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異世界はスマートフォンとともに。  作者: 冬原パトラ
第32章 めぐり逢えたら。
469/637

#469 王女と皇帝、そしてタイミング。

■しばらく病院通いです。皆さまもお身体に気をつけて。





「ほんっとうに、申し訳ありませんでしたぁっ!」

「あ、いや、僕に謝られても……」


 テーブルの向かい側で深々と頭を下げている少女。僕と同じくらいの年齢で、一見質素に見える薄緑のドレスに身を包んでいるが、頭には小さなティアラが輝いている。

 僕らがいるのは聖王国アレントの王宮にある、薔薇園に包まれた四阿あずまや。アレントのアリアティ王女から会ってほしい人がいると言われ、ユミナとスゥの二人を伴ってやってきた。

 そしてその四阿あずまやで待ち受けていた人物が彼女……鉄鋼国ガンディリスの第二王女、コーデリア・テラ・ガンディリスだったのだ。

 聖王国アレントは鉄鋼国ガンディリスの北に位置し、僕らの大陸でいうガウの大河……こちらではセブラ河を挟んで隣国同士である。

 何度も侵略戦争を受けたガルディオ帝国と違って、聖王国アレントとは比較的穏やかな付き合いがあるらしい。

 隣国の王族同士、ある程度の付き合いがあってもおかしくはないが、まさか直接乗り込んでくるとは。

 で、その王女様がなぜ僕に平謝りしているかというと。


「本当にそんな気はなかったんです! 私が余計なことを漏らしたせいでこんな大事おおごとに……!」


 例のイメルダ嬢に化けた擬人型ゴレム。あの騒動の黒幕が彼女……コーデリア王女だと本人が告白してきたのだ。

 いや、正確には黒幕というのは正しくない。本当の黒幕は彼女の後ろに控えている……。


「ほら、パルレル! あなたも謝りなさい!」

「申し訳ありませんでした」


 まったく悪びれた表情を浮かべることなく、しかし頭だけは深々と下げる一人のメイド。亜麻色の髪を短めのポニーテールにして眼鏡をした、一見、理知的な二十歳ほどの女性である。

 コーデリア王女の話だと、このパルレルというメイドさんがイメルダ嬢を監禁し、あの擬人型ゴレムをリーフリースへ潜入させた張本人ということだが……。

 

「結局、目的はなんだったんですか?」

「ガルディオ皇帝陛下をお守りするため、でございます」


 んん? ガルディオ皇帝陛下を? 言っちゃなんだが、皇帝陛下には護衛の騎士が数人いたし、戦闘力のない擬人型ゴレムがいたところで、あまり役には立たないと思うが。

 さらに言うなら、なんでガンディリスがどちらかというとあまり仲の良くないガルディオ帝国の皇帝を守るんだ?


「正確に言うと、ガルディオ皇帝陛下に近づく女性たちから守るため、ですわ」

「はあ?」


 僕が首を捻っていると、隣にいたアリアティ王女が苦笑しながら僕に答えをくれた。

 正面に座るコーデリア王女が顔を真っ赤にして俯いている。え、まさか。


「その……、数年前から何度かガンディリス《うち》のパーティーにランスレット様が招待されていまして……。当時はまだ皇帝ではなく一介の貴族でしたが、親しくお話をしているうちに、その……」


