走スタンピードである。

 突然起きた集団暴走スタンピードに、帝都ガラリアへ向けて走っていた久遠の乗る乗り合い馬車が巻き込まれたのだ。

 ゴブリンたちに追われて無我夢中で馬車を走らせていた御者は、乗り込んでいた冒険者崩れが、まさか子供を突き落とすなど思ってもみなかったろう。

 久遠もそうだった。あまりのことに一瞬『え?』と呆けてしまったほどである。

 馬車の荷台から必死に追いかけてくるゴブリンを『おーおー、頑張りますねえ』と、どこか他人事のように見ていると、突然、ドン、と突き落とされたのである。

 突き落とした男は乗り合わせた時からイライラとしていて、なにかと他の客に怒鳴り散らしたり、文句を言ってばかりのやつだったが、どうやら本気でクズだったらしい。

 誰かを突き落とし、そいつが犠牲になっている間に逃げ切ろうという考えだったのだろう。久遠が突き落とされたのは、子供の一人旅で一番手をかけやすかったに過ぎないと思われる。この手の卑怯者は『誰でもよかった』と言いつつ、一番弱そうなものを狙うものだ。

 久遠は落とされた瞬間、『え、ウソ』と思ったが、すぐさま地面に転がるように着地し、迫りくるゴブリンの地面に父親譲りの魔法を放った。


「【スリップ】」

『ギギャッ!?』


 すてーん! と勢いよくゴブリンが転ぶ。久遠はゴブリンが手放したボロボロの銅の剣を奪い取ると、倒れたゴブリンにトドメを刺し、向かってくる他のゴブリンに対して剣を振るった。


『ギギッ!』

「おっと」


 ゴブリンソルジャーの攻撃を紙一重で躱す。久遠の右目がオレンジゴールドの光を帯びている。

 【先見の魔眼】。

 久遠の持つ七つの魔眼の一つで、相手の動きを予測できる魔眼である。

 母であるユミナが持つ【未来視】の能力と似ているが、極めて短時間しか効果はない。しかし攻撃を避けるには最適な能力であった。

 攻撃を避け、ゴブリンを倒し、武器が壊れれば武器を奪い、久遠は次々とゴブリンどもを倒していった。結果、数十分後に動いている者は久遠一人だけとなったのである。

 馬車から放り出されたが、幸い荷物は全てリュックとして背負っていたので問題はない。武器にしていた安物の弓矢は馬車に連れ去られてしまったが。

 それ以外に問題はないのだが……。


「ここから歩くの……?」


 二時間ほど待ってみたが、馬車が戻ってくる気配はない。どうやらあのまま逃げてしまったらしい。他にも乗り合わせた客はいたから、自分を突き落とした男はその証言により、罪に問われるはずだ。


「たぶん死んだと思われているんだろうなぁ……」


 今頃、この先の町の住人は逃げ出しているか、守りを固めていることだろう。

 どうするかな、と、久遠は懐から地図を取り出す。

 この地図は普通に店で売っているものを購入した。父である冬夜がスマホを普及し始めてから、大雑把な地図が世間でも売られ始め、西方大陸との国交が始まると、さらに細かい地図が作られるようになった。

 安いものではないが、スマホを無くした今の状態では重宝している。


「出発したのがベタンの町で、目的地がライブブの町だから……この森をまっすぐ抜ければ帝都に近い町に行けますね」


 久遠は左手にある大きな森を見ながら地図を確認する。道なりにいくよりもこの森を突っ切った方が早い。かなり大きな森だが、踏破することは可能だろう。

 問題は魔獣が多く生息しているということだが、そこはどうにでもなる。

 そこらへんに転がっているゴブリンどもの中から、比較的使えそうな武器を物色する。

 ゴブリンキングの持っていた剣が頑丈そうではあるが、大き過ぎて久遠にはちと使い辛い。


「これがいいですかね」


 ゴブリンソルジャーが使っていた剣と、ゴブリンが使っていた短剣を手にする。どちらも元は冒険者が使っていたものらしく、そこまでは痛んでいなかった。おそらく手に入れたばかりだったのだろう。

 できれば鞘も欲しかったが、ゴブリンがそんなものを使うわけがない。

 リュックから布を取り出し、短剣の刃部分に巻きつけてそのままコートのポケットに挿す。

 剣の方は抜身のまま持つしかない。


「乗せてくれる魔獣がいると助かるんですけど」


 久遠の持つ【臣従の魔眼】は動物、魔獣を従えることのできる魔眼だが、条件が細かく、効かないことも多い。こればっかりは運であった。


「よし、じゃあ行きますか」


 そんなふうに軽くつぶやいて、久遠は森へと足を向けて気楽に歩き始めた。








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■スラムで暮らす私、サクラリエルには前世の記憶があった。その私の前に突然、公爵家の使いが現れる。えっ、私が拐われた公爵令嬢?
あれよあれよと言う間に本当の父母と再会、温かく公爵家に迎えられることになったのだが、同時にこの世界が前世でプレイしたことのある乙女ゲームの世界だと気付いた。しかも破滅しまくる悪役令嬢じゃん!
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