 最後の方はごにょごにょと聞き取れなかったが、なんとなくわかった。鈍いとよく言われる僕でも、さすがにこれはわかる。

 現ガルディオ皇帝陛下は元はランスレット・オルコットと言って、先代皇帝の懐刀、ランスロー・オルコット宰相の長男である。

 皇太子であったルクレシオンが皇位継承権を放棄した結果、ランスレットの母が先代皇帝の妹であったため、お鉢が回り、皇帝となった。

 前皇帝はガンディリスとの関係を修復しようとしていたから、現皇帝ランスレットも皇帝になる前はガンディリスへ何回も訪れていたのだろう。そんな中で二人は出会った、と。

 隣にいたスゥがふむう、と小さく唸る。


「なるほどのう。でもなんだってこんなややこしいことになったのじゃ?」

「その、近くリーフリースで王家の子女も交えてお見合いのパーティーを開くという話を聞きまして……。そのパーティーにランスレット様もご参加なさると……」

「いえ、参加と言ってもガルディオ皇帝陛下は出席なされただけで、お見合いには参加しませんでしたよ?」


 コーデリア王女の言葉をユミナが訂正する。リリエル皇女の場合は強制的にだったが、基本的には自由参加である。それは王族でも同じだ。ガルディオ皇帝陛下は参加しなかった。まあ、すでに一国の王となっている以上、そう軽々しく参加などできなかったと思うが。


「はい……。アリアティ様から聞きました。私が勘違いしたようで……。そのお見合いでランスレット様のお相手が決まってしまったらどうしようと、パルレルにうっかり漏らしてしまったのがそもそもの間違いで……」


 ははあ。そのパーティーでガルディオ皇帝も結婚相手を見つけようとしていると勘違いしたわけか。確かにリリエル皇女やゼノアスの兄弟を始め、王家の一族も数人参加してはいたが。

 その恋する主人の気持ちを慮って? パルレルさんが勝手に動いた……という話だが、メイド一人にこんな大それたことができるのだろうか。


「その、パルレルのご両親は、夫妻で『探索技師団シーカーズ』というゴレム技師の一大ギルドを持ってまして……。その伝手を使ったのだと思います……」


 申し訳なさそうに語るコーネリア王女の言葉に、聞き覚えのある名前があった。

 『探索技師団シーカーズ』……ってアレだよな。エルカ技師が言っていた、最高峰のゴレム技師の一人。この場合、夫妻だから二人なのか?


「『探索技師団シーカーズ』はどこの国にも属さず、世界を巡り、自分たちで遺跡を発見してはゴレムを発掘、修理再生を行ってしまう技術屋集団です。単なる技師たちの集まりではなく、遺跡に巣食う魔獣たちをも自分たちで討伐する傭兵集団でもあり、再生したゴレムを販売する商人集団でもあります」


 パルレルさんがそう説明してくれた。……なにその武闘集団みたいなの。

 自給自足というか、発掘から修理、販売まで全部自分たちでやっちゃおうってのか。ある意味で一番合理的とも言えるけどさ。


「そこのボス夫妻の娘がなんだってガンディリスに?」

「『探索技師団シーカーズ』はここ数年、ガンディリスの遺跡をあちこち回っています。その間、パルレルをお父様が預かり、本人の希望もあって行儀見習いとして私の侍女として働いているのです。荒くれ者の中に置いておきたくないというご両親の親心かと」


 と、コーデリア王女。ふうん、『探索技師団シーカーズ』はガンディリスと密接な関係っぽいな。鉱石を多く産出する国と様々な鋼材を必要とする技術屋集団……。ま、わからんでもない。


「あの擬人型ゴレム……『カトレア』は父に頼んで修理再生レストア、及び外見を製作してもらったものですが、両親に細かいことはなにも話してはいませんし、全て私が勝手にしたことです。もちろん姫様にも責任はありません。お騒がせして申し訳ありませんでした。いかなる処罰も受ける所存です」


 まっすぐにこちらを見据え、そう言い切るパルレルさん。うーむ。正直そう言われても、実際のところ僕にはその権利はないんだよね。直接の被害者ではないし。

 一番の被害者は監禁されたイメルダ嬢、次にスパイではないかと疑われたガルディオ帝国、あとは面子を潰されたリーフリースか。


「いえ、私がいつまでもうじうじしていたのが悪いのです! 公王陛下、どうか皆様に謝罪する機会をお与えくださいませ……! お願いします! なにとぞ……!」


 土下座せんばかりに頭を下げるコーデリア王女。その後ろで同じように深々と頭を下げるパルレルさん。うーむ、恐ろしい国家の陰謀かと思いきや、まったく関係ない話だったとは。

 あ、レーヴェ辺境伯……ルクレシオン少年が『追憶の魔眼』で聞いた『ガルディオ皇帝』、『邪魔』、『排除するように』、というのは、『ガルディオ皇帝に近づく邪魔な女たちを排除するように』ってことか?

 ……それはそれで怖い話だけどな。


「どうするんですか、冬夜さん?」

「え? ……いやまあ、事情がわかった以上、関係者の人たちには正直に話すつもりだけど……」

「ということは、このコーデリア様の恋心も話すことになるわけじゃが。意中の殿方にだぞ? それを聞いて向こうはどう思うかのう……」


 う。スゥさん……なかなか鋭いところを突っ込んできますね。

 隣国との王女と皇帝……組み合わせとしてはなくもないと思うんだけど、こればっかりは本人次第だしな。

 うーん、どうするか。空を見上げて唸る僕を無視して、ユミナがコーデリア王女に迫る。


「皇帝陛下とは仲がよかったんですよね?」

「え? あ、えと、そのう……。仲がよかったというか、ランスレット様はお優しいので、よく話しかけてくれたというか、わざわざ誕生日にプレゼントもくれたりしまして……」

「プレゼントをくれるくらいなら、気にはなっていたんじゃないですか? 皇帝陛下の方もまんざらではないのでは?」

「そ、そ、それなら嬉しいのですけれど……」


 ぐいぐい聞くね、ユミナさん。その横にいたスゥも会話に参加する。


「それならなぜもっと早く気持ちを伝えなかったのじゃ? 機会はいくらでもあったじゃろう?」

「その……。やっぱり当時の立場的に私の方からは言い出しにくくてですね……。そうこうしているうちにランスレット様が皇帝になってしまって……。立場の問題は解決しましたけど、逆に今度は皇妃の地位を狙っているように思われたらと……」

「気にしすぎだと思うがのう。見ず知らずの女ならともかく、誕生日にプレゼントをくれるほどの付き合いなんじゃろ? ユミナ姉様の言う通り脈はあると思うがのう」

「そ、そうかな……」


 パルレルさんを除いた王族たちの恋バナに僕はなんとも言えない気持ちになる。なんか最近、この手の話だらけでなあ……。

 両想いから始まる恋なんて滅多にない。大抵はどちらかの片想いで、相手がその想いに気が付けば両想いへと発展する……可能性が出てくるわけで。

 そういった意味ではコーデリア王女の恋もこれからってことなんだろうけど……。


「問題は今回の騒動の原因がコーデリア王女だと知ったら、皇帝陛下はどう思うかってとこなんだよねえ……」

「うう!」


 ぼそりとつぶやいた僕の言葉に、胸を刺されたように悶えるコーデリア王女。ジロリとユミナに睨まれた。いや、ごめん。悪気はなかったんだ。


「イメルダ嬢の方も問題じゃのう。さすがに向こうも黙ってはおるまいし……」

「……いえ、イメルダ様とは納得ずくの計画です。ご実家であるトライオス家からはわかりませんが、ご本人から抗議されることはないかと」

「…………は?」


 パルレルさんがしれっととんでもない事実を明かした。納得ずく? え、てことはイメルダ様ってパルレルさんたちとグルなの!?


「イメルダ様は心に決めた方がいるのです。ご両親にパーティーへの参加を勧められ、お困りと知って協力をお願いしました。本来ならば謎の間者に襲われて、パーティーに参加できなかった不幸な方として終わるはずだったのですけど」

「私、聞いてないよ!?」


 コーデリア王女も初耳だったらしく、パルレルさんに驚きの声を上げた。そこまで説明されていなかったのか。

 というかどういう伝手で、他国の貴族であるイメルダ嬢と?


「『探索技師団シーカーズ』の引退したメンバーや、取引先は世界中にいますのでそれくらいは。一応、口止めされていたのですが、今回のことであちらはうまくいったらしいと聞きました。疑われないためにと、薬で昏睡状態にしてしまったのは申し訳ありませんでしたが」


 ……なんだか全部このメイドさんの手のひらで踊っているような気がしてきたな。イメルダ嬢が社交嫌いってのもその相手がいたからか。パーティーで上の貴族から求婚されたら無下にはできないだろうから面倒だし。

 それにしても『探索技師団シーカーズ』か……。なかなかに手広く商売をしているらしい。『ストランド商会』のオルバさんと組んだらあっという間に東方大陸でもゴレムを広められるんではないだろうか。

 ……パルレルさんに貸しを作って紹介してもらうってのも……いやいや、人の弱みにつけ込むってのはどうか。

 

「うまくいったというのは、そのお相手と、ということですか?」

「はい。お相手はトライオス家お抱えの医師なのですよ。今回昏睡状態になったことで、お互い気持ちを確かめ合い、ご両親に打ち明けたとか」


 パルレルさんの話にその場にいたみんなが、それはよかった……、みたいな空気になったが、いやいや、そういうことじゃない。


「先程も申しました通り、全て私が勝手に計画し、実行したこと。姫様にはなんの責任もございません。どうか諸罰は全て私に」

「だから、そんなわけにはいかないの! 元はと言えば私が……!」

「いえ、私がうじうじと悩んでまったく行動に移さないヘタレ王女にしびれを切らしたのがいけなかったのです。恋愛経験値の低い臆病王女だとわかっていたはずなのに……」

「ちょっ、そこまで言うかな!?」

「本当にややこしいのう」


 まったくだね。恋が絡むといろいろと面倒だ。……絡むと言えば、本当に今回は花恋姉さんが絡んでこないな……。ここ数日連絡が取れないし。諸刃姉さんは心配ないっていってたけど。


「ともかく僕らだけで話していても仕方がない。リーフリース皇王陛下とガルディオ皇帝陛下に話をしてくるよ。それから謝るなり、罪を償うなりすればいい。それでいいかな?」

「……はい」

「わかりました」


 コーデリア王女もパルレルさんも小さく頷いてくれた。

 イメルダ嬢の方が大丈夫ならそこまで重い罪にはならないとは思うけど、持っていき方次第では彼女たちの印象が悪くなる。特にガルディオ皇帝陛下には。

 コーデリア王女の想いとか、どう伝えたらいいのやら……。

 なんで僕が愛のメッセンジャーみたいなことをせにゃならんのか。

 これけっこう責任重大なんじゃ……。うーむ、とりあえず正直に話すしかないよなあ……。



          ◇ ◇ ◇



「まあ表向き、リーフリースとしては被害を被ったわけではないし、ガンディリスに貸しを作れると考えればここは謝罪を受け入れ、処罰は向こうに任せるのも手かもしれんな。ゴレムがこちらの世界にも広まるなら、その重要国と親密になっておくのは悪いことではない。『探索技師団シーカーズ』とやらにも伝手つてができるしな」


 ……僕が躊躇っていたことをリーフリース皇王陛下があっさりと口にする。こういう風にズバンと決められるようになりたいねえ……。


「リーフリースはそれでいいとして、ガルディオの方は……」

「……………………」


 なんかガルディオ皇帝陛下がまばたきもせずに止まってるんだが。

 ポカンとしているガルディオ帝国の若き皇帝に、隣に座るレーヴェ辺境伯が声をかける。


「……陛下。……皇帝陛下」

「っ、え? あ、ああ! な、なんだ!?」

「なんだではなく。ガンディリスへの抗議などは……」

「あ、いや……リーフリース国王陛下の言う通り、今回は向こうに任せよう。一応、イメルダ嬢に聞き取りはするが、問題はないと思う。時間をかけてせっかく友好的になってきたのに、あえてガンディリスとの間に波風を立てることもあるまい」


 あ、一応聞いてたか。

 ふう。ということはこれで一件落着……じゃないか。

 コーデリア王女の気持ちを伝えてはみたが、皇帝陛下の方は実際どうなんだろう? さすがに驚いていたようだけど……。


「……ガルディオ皇帝陛下はコーデリア王女をどう思っているのだ?」

「っ、えっ!?」


 僕が聞きにくいことをリーフリース皇王陛下が代わりにズバッと聞いてくれた。よっ、さすが年の功!

 ブリュンヒルドの城の一室、ここには僕とガルディオ皇帝、レーヴェ辺境伯、リーフリース皇王、そして護衛の騎士たちしかいない。ユミナやスゥたちもこの恋の行方を知りたがっていたが、今回は遠慮してもらった。男同士じゃないと話せないこともあるからさ……。


「あー……。正直に言いますと、嬉しい気持ちはあります。しかし彼女が発端で、我が国が迷惑を被ったのは事実。それを鑑みると、そう簡単に返事をすることはできないと……」

「いや、そういうのはいいから。好きか嫌いかどっちです?」

「……す、好き、です、が」


 真っ赤になって斜め上を向く皇帝陛下。だよねえ。でなきゃ一国の王女にプレゼントなんか渡せないよなぁ。

 ニヤニヤとしている僕とリーフリース皇王を見て、堰を切ったように若き皇帝が話しだした。


「いや、その、急過ぎて、気が動転しているといいますか、すごく嬉しいんです! だけども私にも立場というものがありますし、以前のような一介の貴族の息子ではありませんから、勝手に返事をするわけにも! こ、これってどうすればいいんですかね!? こ、公王陛下! 公王陛下は九人も奥方を娶られましたが、こういった場合の対処法は!?」

「流れに身を任せろ……」

「雑だな!?」


 なんかショックを受けている青年皇帝。いや、実際僕の場合、それがほとんどだし。好き同士ならそのへんのしがらみとかはどうとでもなると思うよ? たぶんね。


「仲の悪かったガンディリスとよしみを結ぶ意味でも悪くない話だと思うがな、ワシは。どちらかというと国を治める者としては、積極的にその話を進めるべきなんじゃないのか?」


 リーフリース皇王が言う通り、ガンディリスの王女とガルディオの皇帝がくっつけば、これはもうまたとない友好のシンボルとなる。元来、国王の結婚というものはそういうものだし。

 僕とユミナ、ルー、ヒルダの場合も一応それに当てはまる。ユミナと婚約した時はまだ国王ではなかったのでちょっと違うかもしれないが。


「し、しかし、このような事件が起こってしまったわけですし、そういうわけにも……」

「んなもん、関係ねえだろ。それぐらいの問題、まとめて受け入れてやれ。一国の王女とかじゃなくて、一人の女の人生くらい背負えねえで国なんか背負えると思うなよ? 公王を見ろ。九人も背負ってらあ」


 ブハハと笑うリーフリース皇王。あのなあ……。人をオチに使うなっての。


「なんならうちの娘も付けてやるが」

「あ、いや、それはさすがに……」

「ははは。冗談だよ、冗談」


 皇王陛下は笑っていたが、僕は笑えなかった。あなたの娘さんも、現在けっこう面倒な恋愛事情を抱えてますから!

 ガルディオ皇帝陛下の背中を押す意味でも僕もリーフリース皇王に賛同する。


「まあ、僕のことはともかく、これは確かにいろんな意味でチャンスかもしれませんよ。恋愛の女神様によると、こういったものは全てタイミングだそうですから」

「はあ……。恋愛の女神様、ですか」


 訝しげな表情を浮かべる皇帝陛下。あなたも会ったことありますけどね、その女神様。

 パルレルさんの行動は決して褒められたものではないが、ひとつのきっかけにはなったと思う。これが花恋姉さんの言うタイミングってやつなのかね?

 未だに悩んでいる皇帝陛下だが、擬人型ゴレムの方はなんとかなりそうだ。あとはリリエル皇女の方だなあ。

 謎の黒仮面は一体誰なんだよ、もう。

 黒仮面をした各国の男たちには全員聞き取りはしたし……あと他に、は……。


 ふと、僕の頭に一つの仮定が浮かぶ。

 『黒仮面をした男たち』には聞き取りはした。男たち、には。

 え……。まさか、そういうことなの……?


 






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